聖女の紋章 転生？少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です！

110 前半

110　シュタイン工房　石炭、列車

道路は拡張されて、凸凹も少なく、快適に馬車で移動しています。
ワゴン（人の乗る部分）から、窓の外を見ても、ゴミ一つ無くとても綺麗に管理されています。
そんな景色を眺めながら、私は、授業が終わった足でシュタインの工房に向かっています。

侍女のグイダとお話をしていると、馬車は住宅街を抜けると、大きな建物が見え始めました。シュタインの工房です。

シュタイン率いる工房は、ベルティン、ベルンと20カ所もあり、シュタインからも工房や工場を集めて街をつくって欲しいと言われています。

私の考えでは、ベルティンには、私の秘密道具を作らせる工房と研究室と機密性の高い部品や商品をつくる工場を残して、ベルンには、シュタインを在中させて、一般の方々に使う魔道具の研究室と初期の生産ラインを作ろうと考えています。
そして、工場と呼ばれる生産ラインの多くを新たにつくる商業都市の近くに作ろうと計画しています。

機密性の高い、タ○コプター、マジックバッグなどはベルティンブルグ。
ベルティンブルグ領民達が使う物、石炭ストーブや風呂釜などはベルン。
王都や、他の領地、他国に販売するもの、消毒液、石鹸、シャンプーなどは商業街近くでつくるという風に考えています。

今日は、先日見つけた石炭の使い具合の確認に訪れました。

玄関先に馬車を停めると

｢お嬢。よくきたな｣
｢お嬢様、いらっしゃいませ｣


シュタインとその部下が私を出迎えてくれました。

出迎えが終わると私達は、工房の研究室に入りました。

「シュタイン。先日渡した石炭は使ってみていただけましたか？」

シュタインは、弟子に目を向けました。
「はい。木炭に比べても高温になるので、冶金の純度を高くできます。しかも錬金釜の温度も高く出来るために作る製品の質も上がり、時間も短縮することが出来ます」

「そうですか。それで、匂いとか、パチンと跳ねると聞いたのですが、大丈夫でしょうか？」

「お嬢。そこの欠点はもう克服したのじゃ。あとお嬢の言われたストーブを作れば領民達も冬の暖房として使えるようになるて」
シュタインは腕を組んで私を見ました。

実は、暖房として使う薪の価格が高騰していたのです。
原因は、人口増加と貧民がいなくなり森林から拾って売る人がいなくなったためです。
作冬までは、建築につかわれていた端材などを薪にしていたのですが、今年はベルティン、ベルンの開発が落ち着き、家具などの端材はあれども、端材が多く出る大きな建物の建築数が激減した為、冬の暖房用の薪が不足して価格が高騰したのです。

そのため、私は、薪の代わりに石炭を使おうと考えました。

石炭は火力が高いのはわかっていたのですが、欠点もありました。
火力が高すぎるため、薪ストーブを使う事ができないこと。
石炭の中には、匂いがきつく、燃焼時にバチンと跳ねるのがあること。
石炭用にストーブを新しくしなければいけないことと、石炭には、品質に問題があるものがある。この二つが大きな問題です。

「石炭の匂いと飛び跳ねは、解決済みですのね。
後の問題は石炭ストーブの生産を多くすることですね。
大量に作る事は可能ですか？」

私はシュタインの弟子に尋ねました。

「すでに生産ラインを作って生産を開始しています。
全ての領民に与えることは出来ませんが、ベルティンとベルンの薪不足の解消は出来ます」
シュタインと一緒にいた生産責任者が胸を張りました。

｢さすがですね。でも値段の方は如何ですか？｣

｢石炭のおかげで、冶金する時間が短縮されたのと、新しく見つけた鉱山から送られてくる鉱石が増えたので、価格は抑えられます｣

「それは、頼もしいですね。シュタインあとですね･･･」