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『ぼくが配下のだめ忍者を従えて姫プさせる配信』
配信前の茶番・我がまま姫と苦労人忍者
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「はぁ~? なんだよこのスロットは~? 全然当たらないじゃんかよ~! おい、これ裏で操作してんじゃないのか~!? 支配人を呼べ、支配人を!!」
翌日の夜、大々的な告知をした後で開催された茶緑ガラシャと嵐魔琥太郎の本格的な初のコラボ配信の冒頭は、ガラシャのそんな暴言から始まった。
およそ三千人という、昨日の配信よりもさらに上乗せされた同接が二人に集まる注目を物語っているだろう。
今、界隈で話題になっているこの二人が、どんな絡みを見せるのか?
それを期待しながら配信冒頭の茶番を見守るリスナーの前に、もう一人の出演者である琥太郎が姿を現す。
「姫! 姫!! お願いだからギャンブルに勝てないからって物や他人に当たらないでくだされ! 慎みを! もっと慎みを大事に!!」
「うっせ~! せっかくラスベガスに来たってのに、ボロクソに負けてばっかりじゃないかよ~! ぶぉくのお金がガンガン吸い取られてるってのに、冷静でいられるか! こたりょ~! 軍資金を持ってこい! ぼくは今日の負け分を取り返すまでやるぞ!!」
「お言葉ですが、今の姫はもろにカモでござるよ……今日はもう帰って寝た方がいいかと……」
「なんだとぅ!? こたりょ~の分際でぶぉくに意見するってのか! こいつめ、ぼくに逆らったことを後悔させてやる! このっ、このっ!」
「ああ、痛いっ! 姫、乱暴はやめてくだされ! 落ち着いて! 落ち着いて!」
【一日で主従関係できあがってて草www】
【もう我がまま姫に振り回される不憫キャラになってるwww】
【ごめんな、こたりょ~……】
ぽこぽこと叩かれる琥太郎の不憫さに涙しつつも、たった一日で命の恩人への態度を急変させたガラシャの姿に笑いが止まらないでいるリスナーたち。
今の二人は我がままなお姫様とそれに仕える忍者ですよ~、ということをこの茶番で理解した彼らの前で、話が急展開を迎える。
――ドッカーーン!
「うわぁ!? なんだ、今の音は? なんか爆発したみたいだけど……?」
「ちょっと様子を見てくるでござる。姫はこちらでお待ちを……とうっ! ――様子を見て参りました、大変ですぞ!」
「こたりょ~、お前って本当に忍者だったんだな。こんな短時間で事態を把握できるだなんて……」
「いや、そんな話をしている場合じゃないんでござるよ! 詳しい事情は不明でござるが、今の爆発でゾンビが大量発生してここに殺到しているでござる! 早く逃げないと、我々も食べられちゃうでござるよ!!」
「な、なんだって~っ!? こうしちゃいられない! おい、こたりょ~! ぼくを守れ! 役目でしょ!?」
「御意! では姫、失礼するでござる!」
ひょいっ、とガラシャの体を傾け、抱えるような恰好になった琥太郎がそのままジャンプすれば、次の瞬間には豪華なカジノから薄暗い管理人室へと背景が変化していた。
暗に彼が護衛対象である姫を連れてここまで逃げてきたことを示しながら、安全地帯まで彼女を連れてきた琥太郎はほっと安堵のため息を吐くと共にガラシャへと言う。
「ここまでくれば安心でござる。あとは、救助が来るまでの辛抱でござるよ」
このセーフルームならば、ゾンビの襲撃から身を守ることができる。
窮屈かもしれないが、命あっての物種であると多少の辛抱をガラシャへと望む琥太郎であったが……?
「ばっきゃろ~! なにしてるんだ! どうしてぼくをこんな場所に連れてきた!?」
「えっ……!?」
なんとまあ、主を思って彼女を安全地帯まで連れてきたはずなのに、その主から罵倒されるという謎の事態に直面した琥太郎が混乱すると共に硬直する。
そんな彼へと、ガラシャはぶーぶーと文句を垂れながら不満をぶつけていった。
「こんな面白い展開を見逃す馬鹿がどこにいるんだよ!? こんなところじゃゾンビもスプラッターな場面も見れないだろ~!?」
「い、いやでも、姫は拙者に自分を守れと命じられたではありませぬか!」
「あれはぼくが安心してゾンビを観察したり、哀れにも食われる下々の者たちの姿を楽しむために護衛をしろって意味だよ! 忍ならそんくらい察しろよな~!」
「趣味悪っ!! っていうか、そんなヤバい思考を理解できる人間なんて、普通どこにもいないでござるよ!?」
「あんだと~? こたりょ~のくせに、ぼくに意見しやがって……! まあいいや。おい、外出るぞ。面白イベントを最前列で見学だ!」
「あっ、ちょっ!? 姫!? 本気でござるか!?」
「あったりめ~よ~! あっ、言っておくけど、華奢でひ弱でかわいいぼくはお箸よりも重い物は持てないからな? 武器なんて持てないから、ゾンビと戦うのはお前の役目だぞ。ぼくが死なないよう、一生懸命護衛しろよ、こたりょ~!」
「えええええ……っ!?」
というわけで、無謀で無茶で我がままな命令を琥太郎へと出しつつ、近くの換気ダクトから再びゾンビが闊歩するショッピングモールへと舞い戻るガラシャ。
その後を慌てて追った琥太郎と並び立ったところで茶番を終えた二人は、ガラシャの姫プ願望を叶えるための楽しい楽しいコラボ配信を本格的に開始する。
翌日の夜、大々的な告知をした後で開催された茶緑ガラシャと嵐魔琥太郎の本格的な初のコラボ配信の冒頭は、ガラシャのそんな暴言から始まった。
およそ三千人という、昨日の配信よりもさらに上乗せされた同接が二人に集まる注目を物語っているだろう。
今、界隈で話題になっているこの二人が、どんな絡みを見せるのか?
それを期待しながら配信冒頭の茶番を見守るリスナーの前に、もう一人の出演者である琥太郎が姿を現す。
「姫! 姫!! お願いだからギャンブルに勝てないからって物や他人に当たらないでくだされ! 慎みを! もっと慎みを大事に!!」
「うっせ~! せっかくラスベガスに来たってのに、ボロクソに負けてばっかりじゃないかよ~! ぶぉくのお金がガンガン吸い取られてるってのに、冷静でいられるか! こたりょ~! 軍資金を持ってこい! ぼくは今日の負け分を取り返すまでやるぞ!!」
「お言葉ですが、今の姫はもろにカモでござるよ……今日はもう帰って寝た方がいいかと……」
「なんだとぅ!? こたりょ~の分際でぶぉくに意見するってのか! こいつめ、ぼくに逆らったことを後悔させてやる! このっ、このっ!」
「ああ、痛いっ! 姫、乱暴はやめてくだされ! 落ち着いて! 落ち着いて!」
【一日で主従関係できあがってて草www】
【もう我がまま姫に振り回される不憫キャラになってるwww】
【ごめんな、こたりょ~……】
ぽこぽこと叩かれる琥太郎の不憫さに涙しつつも、たった一日で命の恩人への態度を急変させたガラシャの姿に笑いが止まらないでいるリスナーたち。
今の二人は我がままなお姫様とそれに仕える忍者ですよ~、ということをこの茶番で理解した彼らの前で、話が急展開を迎える。
――ドッカーーン!
「うわぁ!? なんだ、今の音は? なんか爆発したみたいだけど……?」
「ちょっと様子を見てくるでござる。姫はこちらでお待ちを……とうっ! ――様子を見て参りました、大変ですぞ!」
「こたりょ~、お前って本当に忍者だったんだな。こんな短時間で事態を把握できるだなんて……」
「いや、そんな話をしている場合じゃないんでござるよ! 詳しい事情は不明でござるが、今の爆発でゾンビが大量発生してここに殺到しているでござる! 早く逃げないと、我々も食べられちゃうでござるよ!!」
「な、なんだって~っ!? こうしちゃいられない! おい、こたりょ~! ぼくを守れ! 役目でしょ!?」
「御意! では姫、失礼するでござる!」
ひょいっ、とガラシャの体を傾け、抱えるような恰好になった琥太郎がそのままジャンプすれば、次の瞬間には豪華なカジノから薄暗い管理人室へと背景が変化していた。
暗に彼が護衛対象である姫を連れてここまで逃げてきたことを示しながら、安全地帯まで彼女を連れてきた琥太郎はほっと安堵のため息を吐くと共にガラシャへと言う。
「ここまでくれば安心でござる。あとは、救助が来るまでの辛抱でござるよ」
このセーフルームならば、ゾンビの襲撃から身を守ることができる。
窮屈かもしれないが、命あっての物種であると多少の辛抱をガラシャへと望む琥太郎であったが……?
「ばっきゃろ~! なにしてるんだ! どうしてぼくをこんな場所に連れてきた!?」
「えっ……!?」
なんとまあ、主を思って彼女を安全地帯まで連れてきたはずなのに、その主から罵倒されるという謎の事態に直面した琥太郎が混乱すると共に硬直する。
そんな彼へと、ガラシャはぶーぶーと文句を垂れながら不満をぶつけていった。
「こんな面白い展開を見逃す馬鹿がどこにいるんだよ!? こんなところじゃゾンビもスプラッターな場面も見れないだろ~!?」
「い、いやでも、姫は拙者に自分を守れと命じられたではありませぬか!」
「あれはぼくが安心してゾンビを観察したり、哀れにも食われる下々の者たちの姿を楽しむために護衛をしろって意味だよ! 忍ならそんくらい察しろよな~!」
「趣味悪っ!! っていうか、そんなヤバい思考を理解できる人間なんて、普通どこにもいないでござるよ!?」
「あんだと~? こたりょ~のくせに、ぼくに意見しやがって……! まあいいや。おい、外出るぞ。面白イベントを最前列で見学だ!」
「あっ、ちょっ!? 姫!? 本気でござるか!?」
「あったりめ~よ~! あっ、言っておくけど、華奢でひ弱でかわいいぼくはお箸よりも重い物は持てないからな? 武器なんて持てないから、ゾンビと戦うのはお前の役目だぞ。ぼくが死なないよう、一生懸命護衛しろよ、こたりょ~!」
「えええええ……っ!?」
というわけで、無謀で無茶で我がままな命令を琥太郎へと出しつつ、近くの換気ダクトから再びゾンビが闊歩するショッピングモールへと舞い戻るガラシャ。
その後を慌てて追った琥太郎と並び立ったところで茶番を終えた二人は、ガラシャの姫プ願望を叶えるための楽しい楽しいコラボ配信を本格的に開始する。
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