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四十一話 文化祭 十八
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二曲目も無事終わり、三曲目に備える俺と快斗。
本堂さんはすぐには歌わず、しばし、トークタイムをしている、ステージ場で本堂さんにのみ照明が当たっている隙にスタッフさん達は、次の曲に向けて準備を進めいてる。
「なあ、孝一。ここまで、なんとか防げたけど、次の妨害はどうする気だ?」
快斗は心配なのか俺に質問してくる。
快斗が心配しているのもなんとなくわかる。次は【音】に関する妨害。
ここまで俺や快斗でもなんとか対処出来た妨害だったが、音になると話は別だ。本堂さんの後ろで演奏する人が意図的にミスをする事になる。なんて考え、それの犯人を見つけたとして、その人がいなければ音楽として成立しないかもしれない。
俺や、快斗は楽器を扱った事はない為どうすることも出来ない。
「社長はこの事を知っていて最後に音のトラブルを選んだのか?」
「だとしたら、俺達はまんまと遊ばれてたわけか…って事は恵子ちゃん不合格になるのか」
俺達が防げなければ本堂さんがどんなにいいパフォーマンスをしても不合格になる。それが俺と社長との約束になっている。
つまり、あの社長は最初から本堂さんを合格にするつもりはなかったって事か…?
「どうする……」
「えっと、ここまで、みんなには歌を聞いてもらってとても感謝しています。盛り上げてくれたし、一緒に踊ってくれた。本当にありがとう」
本堂さんは深々と頭を下げる。
「それじゃ、最後に曲になります!!最後は恋愛ソングです。この曲を聴いて少しでも恋をしている人に勇気が与えられればと思います。それでは聴いてください」
照明が落ち、会場全体が暗くなって、そしてすぐに照明が付く。天井のライトが左右から本堂さんを照らす。
さっきまで来ていた半被から、ドレスの様な衣装に変わっていた。
早着替えと言うやつだ。
本堂さんはマイクを口に当て、声を出す。
三曲目は恋愛ソング。ステージには本堂さんと観客からは見えないが、端にピアノが一台あるだけ。
恋愛ソングはピアノだけで歌う事になっている。
トラブルの三つ目の【音】はピアノだろう…演奏者がワザとミスをするのか…
ごめん、本堂さん俺には何も出来なかった。
「………孝一…あれ」
快斗はピアノを見ながら演奏者を指差した。
あれは…
「灰村…」
本堂さんの歌声と同時に灰村も演奏を始める。
「灰村さん、ピアノ弾けんの?」
「弾いてるのは見た事はない」
「すげー、灰村さん。可愛くてピアノまで弾けるのかよ。完全に惚れたわ。弾けなくても惚れてるけど」
灰村は三曲目に音のトラブルが起きる事に気がついていたのか?
昨日、確かに曲を聞かせてほしいと本堂さんに言ってたけど。
あいつの絶対記憶力は音も入んのか…すげーな。
それにしても演奏者がいないか…二つ目のトラブルがここにもあるなんて。
俺達は灰村を見ていると後ろからトントンを背中を叩かれ、振り向くと、社長秘書が立っている。
「さあ、君達にも最後の仕事だ。天井のライトを遠隔操作して、本堂さんに照明を当ててくれ」
秘書はそういうと、小さなリモコンを二つを俺達に渡し、軽く説明をした後、本堂さんを見始めた。
俺と快斗は教えられた通りにリモコンを操作し、本堂さんを追っていく。
本堂さんは恋愛ソングを歌う。それを聞かされたのは文化祭が始まる一ヶ月前の事だ。本人は恋愛をした事ないし恋もした事がない。だから、俺と仮で付き合って恋愛する気持ちを知りたいと言っていた。
今、歌っている本堂さんは恋愛や恋する気持ちがわかったのかな?
それはわからないけど、歌声にこもっている気持ちは間違いなく会場にいる人に伝わっているだろう。
恋をした事ない俺にも、本堂さんの心のこもった気持ちは伝わってくる。
「こりゃ、文化祭後の後夜祭で、告る奴増えるだろうな」
快斗はボソッと言った。
歌が終わると、拍手喝采。鳴り止まない拍手の中で本堂さんは再び頭を下げた後、笑顔で観客を見る。
「今日は本当にありがとうごさいました~!!」
本堂さんは姿が見えなくなるまで、手を振り続け、拍手は姿が見えなくても鳴り止まなかった。
「本堂。いいライブだった」
いつの間にか来ていた霧島先生が本堂さんに駆け寄り、そして抱きしめる。
「先生…うん。私頑張ったよ」
お互い抱き合う中で、会場の向こうから「アンコール、アンコール」と聞こえて来た。
「本堂。お客の期待には応えないとな」
「はいっ!!」
本堂さんは再び会場に現れると会場は再び盛り上がる。
「みんなー!!アンコールありがとうございまーす!!それじゃ、後二曲きいてくださーい!!」
音楽が鳴ると再び本堂さんは歌い始める。
「私達の役目はこれで終わりね」
灰村もこっちに来ていたようで、俺に話しかけてくる。
「ああ、灰村。お疲れ。灰村がいてよかったよ」
「そうでしょ。感謝しなよ」
「灰村さーん!!ピアノ完璧だったねー!!ますます惚れちゃった」
「ああ、そう…」
アンコール一曲目も終わり、いよいよ本当に最後の曲となる。
「それじゃあ、これが本当の最後の曲です」
本堂さんがマイクを口にあて。
「恋愛を教えてくれた君へ…」
ゆっくりとした曲が流れると本堂さんは歌い始める。
「かあ、恵子ちゃん。それはもう告白じゃん」
「そうね」
灰村と快斗が不思議な事を言っている。
何言ってんだ?
まあ、最後くらい俺もゆっくり本堂さんの曲を聴こう。
「~君が~…」
チラッ。
ん?今、こっち見た?
「好き~……」
本堂さんの歌が終わり、再び拍手喝采。
そして幕が閉じ、本当に本堂恵子さんのライブは終了となった。
兎に角、無事にライブが終わってよかった~。
本堂さんはすぐには歌わず、しばし、トークタイムをしている、ステージ場で本堂さんにのみ照明が当たっている隙にスタッフさん達は、次の曲に向けて準備を進めいてる。
「なあ、孝一。ここまで、なんとか防げたけど、次の妨害はどうする気だ?」
快斗は心配なのか俺に質問してくる。
快斗が心配しているのもなんとなくわかる。次は【音】に関する妨害。
ここまで俺や快斗でもなんとか対処出来た妨害だったが、音になると話は別だ。本堂さんの後ろで演奏する人が意図的にミスをする事になる。なんて考え、それの犯人を見つけたとして、その人がいなければ音楽として成立しないかもしれない。
俺や、快斗は楽器を扱った事はない為どうすることも出来ない。
「社長はこの事を知っていて最後に音のトラブルを選んだのか?」
「だとしたら、俺達はまんまと遊ばれてたわけか…って事は恵子ちゃん不合格になるのか」
俺達が防げなければ本堂さんがどんなにいいパフォーマンスをしても不合格になる。それが俺と社長との約束になっている。
つまり、あの社長は最初から本堂さんを合格にするつもりはなかったって事か…?
「どうする……」
「えっと、ここまで、みんなには歌を聞いてもらってとても感謝しています。盛り上げてくれたし、一緒に踊ってくれた。本当にありがとう」
本堂さんは深々と頭を下げる。
「それじゃ、最後に曲になります!!最後は恋愛ソングです。この曲を聴いて少しでも恋をしている人に勇気が与えられればと思います。それでは聴いてください」
照明が落ち、会場全体が暗くなって、そしてすぐに照明が付く。天井のライトが左右から本堂さんを照らす。
さっきまで来ていた半被から、ドレスの様な衣装に変わっていた。
早着替えと言うやつだ。
本堂さんはマイクを口に当て、声を出す。
三曲目は恋愛ソング。ステージには本堂さんと観客からは見えないが、端にピアノが一台あるだけ。
恋愛ソングはピアノだけで歌う事になっている。
トラブルの三つ目の【音】はピアノだろう…演奏者がワザとミスをするのか…
ごめん、本堂さん俺には何も出来なかった。
「………孝一…あれ」
快斗はピアノを見ながら演奏者を指差した。
あれは…
「灰村…」
本堂さんの歌声と同時に灰村も演奏を始める。
「灰村さん、ピアノ弾けんの?」
「弾いてるのは見た事はない」
「すげー、灰村さん。可愛くてピアノまで弾けるのかよ。完全に惚れたわ。弾けなくても惚れてるけど」
灰村は三曲目に音のトラブルが起きる事に気がついていたのか?
昨日、確かに曲を聞かせてほしいと本堂さんに言ってたけど。
あいつの絶対記憶力は音も入んのか…すげーな。
それにしても演奏者がいないか…二つ目のトラブルがここにもあるなんて。
俺達は灰村を見ていると後ろからトントンを背中を叩かれ、振り向くと、社長秘書が立っている。
「さあ、君達にも最後の仕事だ。天井のライトを遠隔操作して、本堂さんに照明を当ててくれ」
秘書はそういうと、小さなリモコンを二つを俺達に渡し、軽く説明をした後、本堂さんを見始めた。
俺と快斗は教えられた通りにリモコンを操作し、本堂さんを追っていく。
本堂さんは恋愛ソングを歌う。それを聞かされたのは文化祭が始まる一ヶ月前の事だ。本人は恋愛をした事ないし恋もした事がない。だから、俺と仮で付き合って恋愛する気持ちを知りたいと言っていた。
今、歌っている本堂さんは恋愛や恋する気持ちがわかったのかな?
それはわからないけど、歌声にこもっている気持ちは間違いなく会場にいる人に伝わっているだろう。
恋をした事ない俺にも、本堂さんの心のこもった気持ちは伝わってくる。
「こりゃ、文化祭後の後夜祭で、告る奴増えるだろうな」
快斗はボソッと言った。
歌が終わると、拍手喝采。鳴り止まない拍手の中で本堂さんは再び頭を下げた後、笑顔で観客を見る。
「今日は本当にありがとうごさいました~!!」
本堂さんは姿が見えなくなるまで、手を振り続け、拍手は姿が見えなくても鳴り止まなかった。
「本堂。いいライブだった」
いつの間にか来ていた霧島先生が本堂さんに駆け寄り、そして抱きしめる。
「先生…うん。私頑張ったよ」
お互い抱き合う中で、会場の向こうから「アンコール、アンコール」と聞こえて来た。
「本堂。お客の期待には応えないとな」
「はいっ!!」
本堂さんは再び会場に現れると会場は再び盛り上がる。
「みんなー!!アンコールありがとうございまーす!!それじゃ、後二曲きいてくださーい!!」
音楽が鳴ると再び本堂さんは歌い始める。
「私達の役目はこれで終わりね」
灰村もこっちに来ていたようで、俺に話しかけてくる。
「ああ、灰村。お疲れ。灰村がいてよかったよ」
「そうでしょ。感謝しなよ」
「灰村さーん!!ピアノ完璧だったねー!!ますます惚れちゃった」
「ああ、そう…」
アンコール一曲目も終わり、いよいよ本当に最後の曲となる。
「それじゃあ、これが本当の最後の曲です」
本堂さんがマイクを口にあて。
「恋愛を教えてくれた君へ…」
ゆっくりとした曲が流れると本堂さんは歌い始める。
「かあ、恵子ちゃん。それはもう告白じゃん」
「そうね」
灰村と快斗が不思議な事を言っている。
何言ってんだ?
まあ、最後くらい俺もゆっくり本堂さんの曲を聴こう。
「~君が~…」
チラッ。
ん?今、こっち見た?
「好き~……」
本堂さんの歌が終わり、再び拍手喝采。
そして幕が閉じ、本当に本堂恵子さんのライブは終了となった。
兎に角、無事にライブが終わってよかった~。
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