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マルグレーテ様は、警備する人や門番をも無視をして、外へ出ました。

「王妃様。ここからしばらくは、この魔道具(タ○コプター)で王都から離れます。一度、ベルンへ行って準備を整えてから国内の治水工事の進捗と病気の発症がしてないか確認に行きます。
王妃様も、ベルンでお着替えをしましょう」

「了解よ!エルーシアちゃん。マチルダちゃん。
そしてこれから私のことを王妃様ではなく、マルちゃんと呼んでね。例え私が貴女達より年上だとしても、王妃だとしてもマルちゃんね!」

(え?マルグレーテ王妃様。もうすでにはっちゃけている?
マルちゃんって 『ち○まる子ちゃん』それとも、赤○きつねの東洋○産の『マルちゃん』?)
などと考えてしましましたが、

「はい?さすがに目上の方に『ちゃん』呼びは・・・」
と私がひるんでいたところ

「マルちゃん。いい呼び方なのだ!ニックネームが気に入ったので私と友達なのだ!だからマルちゃんも私の事をニックネームで呼ぶことを許すのだ!」

「じゃあ、マッチーでいいかしら?」

「それでいいのだ!」

マチルダは私の気も知らずに王妃様に向かってマルちゃんと呼んでいます。

(まあ。確かに王妃様は、私と同い年の子供がいるとは思えないくらい若く見えます。それは20歳前半くらいに・・・)
私がそう考えていると

「マブダチの私も、マルちゃんと呼んでいるのだ!エルーシアもマルちゃんと呼ぶのだ!」

(ええ? マチルダ! 貴女は私や王妃様よりかなり年上だからあだ名呼びしてもいいわよね。人化すると美少女と美人の間の年齢に見えるけれど・・・ あ! 前世の記憶分も年齢を足すと私ももう三十路? そう考えると王妃様と同じ位の年齢か!)

「マルちゃん?」

「あら!エルちゃんもやっと私をマルちゃんと呼んでくれるのね!ふふふ。
 私たち3人が並ぶときっと、マッチーが長女で、私が次女、そしてエルちゃんが3女にしかみえないわ。誰がなんと言おうとしてもこれから私たちは3姉妹で通すのよ!」

(いいえ。見た目で言えば、王妃様が長女です。口が裂けても言えませんが・・・)
と突っ込みを頭の中でしていると

「そうなのだ!3姉妹なのだ!」

「いいえ。王妃様がどんなにお若く見えても、国民は第一王妃とすぐわかりますから・・・姉妹には見えませんから・・・」

「まあ。エルちゃん乗りが悪いわね。それに私はマルちゃんよ」
「ああ。はいはい マルちゃん」

「まあ。エルちゃん。全くおかんは面倒くさいな!というお返事は辞めてね」

(実際に面倒くさい!)
「はい。はい」

あしらうように返事をした私に対して王妃様は、ほっぺたを膨らませながらブンスカ怒っています。



「ここまで、王都から離れたらマチルダに乗っても大丈夫でしょう」
私は、プンスカ怒って私の方をみてほっぺたを膨らませている王妃様を無視してそう言いました。

そこは、オドヘート一家が魔物に襲われ、プルプルをテイムした付近です。
(ここはもうルクセンブルク領内よね。この場所って丘になっていて見晴らしも良く、道路を広く平らにしたら馬車でも2時間くらいで来ることが出来るわね・・・)
そう考えていると
「エルちゃんどうしたの?ぼーっとして」

「申し訳ございません。ちょっと考え事を」


ばばーん!


2人が会話している間にマチルダは古竜の姿に戻りました。

「マッチー。すごいわ! こんなに格好いいなんて! 惚れてしまいそう」
王妃様は古竜になったマチルダを見て目をハートマークにして褒め称えています。

「マルちゃんの前でこの姿を見せるのは何年ぶりかの?確かあの時は4人組のパーティーだったのだ!」

王妃様は、丸くしていた目を見開き、口をあんぐりと開けました。

「え?マッチーはもしかしてあの時の?」

「そうなのだ!其方達4人を鼻息で吹っ飛ばした古竜なのだ!」

(ええええええええええ!王妃様パーティーを組んでいたの?しかも古竜と戦おうとしたの?)

「マルちゃんって王妃になる前は冒険者だったのですか?」

「ふふふ。あの頃は楽しかったわ。攻撃魔法をぶっ放してストレス発散していたのよ」

「あああ。そうだったのですね!」
(攻撃魔法をぶっ放すって、第一王妃のマルグレーテ様は超お転婆?)
と返事をしながら考えていると

「マルちゃんは、古竜の私にも耳にはいるくらいの魔法使いだったのだ!
鼻息で飛ばされたけど!」

「マッチー。あまり私を虐めないで。あの時はワイバーンの討伐依頼を受けていたのよ。ワイバーンの巣に行ったら、マッチーがぬぅーと顔を出したの。もう終わったとおもったわ」

「まあ。私は久しぶりに人間キター!と思ったのだ!そうしてたら鼻息が荒くなってしまったのだ!」

「私たちに攻撃をしたのではなかったのですね?」

「そうなのだ!・・・ 
確かマルちゃんのパーティーに聖人の紋章を持った者もいたのだ!だから神や女神が絡んでいると思って面倒くさいと思ったのだ!」

「あれ?私たちの中にはそのような方はいらっしゃらなかったはずですが・・・。マッチーが言われるなら私たちが知らなかっただけなのでしょうか?」

王妃様は何かを隠すように目が泳いでいます。

「・・・ ・・・」

マチルダは私を一瞬みて、無言になりました。



シーンとする雰囲気に我慢できなくなったマチルダが

「じゃ!私の背に乗るのだ!出発進行なのだ!!!」

「「よいしょ」」
私たちはマチルダに乗りました。


「ヒィヤッッッッッッッッッッッッッッッッホーーーーーーーー!!!」


グーンと上昇していくマチルダに乗った王妃様は大声で叫びはじめました。

(ああ。王妃様。よほどストレスがたまっているのですね?)
私は、王妃様を哀れむようにみつめてしまいました。

そんな視線を感じることなく、王妃様は

「先程の、魔道具(タ○コプター)といい。マッチーといい。こんなに自由に空を飛んでいるのですね。とてもうらやましいですわ。私は魔力がある方ですが、飛んでも進むことが出来なかったのです。とてもうらやましいですわ」

(飛んでも進まないってそれはジャンプしているだけでしょう?)
私が王妃様に心の中で突っ込みを入れるとマチルダが

「いままであえて言わなかったのだ。実はエルーシアも魔法で魔力を使う事無く飛行出来るのだ!わたしの加護があるからなのだ!」

(え?私飛べるの? 古竜の加護ってすごいわ!)

王妃様はじとーっと私をみています。
ですが、何か思いついたのかマチルダに声をかけました。

「マッチー!私にも古竜の加護をください」

「マルちゃんは、弱いから駄目なのだ!修行して100年経っても無理なのだ!」
マチルダはあっさりと王妃様の要望を断りました。
王妃様はがっくりと肩を落としましたが、ベルンに着くまでずっと、ヒヤッホー!と叫び、私を見てうらやましいと言い続けるのでした。

(ほんと 鬱陶しいと思ったのはここだけのお話にしてください)


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