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[お嬢様大丈夫ですか?]

私は右手で左手の中指にある魔導具を1回叩きました。

[大丈夫そうですね。
ただいまの状態は、レナウド様が馬に乗り、襲われた地点に向かわれています。
リーサ様は、今私達と合流しました。
ファリカお嬢様はまだ目視出来る所にはいらっしゃらないようです。
お嬢様、何か危険な事があれば大きな声を出すか。3回魔導具を叩いてください]

私は了解したと1回魔導具を叩きました。

[しかし、エルーシアちゃんが乗せられた馬車は、某伯爵家の紋章をつけているがあの者が絡んでいるのかのう?]
お祖父様は低い声で語り出しました。

[たしかあの家の者は代々、教会と深いつながりがあると噂されていたが、こんな目立つことをするのかの?]

[あの、結局、エルーシアを誘拐するのって何が目的なのでしょうか?]

[リーサお嬢様。
一つ目は、誘拐した犯人が教国だった場合は、エルーシアお嬢様が聖女と呼ばれていることをよく思っていません。
何度か抗議の文章が来ていましたが、国と公爵ご一家が無視をしていたため、実力行使にでたと言うことです。
エルーシア様を誘拐することで、聖女と呼ぶ事をしないことと、身代金が目的だと推測されます。
二つ目は、これは帝国が犯人の場合は、身代金です。お金ですね。
三つ目は、国内の貴族だった場合は、ざっくり言うと身代金と利権を自分たちにも分けろと言うことですね。自分たちは何もしていないの。]

[[どれも、エルーシア(お姉様)の利権が欲しいだけじゃないですか?]]
ここで、リーサとファリカの声が重なりました。



私が乗せられた馬車は、左右に曲がり今は、貴族が住む貴族街に入りました。
貴族街に入ると言うことは、フーマ王国内の貴族の誰かが協力しているという事です。
馬車の中は、私の他に女性メイドが2人。そして、ごつい男が3人と御者と合わせて6人。
今は誰も口をきかない状態です。
ただ、横にいるメイドの格好をしている女性が私に時々話しかけてきます。

[馬車は、お館様の派閥に反発している派閥の長の侯爵様のお屋敷に一度止まりました。
そして何かを受け取りました。
あ!馬車は違う場所に移動しています]

そうレオンが言っている通り、一度侯爵家の前に止まって、鍵らしきものを御者が受け取りまた、動き出しました。


[エルーシア。ファリカが面白いことをしているのだ!
メタルスライムにまたがり、エルーシアの乗る馬車を追いかけているのだ!]

え?ファリカ。列車の模型の次は、メタルスライムちゃんに乗り爆走しているの?

[皆様。どうやら、レナウド伯爵様も追いついて、馬車に乗っている者達に気づかれないように後をつけはじめました]

何だが最初の計画と違って、リーサとかレナウド叔父様とかファリカとか、古竜とか増えましたが、一体どうなるのでしょうか?

などと考えていると、馬車は一度止まりました。
そして、ゆっくりとお屋敷の門が開きその中に入って行きました。


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