聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!

幸之丞

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領地繁栄編

19話 マチルダを連れて来たよ

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19話 マチルダを連れて来たよ

「マチルダ。出しなさい」
私は借金取りよろしくマチルダを脅しました。

「あなた、昨日わざわざオッソに行ってリーサをたぶらかせたわね。
だから、あなたに渡していたブランドとりを回収させて貰うわ」

「ま、待つのだ。エルーシア!
私は無罪なのだ。とりは食べたけれど、それはリーサがお腹を空かしていたからなのだ」

「ふん。でも、漬け込んだとり肉でなくても大丈夫だったはずよ、リーサもあなたもオーク肉や、高級ブランドのお肉もあったはずよ。
しかもオッソなら海鮮もあったはずよ」

私は、ものすごく冷たい目をして、女神フレイヤ様からいただいた、五輪の刀を鞘につけたまま持ち、肩にトントンと何度もあてて、マチルダに圧をかけました。

「ご、ごめんなのだ」
マチルダは、ブランド肉をどんと私に渡して来ました。

「マチルダは、今日夕飯抜きね」

マチルダはがくりと肩を落としました。

私はお肉を上に飛ばし、シャキーンシャキーンと五輪の刀を使って三〇グラムに切六十切れ、十五グラムに沢山切り分けました。

「また、つまらぬ物を斬ってしまった」

私は思わず、口ずさんでしまいました。
あ!私の刀は“斬鉄剣”ではなくて、五輪の刀でしたわ!


「グイダ、お野菜もこのお肉達の長さに合わせてカットするようにみんなに伝えて。
そして串にお肉と野菜を交互に刺すのよ」

「エルーシア様承知でーす!」

グイダは久しぶりの出番なのに、気が抜けるような声が返ってきました。


串差ししたお肉とお野菜を、火起こしが終わった焼き台の網の上にのせて、その上から蓋をしました。

「エルーシアなぜ、蓋をするのかしら?」
リーサの頭には“?”が見えます。

「蒸し焼きに近くなるかと思って蓋をしたのです。
炭焼きですから熱が材料全体に熱が回るはずですが、蒸し焼きにすると、フワッとするかと思ったのです」

「へえ。そうですか?
あるからとりあえず使ってみた訳じゃないのですね?」

(あれ?何故かばれている)
「そんなわけないじゃないですか。この焼き方で、柔らかく焼いて仕上げにある者の力をかりますわ」
私は、ちょっと汗をかいてしまいました。

「あら、どうするの?」

「それは、今は、秘密です。
次は、私のカットしたお肉と野菜を刺した串焼きを焼きますわよ」

私の切ったとり肉は、塩と胡椒だけのシンプルな味付けにしました。
野菜は日本での長ネギとそっくりな物ですので、今後長ネギと呼びます。
因みに今焼いているのは、お酒とお醤油と香味野菜で下味をつけ、焼き上がりに蜂蜜を軽く塗ります。

そうこうしているうちに、最初に焼いていた串をひっくり返して再び焼き上げました。
そろそろ焼き上がるわね、

「マチルダ手伝って」
「何なのだ?何をするのだ!」

「この焼き上がってきたお肉を、あなたの吐く炎でパリッとして欲しいの。
そして最後の仕上げに蜂蜜を多めにしたタレを塗って出来上がり」

「やっと私の出番が来たのだ。今までは、母のエアデばかり活躍したのだ。
不満だったのだ!」

ブフォオオオオ!

パリッとした串焼きにタレをサッと塗って、容器にいれて、秘密のポケットに入れたのでした。

(これで、何時取り出しても、焼きたて出来たてですわ)

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