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七十六話 体育祭
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学校に着くと、体育祭と書かれた横断幕が門の所に飾られており、その門を通り過ぎると、椅子持ちながら校庭に移動している生徒を目にした。俺も教室に移動し、更衣室で体操着に着替えた後すぐに、椅子を持って校庭に向かった。
「おはよう」
声のする方に振り向くと、椅子を持ちながら、立っている灰村がいた。
「おう、おはよう」
俺は灰村が、横に来るまでその場に立ち、灰村が横並びになると同時に歩き出した。
「いよいよ、体育祭だな」
「そうね」
「作戦は?」
「各競技に参加する前に何人かには伝えるつもり。作戦って言うか、単にアドバイスだけどね」
「そうか。優勝しような」
灰村は軽く頷き、俺達は、そのまま指定されている自分のクラスのエリアに行き、自由に椅子を置いた。
体育祭の開会式が始まり、生徒会長の檜山先輩の選手宣誓を聞くと、各クラスの士気が上がり声を荒げていた。
いよいよ体育祭の始まりである。
まずは、第一種目の100m走だ。
先日灰村が言っていた通り、俺達二年の女子からのスタートである。
六レーンある場所に、端から一組から順に並んでいる。
俺達三組は三レーン。
出場選手は、我がクラスのトップバッター嗚呼愛さんだ。
「嗚呼さん。大丈夫でしょうか。他のクラスは、やはり、運動部の方達の様ですけど」
「本命は、四組陸上部の片岡絆ちゃんだね」
柳さんと快斗がそれぞれ話している。体育祭当日に配られた各競技出場選手が書かれたプリント見る限り、柳さん言った通りうちのクラス意外は全員運動部の様だ。
灰村は嗚呼さんにああ言ったが、本当に嗚呼さんは一位を取れるのだろうか。
「当然だけど、授業の体育とかで、単に走るだけなら絶対に嗚呼さんは勝てない。でも、今この瞬間なら、嗚呼さんは勝てるはずだよ」
何事も一番最初に行動する事が好きな嗚呼さん。
この体育祭一番最初の種目で一番最初に走る。
それは嗚呼さんにとってはありがたい事なのかも知れないけど…
それだけで本当に勝てるのか?
各クラスの選手がスタートラインに着き、構えを取る。
「三組のあなた、確か、嗚呼さんだっけ。よくもまあ、運動部でも無いくせに、ここに来れたものね。三組はすでに勝負を投げたのかしらね」
「…………」
「無視ね…いいわ、恥かかせてあげる」
係の人が腕を上げ、スターターピストルを構える。
いよいよ、始まるぞ…
「位置について…」
「一番一番一番一番一番一番」
「よーい!!」
バンッ!!
開始の音が鳴り、各者一斉にスタートを切った。
「嗚呼さん!!頑張って下さい!!」
「いっけー愛ちゃん!!」
先頭を走るのは四レーンを走る四組の女子。
陸上部なだけあって流石に速い。
しかも短距離選手らしい。
その他のクラスも運動部が出てきてるだけあって決して遅くは無いけれど、四組の人が目立っている。
それより、うちのクラス。嗚呼さんだ。彼女は現在何位だ?
「はは、三組は相手にならないわね。このままぶっちぎってあげる!!この勝負私が一位で終わりよ!!三組はビリ決定ね!!」
「…誰がビリですって?」
「なっ!!」
「ほほほ、中々速いじゃ無いあなた。名前も知らないモブなくせに」
一位を走る四組の女子に、嗚呼さんが併走している。
「あなた、陸上部らしいけど対した事ないわねぇ。聞いた話じゃ、地区予選も結果出せずに、敗退しているらしいじゃない」
「な、なんであんたがそれを!!」
「陸上選手もいない体育でイキッてるだけのあんたに私が一番を譲るわけ無いでしょうが」
よく聞こえないが、嗚呼さんが何かを言っているのはわかる…
「それにぃ、あなたの彼氏。あなたとするのが初めてとか言ってたらしいけど、ざあんねん。彼の初めては私がすでに奪ってるのよ。あんたは彼の二番目。彼の一番になれないし、このレースでも一番にはなれないのよ!!ほほほ!!あなたに一位なんて贅沢なものは一生手に入らないわああああ!!」
嗚呼さんは更に加速し、そのままゴールテープを切った。
灰村の言った通り、この日一番最初にテープを切ったのは嗚呼さんとなったわけだ。
一方で、嗚呼さんと併走していた四組女子は、失速し、ビリとなっていた。
「やったぜ愛ちゃん!!」
「嗚呼さん凄いです!!」
快斗と柳さん、それにクラス全体が喜び嗚呼さんが一位になった事でクラスの士気が高まっていく。
「よし、狙い通りね。これで四組のあの女子は今日一日だめね。今後のレースもきっとモチベーションが下がりっぱなしになるわ。もしかするとレース自体でないかも」
「お前、嗚呼さんに何か吹き込んだか?」
「ちょっと彼女の情報を教えただけよ、きっと隣にいる嗚呼さんに嫌みでも言ってくると思うからってね。ついでに次の100m男子に出場予定の一組の男子は今頃、大変な目にあってるんじゃないかな。ま、嘘をついた彼の自業自得ってことで」
灰村の情報で四組と一組を潰したのか…恐ろしい女だ。
一年、三年女子の100m走が終わり次は、100m走男子。
前情報では、一組男子が優勝するだろう言われていたが、先ほどビリになった四組の女子に何かを言われたのか、一組の男子はビリとなり、うちのクラスは二位となっていた。
さて体育祭は始まったばかり。
次の競技は、借り物競走。
男子は、遠山くんと、佐竹くん。
女子は、柳さんと、若山さんとなっている。
若山さんって一切話した事ないけど、どんな人なんだろうか。
まずは男子から、スタートラインに立つのは遠山くん。
さて、どうなるかな…
「おはよう」
声のする方に振り向くと、椅子を持ちながら、立っている灰村がいた。
「おう、おはよう」
俺は灰村が、横に来るまでその場に立ち、灰村が横並びになると同時に歩き出した。
「いよいよ、体育祭だな」
「そうね」
「作戦は?」
「各競技に参加する前に何人かには伝えるつもり。作戦って言うか、単にアドバイスだけどね」
「そうか。優勝しような」
灰村は軽く頷き、俺達は、そのまま指定されている自分のクラスのエリアに行き、自由に椅子を置いた。
体育祭の開会式が始まり、生徒会長の檜山先輩の選手宣誓を聞くと、各クラスの士気が上がり声を荒げていた。
いよいよ体育祭の始まりである。
まずは、第一種目の100m走だ。
先日灰村が言っていた通り、俺達二年の女子からのスタートである。
六レーンある場所に、端から一組から順に並んでいる。
俺達三組は三レーン。
出場選手は、我がクラスのトップバッター嗚呼愛さんだ。
「嗚呼さん。大丈夫でしょうか。他のクラスは、やはり、運動部の方達の様ですけど」
「本命は、四組陸上部の片岡絆ちゃんだね」
柳さんと快斗がそれぞれ話している。体育祭当日に配られた各競技出場選手が書かれたプリント見る限り、柳さん言った通りうちのクラス意外は全員運動部の様だ。
灰村は嗚呼さんにああ言ったが、本当に嗚呼さんは一位を取れるのだろうか。
「当然だけど、授業の体育とかで、単に走るだけなら絶対に嗚呼さんは勝てない。でも、今この瞬間なら、嗚呼さんは勝てるはずだよ」
何事も一番最初に行動する事が好きな嗚呼さん。
この体育祭一番最初の種目で一番最初に走る。
それは嗚呼さんにとってはありがたい事なのかも知れないけど…
それだけで本当に勝てるのか?
各クラスの選手がスタートラインに着き、構えを取る。
「三組のあなた、確か、嗚呼さんだっけ。よくもまあ、運動部でも無いくせに、ここに来れたものね。三組はすでに勝負を投げたのかしらね」
「…………」
「無視ね…いいわ、恥かかせてあげる」
係の人が腕を上げ、スターターピストルを構える。
いよいよ、始まるぞ…
「位置について…」
「一番一番一番一番一番一番」
「よーい!!」
バンッ!!
開始の音が鳴り、各者一斉にスタートを切った。
「嗚呼さん!!頑張って下さい!!」
「いっけー愛ちゃん!!」
先頭を走るのは四レーンを走る四組の女子。
陸上部なだけあって流石に速い。
しかも短距離選手らしい。
その他のクラスも運動部が出てきてるだけあって決して遅くは無いけれど、四組の人が目立っている。
それより、うちのクラス。嗚呼さんだ。彼女は現在何位だ?
「はは、三組は相手にならないわね。このままぶっちぎってあげる!!この勝負私が一位で終わりよ!!三組はビリ決定ね!!」
「…誰がビリですって?」
「なっ!!」
「ほほほ、中々速いじゃ無いあなた。名前も知らないモブなくせに」
一位を走る四組の女子に、嗚呼さんが併走している。
「あなた、陸上部らしいけど対した事ないわねぇ。聞いた話じゃ、地区予選も結果出せずに、敗退しているらしいじゃない」
「な、なんであんたがそれを!!」
「陸上選手もいない体育でイキッてるだけのあんたに私が一番を譲るわけ無いでしょうが」
よく聞こえないが、嗚呼さんが何かを言っているのはわかる…
「それにぃ、あなたの彼氏。あなたとするのが初めてとか言ってたらしいけど、ざあんねん。彼の初めては私がすでに奪ってるのよ。あんたは彼の二番目。彼の一番になれないし、このレースでも一番にはなれないのよ!!ほほほ!!あなたに一位なんて贅沢なものは一生手に入らないわああああ!!」
嗚呼さんは更に加速し、そのままゴールテープを切った。
灰村の言った通り、この日一番最初にテープを切ったのは嗚呼さんとなったわけだ。
一方で、嗚呼さんと併走していた四組女子は、失速し、ビリとなっていた。
「やったぜ愛ちゃん!!」
「嗚呼さん凄いです!!」
快斗と柳さん、それにクラス全体が喜び嗚呼さんが一位になった事でクラスの士気が高まっていく。
「よし、狙い通りね。これで四組のあの女子は今日一日だめね。今後のレースもきっとモチベーションが下がりっぱなしになるわ。もしかするとレース自体でないかも」
「お前、嗚呼さんに何か吹き込んだか?」
「ちょっと彼女の情報を教えただけよ、きっと隣にいる嗚呼さんに嫌みでも言ってくると思うからってね。ついでに次の100m男子に出場予定の一組の男子は今頃、大変な目にあってるんじゃないかな。ま、嘘をついた彼の自業自得ってことで」
灰村の情報で四組と一組を潰したのか…恐ろしい女だ。
一年、三年女子の100m走が終わり次は、100m走男子。
前情報では、一組男子が優勝するだろう言われていたが、先ほどビリになった四組の女子に何かを言われたのか、一組の男子はビリとなり、うちのクラスは二位となっていた。
さて体育祭は始まったばかり。
次の競技は、借り物競走。
男子は、遠山くんと、佐竹くん。
女子は、柳さんと、若山さんとなっている。
若山さんって一切話した事ないけど、どんな人なんだろうか。
まずは男子から、スタートラインに立つのは遠山くん。
さて、どうなるかな…
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