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領地繁栄編

2話 王様がやって来る

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2話 王様がやって来る


木々の葉は、色を変え、その葉も落ちてしまいました。
天から雪が舞い降りるのもあと少しです。
この時期は、貴族の女性いいえ、未婚の男性にも大切な季節
“社交”がはじまるのです。
フーマ王国の社交のはじまりは、私の住むベルティンブルグ。公爵領地から始まります。


空気が冷たくどこか新鮮味のある早朝、私は妹を探しに裏庭へ足を運びました。

「あ。お姉様おはようなのです」

「おはよう。ファリカ」
ファリカは、ぴょんぴょんと跳びはねるスライムにご飯をあげているところでした。
きっと日課のスライムちゃんと散歩してきたあとなのでしょう。
私がテイムしたスライムちゃん達。
今では、私よりもファリカに懐いているように思います。
(仕方ありません。散歩や餌などファリカが世話をしているのですから)

「お姉様。今日は王様がベルンにやってくるのですよね?」

「そうね。今日王子様を連れてホテルに泊って、舞踏会に参加されると聞きましたわ。今年のファーストダンスは、お父さんとお母さんのお二人ではなくて、王様とフィオナ王妃で踊るそうよ」

「そうなのですね。ファリカはお姉様と違ってダンスは苦手なのです。
お姉様のダンスは独特でとても素敵なのです」

「ふふふ。そうかしら?でも私がダンスにアレンジをすると、ダンスの先生に叱られるのよね。
『そんなダンスについて行ける殿方はいません』とか言われるのよ」

「そうなのです。レオンしかお姉様の踊りについて行ける男性はいないのです。
でもレオンにはシアナお姉ちゃんがいるのです」

実は、わたくしは、日本からの転生者なのです。
ですから社交ダンスよりも、テレビやスマホの画面で見た、アイドルや踊り子さんのダンスの方が好きなので思わずそれを取り入れてしまうのです。
そして、それに合わすことが出来るレオンも転生者です。
きっと私よりも生前はかなり年上だと思っています。
だって私の知らない昭和の事をたくさん知っているのですから。

「そうね。ファリカちゃんがわかるくらいにお互いを意識しているのに、何時になったらレオンは告白するのかしらね?」

「それは、フレイヤ様もわからないのです。
レオンは意気地無しなのです」

今、ファリカから出てきたフレイヤ様。
フレイヤ様は豊穣と愛を司る女神です。
この地では、多くの国がフレイヤ様を信教しています。
そして、私にはフレイヤ様からいただいた「女神の紋章」が魔力を注ぐと出てきます。
私は、女神様に愛された者として彼女のお告げを皆様に伝えることがあります。(私に都合の良い方に意訳してですけれども)

「そうね。でも恋愛は当人になるとわからないと言う方もいらっしゃるのです。
ですから、ファリカもレオンを“意気地無し”と思っては駄目よ。
彼は“ヘタレ”なのよ」

私とファリカは手を繋いでお屋敷に入り、朝食をいただくのでした。



*************************
作者です。
レオンに“ヘタレ”称号がつきました。
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