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婚約破棄に向けて
チャンスは一回。
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食事のタイミングは2回あるみたいだけど一回でも失敗したらここを出るのは難しいだろう。
朝の1回目は周りに人がいる可能性も考えるのと、扉の外側がどんな感じになっているか含めて意識が戻っていないふりをして見ておきたいところだ。
「ハマー夫人、いつもここに食事を持ってくるのは誰なんですか?」いつもの様子を聞いてみると持ってくる人は毎回違うそうだ。ただ、全員屋敷では見たことない人たちらしい。
多分ワーグナー準男爵とハマー侯爵は裏で繋がっている気がする。ワーグナーの帳簿を見ていたはずなのに連れてこられたのがハマー領という時点でおかしいもの。もしかしたらワーグナー側の人かもしれないわね。
色々考えていると扉をガチャガチャと開けようとしている音が聞こえる。
「私は意識を失ったふりをしていますので、いつも通りにしていただけますか?。」
夫人はこくりと頷いた。
「おい、パンと水を持ってきたぞ。もう1人はまだ寝たままか。」
男は私が寝ているのを確認してパンと水をおく。
私は寝たふりをしながらそろりと片目を開け、扉の向こう側は見た。外を見ると草が生い茂ったところのようだ。なので外に出ても隠れやすいかもしれない。
あとは見たところここにくる時馬に乗ってきているようで、馬が近くに置いてあるのが見える。
取り敢えず馬は確保できそうでよかった。
男が部屋の扉を閉めたので私はそろりと起き上がる。ちなみにずっと意識を失っていたからか知らないけど、拘束されていないのが救いだ。
あとは出る時にどうするかだけど、扉が内側に引くタイプの扉だったので、男が出るタイミングで扉の裏側に隠れて出るのが1番いいかもしれないと考える。
武器になりそうなものがないので取り敢えず脱出するのが1番だ。
外を見た感じ男も1人で来ているようだった。恐らく女2人なら1人で大丈夫ということなのだろう。逃げるまでまだ油断はできないものの少し安心した。
夜になり、そろそろ食事を持ってくる時間だと思うので、わたしは扉の後ろに待機する。暗闇ということもあり、隠れるにはもってこいの時間だ。うまくここを乗り切れればいいと思うのだけど…
そう思って潜んでいるとガチャガチャ開ける音が聞こえる。
私は静かに扉が開くのを待った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
扉が開き男が中にはいってくる。
「おい、もう1人の女はどうした?」
扉が開く瞬間、その光で中が見えたのだろう。
どうしようか考えてると、
「先ほど一瞬起きたんですけど、まだ体調がすぐれないのか奥の方で休まれてますよ。」そう言って暗闇の中を指差している夫人。
夫人は私の方を見てこくりと頷く。「行きなさい」そう言っている気がした。
男が中に入ってきて私を探しているようだったので私はゆっくりと扉から出る。
無事外に出られたもののまだ終わりではないため馬に飛び乗り急いで森らしいところを走った。
森の中を少し進むと大きな街道に繋がっていたみたいだ。私は馬を降りて街道に出ようと前に進む。
これで人通りの多いところに出れるのではないかという安堵から、少し気が緩んでしまっていたのかもしれない。
少しずつ街道に向かって歩いていると急に後ろから口を押さえられた。
朝の1回目は周りに人がいる可能性も考えるのと、扉の外側がどんな感じになっているか含めて意識が戻っていないふりをして見ておきたいところだ。
「ハマー夫人、いつもここに食事を持ってくるのは誰なんですか?」いつもの様子を聞いてみると持ってくる人は毎回違うそうだ。ただ、全員屋敷では見たことない人たちらしい。
多分ワーグナー準男爵とハマー侯爵は裏で繋がっている気がする。ワーグナーの帳簿を見ていたはずなのに連れてこられたのがハマー領という時点でおかしいもの。もしかしたらワーグナー側の人かもしれないわね。
色々考えていると扉をガチャガチャと開けようとしている音が聞こえる。
「私は意識を失ったふりをしていますので、いつも通りにしていただけますか?。」
夫人はこくりと頷いた。
「おい、パンと水を持ってきたぞ。もう1人はまだ寝たままか。」
男は私が寝ているのを確認してパンと水をおく。
私は寝たふりをしながらそろりと片目を開け、扉の向こう側は見た。外を見ると草が生い茂ったところのようだ。なので外に出ても隠れやすいかもしれない。
あとは見たところここにくる時馬に乗ってきているようで、馬が近くに置いてあるのが見える。
取り敢えず馬は確保できそうでよかった。
男が部屋の扉を閉めたので私はそろりと起き上がる。ちなみにずっと意識を失っていたからか知らないけど、拘束されていないのが救いだ。
あとは出る時にどうするかだけど、扉が内側に引くタイプの扉だったので、男が出るタイミングで扉の裏側に隠れて出るのが1番いいかもしれないと考える。
武器になりそうなものがないので取り敢えず脱出するのが1番だ。
外を見た感じ男も1人で来ているようだった。恐らく女2人なら1人で大丈夫ということなのだろう。逃げるまでまだ油断はできないものの少し安心した。
夜になり、そろそろ食事を持ってくる時間だと思うので、わたしは扉の後ろに待機する。暗闇ということもあり、隠れるにはもってこいの時間だ。うまくここを乗り切れればいいと思うのだけど…
そう思って潜んでいるとガチャガチャ開ける音が聞こえる。
私は静かに扉が開くのを待った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
扉が開き男が中にはいってくる。
「おい、もう1人の女はどうした?」
扉が開く瞬間、その光で中が見えたのだろう。
どうしようか考えてると、
「先ほど一瞬起きたんですけど、まだ体調がすぐれないのか奥の方で休まれてますよ。」そう言って暗闇の中を指差している夫人。
夫人は私の方を見てこくりと頷く。「行きなさい」そう言っている気がした。
男が中に入ってきて私を探しているようだったので私はゆっくりと扉から出る。
無事外に出られたもののまだ終わりではないため馬に飛び乗り急いで森らしいところを走った。
森の中を少し進むと大きな街道に繋がっていたみたいだ。私は馬を降りて街道に出ようと前に進む。
これで人通りの多いところに出れるのではないかという安堵から、少し気が緩んでしまっていたのかもしれない。
少しずつ街道に向かって歩いていると急に後ろから口を押さえられた。
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