101 / 337
100
しおりを挟む
100
「お父さん、要するに、王族に利益を搾取されないようにするためにこのような作戦をとるのです。
列車事業は、きっと私達でしか出来ないはずなので、これが成功した後、必ず王様は、王都まで列車を引いて欲しいと依頼を出すでしょうが、たっぷりとお金をふんだくります」
悪い顔をしている私にお父様は
「エルーシアちゃん。わかっているとは思うけど、私達は王家に仕えているのだよ?」お父様は私を窘めましたが、
「お父様、王家は私達の領地に援助などしたことありますか?いいえ、他の方の治める領地に対しても!無いですよね、税ばかりとり、そのお金は軍に流れることが多く、しかも有事があれば各領主に領地軍を出せと。それに国防だけでなく、国力をあげ、国民が豊かに暮らせるようにするのが国を治めるモノの努めと思いますが、その点は、ベルティンブルグ公爵家にたよっているではないですか?
今は、このように仲良くして私達を取り込もうとしている王族ですが、私達が貧窮したとき、果たして助けてくれるのでしょうか?
その点が確信出来ないため私は、王家を信用してないのです」
「エルーシアちゃん?」
お父様は少し困った顔を浮かべながら愛想笑いをしています。
「申し訳ございません。本音がここで出てしまいました。貴族の令嬢として恥じるべきですね・・・ でも王家に搾取されるのが一番しゃくにさわるのです」
「閣下。エルーシアお嬢様、今の本音だだ漏れの所は、僕には、聞こえませんでした」レオンは私の失言を聞かなかったことにしてくれました。そして 「ところで、商業都市なのですが、ベルティンブルグ公爵家直営の会社の運営だと盛り上がりが欠けると思いますが何か考えありますか?」
「そうね。領民達もお店を出せるように資金が必要ね・・・
銀行? 銀行!! 銀行を作りましょう?」
「「銀行!!」」
ああっと納得顔のレオンと
銀行?と頭を傾けるお父様
「簡単に言いますと、高利貸しの機能にお金を集めることを入れた組織です。
お金を集めて、集めたお金を、個人や貴族、商人などに貸して、そこから手数料を足して貸したお金を返して貰うの。その手数料の一部を出資してくれた人に支払うの。
銀行は、お金を集めることと、その集めたお金を貸す所を決めるの。そこに貸してちゃんとお金を返してもらえるか調べたりしながらね。その審査が通ればお金を貸すの。
担保があれば、返せなくなったらそれをお金の代わりに回収するの」
「お金はどうやって集めるのだい?」
「各ギルドは、お金を預かっていますよね。それを銀行に権限を委譲して貰うの。
そしてお金の出し入れはこの銀行が全て牛耳るの。各ギルドなら預けるだけだけど、銀行に預けるとわずかだけど、お金が増えるのです。
ギルドの会員は銀行に報酬を預けると思います」
わたしは、ふふっと笑い
「身分証明書(ギルドカード)に入っているお金は、ギルドカードを紛失して亡くなった場合は、例え、親や子供でもそれを受け取ることが出来ません。
しかし、銀行に預けると、本人が亡くなった事を証明出来れば、遺族にお金を渡すことが出来るのです。
冒険者ギルドを利用する冒険者は、常に死と隣会わせなので、これを聞くだけでも預ける人が多くいると思います。
商業ギルドですと、今までのお金のやり取りは、本人が直接お金を渡すか、ギルド内でギルドカードどうしを合わせてお金を移動するやり方が主流だと学びましたが、約束手形を発行すれば、お互いが顔を合わせなくてもお金の受け渡しが出来るようになります。
あと、列車が完成した場合、お金の支払いや受け取りも楽になります。
遠くにいても、銀行を介してお金をやりとりすれば良いのですから、当然手数料をいただきますけど、
ここまでは、主に個人のメリットでしたが、団体やギルドの一番大きなメリットは、お金を管理していたひと、窓口の人件費がなくなるようにいたします。
銀行業務をする人間をギルドに派遣するのです。
それだけでも各ギルドにとってメリットになると思います。
まあ、どちらにしても最初の資金は私の商会から出そうとおもっていますけど・・・ 」
「なるほどな。領地内のお金の動きがわかるのはありがたいな。
今までならば、各ギルドを回ってお金の動きを把握しなければならなかったが、銀行を使えば、お金の動きがすぐに解るようになるな」
お父様は、ふっと笑い
「これをはじめたら、すぐに王国も銀行を作ろうとするだろう。
お金の動きがわかれば、事前に不正を防いだり、盗賊などの動きもわかるようになる。そして貴族の動きもわかるようになる」
お父様は瞼を閉じでうんうんと頭を動かしています。
「閣下。お金の管理と運搬はどのようにしますか?」
レオンは右手を挙げてお父様に聞きました。
「お金を預かったときは、使用者を決めたアイテムバックにいれることにする。
お金の引き出しもそこからだな。ある程度まとまったお金ならば、銀行に直接取りに来て貰うか、後日取りに来て貰う。
まあ、各ギルドも金額が多いときは後日取りに来て貰っているので大丈夫だろう」
「それと警備の問題は如何なさいますか?」
続けてレオンは右手を挙げて聞きました。
「各ギルドにいるときは、そのギルドの護衛に任せるようにしよう。銀行からギルドに護衛をつけて移動だな。帰りもギルドから護衛をつけて移動だな」
「閣下。銀行で働く方は、独身だと寮を作って住んで貰った方が良さそうですね」
「そうだな。既婚者も家持ちでなければ、住むところを固めた方が安心だな」
「「そうですね」」
レオンと私は首肯しました。
「銀行は、ベルティンブルグ内だけでなく、オドヘートやレナウドなどの寄子たちにもやって貰った方がよいな」
お父様が自分の領地だけではなく、寄子の貴族の領地にも銀行を作ると決めたとき ドアが3回ノックされました。
「お館様、お嬢様。面会室でご隠居様ご夫婦がお待ちです!」
「親父とお袋が?」
お父様は驚きの顔を隠せず、動揺する顔をみせました。
「おとうさん。面会室に参りましょう。レオンもついてきて」
私達は急いで応接室に行くのでした。
「お父さん、要するに、王族に利益を搾取されないようにするためにこのような作戦をとるのです。
列車事業は、きっと私達でしか出来ないはずなので、これが成功した後、必ず王様は、王都まで列車を引いて欲しいと依頼を出すでしょうが、たっぷりとお金をふんだくります」
悪い顔をしている私にお父様は
「エルーシアちゃん。わかっているとは思うけど、私達は王家に仕えているのだよ?」お父様は私を窘めましたが、
「お父様、王家は私達の領地に援助などしたことありますか?いいえ、他の方の治める領地に対しても!無いですよね、税ばかりとり、そのお金は軍に流れることが多く、しかも有事があれば各領主に領地軍を出せと。それに国防だけでなく、国力をあげ、国民が豊かに暮らせるようにするのが国を治めるモノの努めと思いますが、その点は、ベルティンブルグ公爵家にたよっているではないですか?
今は、このように仲良くして私達を取り込もうとしている王族ですが、私達が貧窮したとき、果たして助けてくれるのでしょうか?
その点が確信出来ないため私は、王家を信用してないのです」
「エルーシアちゃん?」
お父様は少し困った顔を浮かべながら愛想笑いをしています。
「申し訳ございません。本音がここで出てしまいました。貴族の令嬢として恥じるべきですね・・・ でも王家に搾取されるのが一番しゃくにさわるのです」
「閣下。エルーシアお嬢様、今の本音だだ漏れの所は、僕には、聞こえませんでした」レオンは私の失言を聞かなかったことにしてくれました。そして 「ところで、商業都市なのですが、ベルティンブルグ公爵家直営の会社の運営だと盛り上がりが欠けると思いますが何か考えありますか?」
「そうね。領民達もお店を出せるように資金が必要ね・・・
銀行? 銀行!! 銀行を作りましょう?」
「「銀行!!」」
ああっと納得顔のレオンと
銀行?と頭を傾けるお父様
「簡単に言いますと、高利貸しの機能にお金を集めることを入れた組織です。
お金を集めて、集めたお金を、個人や貴族、商人などに貸して、そこから手数料を足して貸したお金を返して貰うの。その手数料の一部を出資してくれた人に支払うの。
銀行は、お金を集めることと、その集めたお金を貸す所を決めるの。そこに貸してちゃんとお金を返してもらえるか調べたりしながらね。その審査が通ればお金を貸すの。
担保があれば、返せなくなったらそれをお金の代わりに回収するの」
「お金はどうやって集めるのだい?」
「各ギルドは、お金を預かっていますよね。それを銀行に権限を委譲して貰うの。
そしてお金の出し入れはこの銀行が全て牛耳るの。各ギルドなら預けるだけだけど、銀行に預けるとわずかだけど、お金が増えるのです。
ギルドの会員は銀行に報酬を預けると思います」
わたしは、ふふっと笑い
「身分証明書(ギルドカード)に入っているお金は、ギルドカードを紛失して亡くなった場合は、例え、親や子供でもそれを受け取ることが出来ません。
しかし、銀行に預けると、本人が亡くなった事を証明出来れば、遺族にお金を渡すことが出来るのです。
冒険者ギルドを利用する冒険者は、常に死と隣会わせなので、これを聞くだけでも預ける人が多くいると思います。
商業ギルドですと、今までのお金のやり取りは、本人が直接お金を渡すか、ギルド内でギルドカードどうしを合わせてお金を移動するやり方が主流だと学びましたが、約束手形を発行すれば、お互いが顔を合わせなくてもお金の受け渡しが出来るようになります。
あと、列車が完成した場合、お金の支払いや受け取りも楽になります。
遠くにいても、銀行を介してお金をやりとりすれば良いのですから、当然手数料をいただきますけど、
ここまでは、主に個人のメリットでしたが、団体やギルドの一番大きなメリットは、お金を管理していたひと、窓口の人件費がなくなるようにいたします。
銀行業務をする人間をギルドに派遣するのです。
それだけでも各ギルドにとってメリットになると思います。
まあ、どちらにしても最初の資金は私の商会から出そうとおもっていますけど・・・ 」
「なるほどな。領地内のお金の動きがわかるのはありがたいな。
今までならば、各ギルドを回ってお金の動きを把握しなければならなかったが、銀行を使えば、お金の動きがすぐに解るようになるな」
お父様は、ふっと笑い
「これをはじめたら、すぐに王国も銀行を作ろうとするだろう。
お金の動きがわかれば、事前に不正を防いだり、盗賊などの動きもわかるようになる。そして貴族の動きもわかるようになる」
お父様は瞼を閉じでうんうんと頭を動かしています。
「閣下。お金の管理と運搬はどのようにしますか?」
レオンは右手を挙げてお父様に聞きました。
「お金を預かったときは、使用者を決めたアイテムバックにいれることにする。
お金の引き出しもそこからだな。ある程度まとまったお金ならば、銀行に直接取りに来て貰うか、後日取りに来て貰う。
まあ、各ギルドも金額が多いときは後日取りに来て貰っているので大丈夫だろう」
「それと警備の問題は如何なさいますか?」
続けてレオンは右手を挙げて聞きました。
「各ギルドにいるときは、そのギルドの護衛に任せるようにしよう。銀行からギルドに護衛をつけて移動だな。帰りもギルドから護衛をつけて移動だな」
「閣下。銀行で働く方は、独身だと寮を作って住んで貰った方が良さそうですね」
「そうだな。既婚者も家持ちでなければ、住むところを固めた方が安心だな」
「「そうですね」」
レオンと私は首肯しました。
「銀行は、ベルティンブルグ内だけでなく、オドヘートやレナウドなどの寄子たちにもやって貰った方がよいな」
お父様が自分の領地だけではなく、寄子の貴族の領地にも銀行を作ると決めたとき ドアが3回ノックされました。
「お館様、お嬢様。面会室でご隠居様ご夫婦がお待ちです!」
「親父とお袋が?」
お父様は驚きの顔を隠せず、動揺する顔をみせました。
「おとうさん。面会室に参りましょう。レオンもついてきて」
私達は急いで応接室に行くのでした。
29
お気に入りに追加
2,027
あなたにおすすめの小説
親友に裏切られ聖女の立場を乗っ取られたけど、私はただの聖女じゃないらしい
咲貴
ファンタジー
孤児院で暮らすニーナは、聖女が触れると光る、という聖女判定の石を光らせてしまった。
新しい聖女を捜しに来ていた捜索隊に報告しようとするが、同じ孤児院で姉妹同然に育った、親友イルザに聖女の立場を乗っ取られてしまう。
「私こそが聖女なの。惨めな孤児院生活とはおさらばして、私はお城で良い生活を送るのよ」
イルザは悪びれず私に言い放った。
でも私、どうやらただの聖女じゃないらしいよ?
※こちらの作品は『小説家になろう』にも投稿しています
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜
三月べに
ファンタジー
令嬢に転生してよかった〜!!!
素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。
少女漫画や小説大好き人間だった前世。
転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。
そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが?
【連載再開しました! 二章 冒険編。】
投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
私をこき使って「役立たず!」と理不尽に国を追放した王子に馬鹿にした《聖女》の力で復讐したいと思います。
水垣するめ
ファンタジー
アメリア・ガーデンは《聖女》としての激務をこなす日々を過ごしていた。
ある日突然国王が倒れ、クロード・ベルト皇太子が権力を握る事になる。
翌日王宮へ行くと皇太子からいきなり「お前はクビだ!」と宣告された。
アメリアは聖女の必要性を必死に訴えるが、皇太子は聞く耳を持たずに解雇して国から追放する。
追放されるアメリアを馬鹿にして笑う皇太子。
しかし皇太子は知らなかった。
聖女がどれほどこの国に貢献していたのか。どれだけの人を癒やしていたのか。どれほど魔物の力を弱体化させていたのかを……。
散々こき使っておいて「役立たず」として解雇されたアメリアは、聖女の力を使い国に対して復讐しようと決意する。
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる