名探偵になりたい高校生

なむむ

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二十五話 文化祭 三

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 店番の時間が終わり、休憩時間になった俺は廊下に出て本日はどこに行こうかとパンフレットを見た。
 なる程、灰村の言った通り今日は部活動での出し物が多いらしい。一通り目を通し、どこに行くかを決め、歩き出す。
 今日は昨日みたいに偶然柳さんに会う事も無い様で一人で行く事に。

 まず最初に目指す先は教育棟四階の隅にある何に使われているかよくわからない教室にあるパズル部だ。
 パンフレットには多種多様のパズルがあるとの事らしいので、ジグソーパズルもあるだろう。最近ジグソーパズルはやれてなかったしあったらいいなぁ。

 教室に着くと暖かく向かい入れられ目的の物を探す。ジグソーパズル、ジグソーパズルっと。
 しかし、俺の目的の物は無かった…
 考えてみればジグソーパズルって時間掛かるし置かないよね…
 テンションが若干下がったけどこのまま出るのは申し訳ない。適当に簡単なパズルを一つ組んで教室を出た。

 さて、次だ。
 カシャ。
 シャッターを切る音が鳴り、そっちを見るとカメラを構えた新聞部の二年夢沼ゆめぬま 華蓮かれん先輩がいた。
「やあ。探偵部」
「遊園地以来ですね」
 遊園地で追い払ってから絡んで来ることは無いと思ったけど。てか、この人の声初めて聞いた。
「そんなに怖い顔しないでよ。もう本堂さんのスキャンダルなんて狙って無いからさ」
「怪しいもんですけどね」
「本当だって。私は元々あの子のスキャンダルを狙うのは反対だったんだから。沖山先輩に逆らえなかったから嫌々やってただけ」
「沖山先輩は一緒じゃ無いんですね」
「あの人は新聞部辞めたってか所属はしてるけどもう来ない。受験に専念するって言ってたけど、本当は怖くなったんでしょ。君ん所の灰村に」
 なにかやったら灰村に全て暴露されると思っているらしい。
「んで、夢沼先輩は俺に何か用ですか?」
「別に。ただいたから写真撮っただけ。新聞部としてこの文化祭の風景を撮っているだけよ」
「そうですか。それじゃ」
 俺は一礼だけしてその場から離れようとしたが、引き留められる。
「なんですか。よう無いんでしょ?」
「探偵部には興味あるんだよね。君に灰村。そして跡野。今度取材させてもらってもいいかな?」
「ある事ない事書かれそうだからお断りします」
「灰村いるのにそんな事出来ると思う?そんなに邪険にしないでよ。ね。それじゃ今度お邪魔するから」
 断ってるのに…この強引さが記者には必要なんだろう。

 俺は気を取り直して次の場所に。
 歩いていると、廊下の隅にひっそりと小さな黒いテントがあるのが目に付く。
 看板を見ると【占い部】と書かれていた。
「占いか…よし、素通りしよ」
「そうはさせないよ」
 俺の前に立ち塞がる占い師っぽい服装をした男女二人。
「いや、俺占いとか興味が…」
「またまたぁ。占いに興味がない人なんていないって。研究結果として出ているんだよ」
 そこは占いの結果じゃないんだ…
「ささ。君の事占うよぉ~」
 背中を押されテントの中に入れられた。
 この人達はここを通る人をこうやって強引に入れてるんだろうか。
「さてぇ。なにを占って欲しいんだい?」
 俺は占って欲しいなど一言も言ってないんだけど。
「いや、特には…」
「またまたぁ。占って欲しくない人なんていないって。研究結果として出ているんだよ」
「そこは占いじゃ…」
「さぁて。じゃなににしようか」
「…じゃあ。健康…」
「オッケー。恋愛だね。高校生が恋愛の占いをしたくなるのは当然だ。カトリーヌ頼むよ!」
「オッケー!セトリーヌ!」
 どうしよう。この二人。ぶん殴りてぇ…
 カトリーヌと呼ばれた女性占い師は水晶に手を当て、何やら呪文を唱え始めた。
「ホゲラ、マタニティ、恋愛マジョリティ。ワタシ、セト、リーヌ、スキ。キモチキヅイテェ!」
 今自分の気持ち言ってなかった?
「ハアアアア」
「出た、出ました。アナタの恋」
「おお!!よくやったカトリーヌ!」
「それでは結果を…ぬう!?」
 水晶を食い入る様に眺めるカトリーヌ。
「あなた…来年色々起きるわ…秋ごろに気を付けて…」
 恋愛結果は?
「占いは以上です。それではお引き取りを。クレームは受け付けません」
 俺は占い部から解放され、テントから出た。
 結局俺の恋愛はどうなったのよ。それに秋って…なんだ?
「まあいいか」

 変なのに絡まれたが次に行く事にしよとしたら快斗を発見した。
「おーい快斗ぉ」
「ん?おお孝一じゃん。灰村さんは?」
「灰村は知らん。どっか行ってんだろ」
「なんだぁ。残念。昨日も結局来なかったし…」
 肩を落とす快斗。そんな快斗を少し冷めた目で見るのは女バスの飯島いいじま あかねさんだ。
「確か間宮くんだっけ?一学期はお世話になったよね。あの時はありがと」
 夏休み前に飯島さんは男バスに着替えを覗かれたと揉めていた人だ。実際は男バスは覗いてはいなかったし、犯人は他にいたわけだ。ちなみに覗きの容疑を掛けられていたのはそこにいる快斗だった。
「女バスは今日は出し物はあるの?」
「うん。男バスと共同で、三時にスリーポイントコンテストかなー。間宮くんもよかったら参加してね」
「ま、まさか茜ちゃん。体育館に行こうってそう言う事だったの?」
「御名答!嘘ついたらすぐにバレちゃうし。正直に体育館に行こうって言えばバレないと思って」
 なる程、飯島さん快斗の扱いが上手いな。
「いや、そーゆーのはちょっと…」
「快斗くん女子のお願いは必ず聞いてくれるよね?」
「うっ…」
「快斗。お前の負けだ。参加してやれ応援してやるよ」
「さあ!体育館にレッツゴー!!」
 飯島さんは快斗を連れ、体育館に向かう。
「孝一。香澄ちゃんが生徒会室で仕事してるぞ。俺の応援はいいからそっち行ってやれよー。一人で退屈してると思うからよー」
 快斗は手を引っ張られながら俺にそう言って、姿が見えなくなった。
「柳さん今日も仕事してるのか」
 俺は、近くにあったお店でお菓子とジュースを買い、生徒会室に向かう事にした。
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