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(20)目からこぼれる気持ち
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僕はゴールし、スピードを緩める…
「はぁ、はぁはぁ、走り切った。」
僕は無意識にそうつぶやく。
「悔しいけど、君は速いな。
ありがとう。」
2年生の先輩が言った。
「僕こそ、ありがとうございました。
あの…お名前伺っても…」
「あ、言ってなかったな。
俺は航太だ、」
2年生の先輩はそう返した。
「航太先輩ですね、ありがとうございます。」
僕は頭を下げ言った。
すると、競技場内の全ての人が拍手をしていた。
もちろん僕たちに向けて…
「この2日間君に持ってかれたな…笑
でも明日は俺らをしっかり見とけよ?」
航太さんはそんな事を言った。
「はい!そうします笑」
僕は笑顔でそう返した。
「太陽~~」
ドン!
「なんだよ涼介笑」
涼介は飛びついてきた。
「走り切ったな」
「お疲れ!」
「お疲れ~」
「すごかったよ!」
颯と豪、それに健太、太晟が言いながら向かってくる。
そして競技場練習は終わり、宿に帰った。
そして寝る時間…
「太陽…この合宿でだいぶ知名度上がったよな笑」
涼介が隣の布団で言う。
「そりゃそうだよ笑太陽すごかった。」
太晟も隣の布団で言っている。
「ありがとう笑」
僕は嬉しかったので正直に返した。
でも、僕は本番の大会ではきっと走れない…涼介を見て、自分の走りができた、
大会ではもちろん、隣に涼介はいない。
そしてついに夏合宿最終日。
練習メニューが伝えられた。
・それぞれの高校でアップ
・300×12 9~10割の力。
以上。
昨日予想した通り、辛いメニューだ。
まだ今日が初日ならギリギリ耐えられるかもしれない。しかし、3日目で昨日までどの選手もしっかり練習していたため走り切るだけでも辛いだろう…
しかし、競技場の雰囲気は1日目の始めよりも活気だっていた。
そして、それぞれの高校でアップは終わり、300mのスタート位置に選手が着く。
4名ずつ走り、最後の1組は3人だ。
オン・ユア・マークス
セット
バン!!
マネージャーの声と手の音の合図によりまず1本目が開始される。
速い…やはりメニュー通り9~10割の力で走っている。
僕はゴール地点近くの日陰でじっと見ていた。
1本目で全員が呼吸を荒くしている、
9~10割で走るんだから当たり前だ。
そして2本目、3本目、4本目、
5本目まできた。
5本目になると明らかに9~10割の速さでない選手が少しずつ増える。
しかし、決して楽をしているわけじゃない、この2日の練習のせいで身体が思うように動かないんだ。
僕が中学の時、大会で経験したあの感覚、前に進みたいのに進まない…
だけど、僕のとは少し違う。
僕は疲労感が全くない状態で、身体が動かなかった。
しかし、今300mのスタート位置に着いている選手達は疲労感をしっかり感じていて、走り切れるかも不安な状態で1本1本走っているだろう。
そして8本目…もう次のスタートまでの100m歩き +順番待ちでは呼吸を整えられないほど全員が辛そうだ。
しかし、崩れていく雰囲気がない…
全員の目が死んでない…
僕の目の前で航太さんがゴールしていて、地面に手をついている。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ…」
呼吸が、息が荒い。
「航太さん、大丈夫ですか?」
僕は航太さんの近くに行きそう言った。
「言っただろ…」
航太さんが話しだす。
「え………」
僕は驚いた、身体はボロボロのはずなのに…目が鋭く開き、どこまでも先を見ているような目をしてる。
「みんな、悔しいんだ。君のことは認めてる、しかし俺たちの合宿だ…最後くらい俺たちで練習をまとめたいんだ。」
航太さんはそう言い、ボロボロの身体のまま歩き出した。
「太陽…気にすんなよ?お前のおかげでこの結果だ。もう何十人もリタイアするはずの練習…しかし、ボロボロだけど誰も気持ちは死んでない。しっかり見とけよ…」
右京先輩がそう言い、歩いていく。
「はい…見てます。」
僕はつぶやき、前を見直した。
残り4本…
「はぁ、はぁはぁ、走り切った。」
僕は無意識にそうつぶやく。
「悔しいけど、君は速いな。
ありがとう。」
2年生の先輩が言った。
「僕こそ、ありがとうございました。
あの…お名前伺っても…」
「あ、言ってなかったな。
俺は航太だ、」
2年生の先輩はそう返した。
「航太先輩ですね、ありがとうございます。」
僕は頭を下げ言った。
すると、競技場内の全ての人が拍手をしていた。
もちろん僕たちに向けて…
「この2日間君に持ってかれたな…笑
でも明日は俺らをしっかり見とけよ?」
航太さんはそんな事を言った。
「はい!そうします笑」
僕は笑顔でそう返した。
「太陽~~」
ドン!
「なんだよ涼介笑」
涼介は飛びついてきた。
「走り切ったな」
「お疲れ!」
「お疲れ~」
「すごかったよ!」
颯と豪、それに健太、太晟が言いながら向かってくる。
そして競技場練習は終わり、宿に帰った。
そして寝る時間…
「太陽…この合宿でだいぶ知名度上がったよな笑」
涼介が隣の布団で言う。
「そりゃそうだよ笑太陽すごかった。」
太晟も隣の布団で言っている。
「ありがとう笑」
僕は嬉しかったので正直に返した。
でも、僕は本番の大会ではきっと走れない…涼介を見て、自分の走りができた、
大会ではもちろん、隣に涼介はいない。
そしてついに夏合宿最終日。
練習メニューが伝えられた。
・それぞれの高校でアップ
・300×12 9~10割の力。
以上。
昨日予想した通り、辛いメニューだ。
まだ今日が初日ならギリギリ耐えられるかもしれない。しかし、3日目で昨日までどの選手もしっかり練習していたため走り切るだけでも辛いだろう…
しかし、競技場の雰囲気は1日目の始めよりも活気だっていた。
そして、それぞれの高校でアップは終わり、300mのスタート位置に選手が着く。
4名ずつ走り、最後の1組は3人だ。
オン・ユア・マークス
セット
バン!!
マネージャーの声と手の音の合図によりまず1本目が開始される。
速い…やはりメニュー通り9~10割の力で走っている。
僕はゴール地点近くの日陰でじっと見ていた。
1本目で全員が呼吸を荒くしている、
9~10割で走るんだから当たり前だ。
そして2本目、3本目、4本目、
5本目まできた。
5本目になると明らかに9~10割の速さでない選手が少しずつ増える。
しかし、決して楽をしているわけじゃない、この2日の練習のせいで身体が思うように動かないんだ。
僕が中学の時、大会で経験したあの感覚、前に進みたいのに進まない…
だけど、僕のとは少し違う。
僕は疲労感が全くない状態で、身体が動かなかった。
しかし、今300mのスタート位置に着いている選手達は疲労感をしっかり感じていて、走り切れるかも不安な状態で1本1本走っているだろう。
そして8本目…もう次のスタートまでの100m歩き +順番待ちでは呼吸を整えられないほど全員が辛そうだ。
しかし、崩れていく雰囲気がない…
全員の目が死んでない…
僕の目の前で航太さんがゴールしていて、地面に手をついている。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ…」
呼吸が、息が荒い。
「航太さん、大丈夫ですか?」
僕は航太さんの近くに行きそう言った。
「言っただろ…」
航太さんが話しだす。
「え………」
僕は驚いた、身体はボロボロのはずなのに…目が鋭く開き、どこまでも先を見ているような目をしてる。
「みんな、悔しいんだ。君のことは認めてる、しかし俺たちの合宿だ…最後くらい俺たちで練習をまとめたいんだ。」
航太さんはそう言い、ボロボロの身体のまま歩き出した。
「太陽…気にすんなよ?お前のおかげでこの結果だ。もう何十人もリタイアするはずの練習…しかし、ボロボロだけど誰も気持ちは死んでない。しっかり見とけよ…」
右京先輩がそう言い、歩いていく。
「はい…見てます。」
僕はつぶやき、前を見直した。
残り4本…
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