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「ふん。なんだこの人だかりは?」

「肉の焼いている臭いがドレスについてしまいますわ」


「エルーシア見て、お一人は王子殿下ですわね。もう一人のあの女の子は誰なのでしょうか?」
リーサは私だけに聞こえるような声で話して、口を隠しています。

[エルーシア様]
そのとき、トランシーバーからエッダの声が聞こえてきました。

[あの二人の事かしら?]

[はい。あの少女は、リーリャ=アウグスタです。帝国の貴族の娘です。
フリード王子は、彼女と出会ってから様子がおかしくなりました。
エルーシア様。リーリャを鑑定してください]

[わかったわ]
《リーリャ=アウグスタを鑑定して》


なるほどね。威力はまだまだ弱いけれど『魔眼』を持っているのね。
今のところ、あの少女のスキルは魅了だけね。

あれだけ、私の事を女神様と言っていたのに、叙爵式とその後のトラブルの時にヴァルデマー殿下だけしか近寄らないから不思議に思っていたのよね。

[エッダ。リーリャの魔眼のスキルで、殿下は魅了にかかっているようね。貴女が言っていた、殿下が可笑しくなっているのは魅了のせいね]

[魔眼ですか?
目を合わせると危険では無いでしょうか?]

[そうね。魅了にかかってしまった殿下には手遅れですが、ここにいる人々は、魔眼に対しての対抗魔法をかけてみましょう]

《この場にいる人々は、リーリャの魔眼の効果が効かなくなーれ》

一瞬、辺りが明るくなりましたが、それにあわせて、コンロの炭から大きな炎が出たため皆様気づきませんでした。

[エッダ。あのリーリャと言う少女ですが、私やベルティンブルグ一家に対しての忠誠度が-80%と出ているわ。
あの少女を調べなさい]

[エルーシア畏まりました。影数人で彼女を探ります]

[よろしくね]

そうしているとお祖父様が私に近づいてきました。

「あの少女なんだが様子がおかしいぞ。
フリードも様子がおかしい。エルーシアちゃんも気をつけなさい」

「じぃじ。もう対策はいたしました。
あの少女の名前はリーリャ=アウグスタ。魔眼を持って魅了のスキルを持っています。
もう、フリード王子は魅了にかかっているので、無理ですが、魅了がかかることがないように魔法をここにいる人々にかけました」

「さすが、エルーシアちゃん。今対応している者達も安心じゃな。
あの少女は、ファリミーネームを持っているのか。ということは、何処かの国の貴族令嬢だな」

「大館様。きっとあの少女は、帝国から来たと思われます。
けれども、余所の国の令嬢が王族、王子といると言うことは、婚約者の可能性がありますね」

「そうじゃな。でもなレオン。フリードとヴァルデマーは、エルーシアちゃんの婚約者候補じゃぞ。それにわしも、国王の叔父であり、王位継承権をもっているのじゃ。知らぬはずはない」



「フリード。なぜ貴方がここにいるの?
貴方は陛下から外出は許可されていないはずよ」

突然ここにいるはずのない、女性からの声が聞こえました。

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