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「エ、エルーシアちゃん。この扉は、移転を可能にする扉なのか?」

「はい、お祖父様。その通りでございます。この扉は『転移の扉』と名付けました。
移転の扉から登録した移転の扉まで、一瞬で移動が可能です。
今使っている扉は、誰でも使うことが出来るようにしていますが、これから私がお渡しするのは、移動できる人間を登録して、その登録した人だけが通れるようにします」

「な、なんと!移転だけではなく、通れる人を限定できるのですか!」
オスカー叔父様は、腕をバタバタさせて興奮しています。

「こんなものすごい魔導具を私にも見せたと言うことは、オッドリアにも移転の扉を設置すると言うことでしょうか?」

私は、興奮しているオスカー叔父様をスルーして
「レナウド叔父様。オッドリアのお屋敷と、ベルンのベルティンブルグ家のお屋敷には、設置する予定でございます。
レナウド叔父様とお父様、お祖父様はこの後、軍隊の打ち合わせや、海産物の輸送等を話さなければなりません。
そして今、開発している列車の話し合いも必要です。
ベルティンブルグ派の中心人物かつ重臣になるのです。自覚をお持ちください」

オスカー叔父様、レーア叔母様、リーサは、私に向かって深く頭を下げました。

(フレイヤ様が教えてくれた通り、レナウド叔父様と話しても動機息切れ目眩はしないわね。ちょっと良くない感情はあるけれど)

「エルーシアちゃん。私達ハウスビッシュ家にも、その移転の扉の設置をしていただけるのでしょうか?」

三男のギャバン叔父様が婿に行ったハウスビッシュ家のマダリン叔母様の発言です。

「マダリン叔母様。なに水くさいことを言っているのですか?
オドベード叔父様が婿養子になったとはいえ、オドベード叔父様は、お祖父様とお祖母様の三男ですよ。
ハウスビッシュ領地は、小麦や、葡萄や林檎など果物の栽培に適していると風土です。
土属性の魔法と、ファリカが作った肥料などで土地を改良してより、収穫出来るようにします。
また、淡水真珠の養殖での生産と加工を担ってもらいます。
叔母様を含め、マダリン叔母様もベルティンブルグ派の重臣ですよ」

「あ!ありがとうございます。オドベードを選んで正解でした」

「転移の扉の使用者ですが、基本は領主とその夫人のみとさせていただきます。
しかし、リーサ、ファリカと私は別枠と捉えてください。
転移の扉の移動区間ですが、領地のお屋敷から、ベルンのベルティンブルグ家のお屋敷です。
王都にお住まいの方は、お祖父様のお屋敷に集合していただき、そこからベルンに移転します」

「エルーシアちゃん。領地を持たない私達は王都の屋敷に移転の扉を設置しては駄目なのだろうか?」

「宰相であるオスカー叔父様のお屋敷には如何なさいましょうか?お父様」

「オスカーは宰相という立場なので、色々と人の出入りがあるはずだ。
けれども、宰相と言う立場を考えるとお父様の家に毎月急に行くとなるとまわりからも色々と詮索されるな」

「そうですね。今まで実家に全く顔を出していなかったのに、これを機会にしてオスカーが我が家に入り浸ることは、まわりから色々と詮索されますわ」

「お義母様(ジョリーナ)オスカーは、そんなに顔を出さなかったのですか?」

「そうなのよ。アルーシャ。イデリーナは、家に顔を出すことはあまり無かったけれど、手紙はよくくれていたわ。でも頭でっかちなオスカーは全く音沙汰なしなのよ」

「お母様。みんなの前でそのような事を言わなくてもいいじゃないですか」

「あら、オスカーの日々の行動を皆に言っただけですわ」

「あははは」 「おほほほほ」 

皆さんお祖母様の言葉に愛想笑いをしました。
皆様は。ここは笑って収めようという顔でした。


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