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(59)リベンジ

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僕と蘭は道着を身につけ、バスを降りた。

競技場に入ると、そこはとても静かで、昨日いた競技場とは思えないくらいの活気のない場所だった。

しかし、それは一瞬にして変化する。

僕と蘭が到着してから数分後…

約50人ほどが競技場内に押し寄せる。

その光景は、ドラマなどでしか見たことがないような、今すぐにでも殴りかかってきそうな人達が足音を立てながら僕たちへと向かってくる。

「太陽先輩~合宿は終わったんですか?」
「ここにいるはずの他の生徒はどこだ?」
団が気味の悪い笑顔で言う。

「いるわけないだろ、ここで空手の合宿としてお前らを相手する。」
僕の隣にいた蘭が表情を変えて言う。

「お前たちだけでこの数を相手できるのか?」
「太陽先輩に関してはお荷物だろ。」
団も表情を変えて言う。

「太陽先輩…あいつら何持ってるか分からないので慎重にいきましょう。」
蘭は僕に対しては冷静な落ち着いた話し方で言う。

「分かった。」
僕がそう答えた瞬間、

団の少し後ろにいた約50人ほどが向かってきた。

それを見て、蘭は落ち着いて歩き出す。

「さぁ、いい練習にしようぜ。」
蘭はそう言い、

向けられた拳を避け、腹部に右拳を叩き込む。

次は相手の顔面を手で掴み、地面に叩きつけた。

「グワッ!!」
どう見ても相手は空手経験者であり、その技術を悪に使うことを選んだ者たちだと言っていい。

しかし、そんなこと関係ないように蘭は次々と倒していく。

次は僕に飛び蹴りを繰り出す相手の攻撃を僕は避け、腹部に右足を叩き込む。

「グッ!!」

それを見た周りの人間は少し驚いた顔をしたが、すぐに表情を変え、僕に向かってくる。

僕は四方八方からくる攻撃をよく見て、対応する順序を無意識に感じ取る。

右からの拳を右手で受け止め、その力の向きを使って、僕の背後から攻撃を仕掛ける相手に向かって投げ、正面からの蹴りを避け、腹部に左拳を叩き込む。そして背後から攻撃を仕掛ける相手の腹部に、正面の相手に叩き込んだ左腕を勢いよく引いて、左肘を叩き込んだ。

それを見て、
「どういうことだ…」
団が驚きの表情を見せていることが分かる。

蘭は約25人ほどを倒し、団に向かって走る。

しかし…

バチンッ!!

蘭に向かって右から繰り出された拳を、蘭は頬ギリギリで受け止める。

「よく止めたな…」
蘭に攻撃を仕掛けた男が言う。

「ただものじゃないな。」
蘭は率直な感想を言いながら受け止めた拳を振り払う。


そして、蘭が戦っていた25人とは明らかに雰囲気の違う5人が蘭の前で構える。

「ふぅ…仕方ないな。」
蘭も覚悟を決めて構えをとった。


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