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「どっこいしょ」
王都の館に着いた私は、領地のお屋敷と同じく、使用人が使う玄関を改装した所に立派な扉をポケットから出しました。
「この設置をおねがいするわ」
私は、執事に言いつけました。

私は使用人の玄関から、私達が使う玄関に移動して、外に出ました。


「お姉様。私王都の街を見て見たいです」
ファリカの目はキラキラしています。

「そうね。こんな時間になってしまったので、あまり遠くは行けませんが、馬車でぐるりと回って見ましょうか?」

「はい。お願いいたします」
私はファリカの頭を撫でました。
「お祖父様と、お父様とレオンに言わなければならないわね」

私は3人に、離れの屋敷に集まってもらいました。

「今から私は、ファリカと馬車で散歩に行きます。
例のトランシーバーのテストをいたしますので、お祖父様とお父様はお屋敷にいたまま、執務をしながら聞いてください」

「「うむ」」

「レオンは、ゲアートを連れて警備の馬車に乗り込んで、トランシーバーの性能を試してください」

「はい。畏まりました」

「レオン」

「はい?」

「試験が近いのにこんなことをさせて悪いわね」

「いいえ、大丈夫です。
それとお嬢様。例の魔道通信機などの基地塔の設置も完了しました」

「ふふ。さすがに仕事が早いわね」

「ファリカ。それでは、馬車に乗って王都の街を散策に出かけましょう!」
私は、指と腕に魔導具をはめました。

「は~い。お姉様」
ファリカは両手をあげています。

ファリカ、クラーラ、グイダ、ホルダ、メリアと私は馬車に乗り込みました。
もちろん、スライムちゃん達4人も乗り込んでいます。

[あ~もしもし?聞こえますか?]
私はトランシーバーに魔力を流して、稼働させました。

[エルーシアちゃん。『もしもし』ってなんだ?]
お父様の声が聞こえました。

[お館様。『もしもし』とは、聞こえますか?と言う意味でございます]
レオンの声が聞こえました。

[もしもし もしもし]

[ファリカちゃん。ちゃんと聞こえているぞ]

[じぃじ。私の声聞こえるのですね。みんなの声も聞こえます]

トランシーバーの準備ができて早速王都の街へ出かけます。


「ねぇ?お姉様」

「ファリカどうしたのかしら?」

「スライムちゃん達が、悪い人たちが私達の馬車の後をつけているって言っています」

「あら。そうなの?スライムちゃん達、すごいわね。
それを理解出来るファリカはもっとすごいわ」
私は、ファリカの頭を撫でます。

そうです。私達は館を出た瞬間から、数人に後を追われていました。
私とレオンは魔力探知でその正確な人数を捉えており、レオンはその者達の魔力をすでに覚えているでしょう。

「ファリカ。そのつけてきている者達の場所と人数はわかるかしら?」

「少しお待ちください。スライムちゃん達に聞いてみます」

「えっと。前方に見える大きなお屋敷の屋根の上に3人。後ろから馬車で追いかけてきているのが4人。道ばたで監視しているのが合わせて15人です」

ぴったし合っています。

「ファリカ。それは、ここに居るスライムちゃんから聞いているのかしら?」

「いいえ。違います。最初はシルバーとグラウを通して聞いていたのですけれど、先程お姉様に聞かれて、すぐに答えようとしたら、おトイレ等で働いているスライムちゃん達から直接声が聞こえました。
それと、羽のついた小人さんも教えてくれました」

「「「え?」」」 [[[え?]]]

トランシーバーの奥からも驚きの声が聞こえました。
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