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[リーサ。あちらで何か大きな音がしなかったか?]

[お父様、学園の門を出たところを曲がったところからだと思います]

あれ?これは、もしかしてリーサとレナウド叔父様の会話かしら?

[先程あちらに向かって行ったのは、ベルティンブルグ公爵家の馬車だったな?]

[ええ。お父様。でもお父様に何かあったら大変でございます。
どうか、衛兵に連絡して任せてしまいましょう]

[いいや。リーサの気持ちはわかるが、もしかしたら、寄親である公爵様ご一家の一大事になるかも知れない。危険はあるだろうが、私の目で確認してくる。
リーサは、このまま、馬車の中で待っていなさい]

[え?でも、エルーシアから今日はなにがあってもすぐに館に帰るように申しつけられていますわ。ですから、お父様、私と一緒に帰りましょう]

[なに。心配することはない。大きな音の原因を見てくるだけだ]

[お、お父様]


[・・・ ・・・]



トランシーバーで聞いていた人は無言になりました。
オッドリアの領主のレナウドが絡んでくるとは誰も考えていなかったのです。

[申し訳ございません。エルーシア。お父様をとめることが出来ませんでした]

私はそれを聞いて、左の中指に嵌めた指輪型トランシーバーを右手で一度叩きました。

[もしもし、リーサ嬢聞こえるか?リカードだ。
今、バンっと1回音がしたのは、エルーシアちゃんが『わかった、とか はい』という意味だ。2回音がすると否定の意味になる。レナウドを引き留めようとしてくれてありがとう]

[いいえ。大丈夫です。それで今は、エルーシアは大丈夫なのですか?]

[実は、今日エルーシアちゃんが誘拐される計画があるのは、以前から情報を掴んでいたのだよ。大きな音をした所の上空を見てくれるかい]

[はい]その後少し時間が空きました。上空を見ているのでしょう。
[今、上空にいるのは、ゲアートさんとレオンと
あ!今メリアも合流したようです。3人が見えますわ]

[上空で3人が見張りをしていて、エルーシアをさらった馬車の尾行をしているのだよ。エルーシアちゃんが作った空を飛べる魔導具があるのは、ベルティンブルグの人間とオッドリアの2人と王妃様しか知らないからね。
まさか、上から尾行されているとは思わないだろうね]

[え?では、エルーシアは誘拐されたのですね?]
[え?お姉様誘拐されたの?これは一大事ですわ。シルバー、グラウ後をつけるわよ]

(え?今途中から入ってきた声は、ファリカ?)
私がそう思っていると

[お姉様、私が今助けにまいりますわ]
とファリカが宣言しています。

[叔父様、ファリカちゃんも、後をつけるのです。お姉ちゃんの私が馬車に乗っているわけには行きません。私も空飛ぶ魔道具で追いかけます]

[え?ちょっとファリカもリーサちゃんもちょっと待ちなさい]

お祖父様が慌ててとめましたが2人からは返事がありませんでした。
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