聖女の紋章 閑話集 ファリカの冒険

幸之丞

文字の大きさ
上 下
2 / 29

161 閑話 頑張るファリカちゃん! (2)

しおりを挟む
161 閑話 頑張るファリカちゃん! (2)

これから私の日常を紹介します。

私は、目が覚めるとアイリ(侍女)やクラーラに着替えをしてもらってから、朝の散歩に出かけます。

「プルプル、ポヨポヨ、シルバー、グラウ。おはよう」

4人のスライムちゃん達は、ピョンピョンと跳びはねて応えてくれます。

お姉ちゃまが、プルプルとポヨポヨに続き、銀色(メタル色?)に輝くスライムちゃんをテイムして来たのが、シルバーとグラウです。

プルプルとポヨポヨは、撫で撫でをしてもいやがらなかったのですけれども
シルバーとグラウは触ることさえも嫌がり
ダダダダッとかいってすぐ逃げてしまいます。
でも、散歩の時には私についてきてくれます。
私は今日も4人のスライムちゃんを連れて、お屋敷の敷地内をお散歩します。

「ファリカ様。今日も良い天気ですね」
「ファリカ様。あちらに綺麗な花が咲いていますよ」
「お嬢様。お屋敷内の果実が実ってきていますよ」
「スライムちゃんもお元気で何よりですね」
などと使用人達が私達に声をかけてきてくれます。

「えへへ。ファリカお嬢様お待たせしました~の」
そう言ってホルダが走って私達に近づいて来ます。

「あ!」その途中でホルダは躓いてしまいました。

躓いて転んじゃう!

っと思った瞬間、クルッと前転して私の前に立ちました。
(どれだけ身体能力が高いの?うらやましい~)

「ホルダ。慌てなくても大丈夫。転ばなくて良かったわね」
私は、うらやましいという顔を出さないよう、令嬢スマイルでごまかしました。

「はい。私はお姉ちゃんに似て運動神経がいいのです」

「え~。だったら走っているときに躓かないわ」

「えへへ」

ホルダは頭をかいています。

そして
「「あははは」」

私とホルダは顔を見合わせて笑いあいました。


「「うふふふ」」
あれ?私達以外にも笑い声が聞こえました。
私はまわりを見ましたが、スライムちゃん達以外は誰もいません。

「もしかして、貴女達が笑ったの?」
私はスライムちゃん達に向かって聞きました。

「「うん。シルバーとグラウが笑ったよ?」」

え?

「シルバーとグラウしゃべれるの?」

「「うん。ファリカが、仲良くしてくれたから、ご主人様(エルーシア)以外にもファリカとお話し出来るようになったよ?」」

「あ。そうなんだ。これからもよろしくね」
私は再び、リーサお姉様張りの令嬢スマイルで動揺を隠しました。

「「うん。こちらこそよろしくね。
それとファリカ、私達を触りたかったら、手を広げて待ってて欲しいの。
追いかけられると私達メタルスライムは反射的に逃げてしまうのよ」」

私は声が聞こえたように手を大きく開きシルバーとグラウを待ちました。



すると、二人は私の腕の中に入って来ました。

やりました。メタルスライムちゃん達も仲良しになりました。

ふと横を見ると、スライムちゃん達と会話する私をみてホルダは首をひねっています。

「ファさま。もしかして、スライムちゃんたちとお話しできるようになったの?」

「うん」

「えええ!! すごいですね。これでエルーシア様さまに近づきましたね」

「えへへ」

私は頭をかいて照れくささをごまかしました。

「でも、ファ様の一番の友達は、わたしですよね?」
ホルダは、上目遣いで私を見つめています。

「私の一番の友達は、もちろんホルダです。その次がスライムちゃん達です」
「えへへへ」
ホルダはニコニコしてテレテレです。



「ファリカ様。朝食の用意ができましたよ~」
遠くから使用人の声が聞こえます。
「ただいま行きます。
それではまた後でね」


私は、ホルダとスライムちゃん達と別れ朝食に向かいました。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

処理中です...