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婚約破棄に向けて
ここを出るにはどうしたらいいでしょうか。
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頭の中を少し整理してもう一度辺りを見渡す。取り敢えずここを出るためにどうしたらいいか考えよう。
恐らく私がいなくなって時間も経っているからディーダとファルディが動いてくれているはずだ。
「まずは王都に戻ることが先決ね。」
この建物の作り的にそんなに広くもなければ頑丈ではないだろう。外から木漏れ日が入ってきているくらいだ。扉は一つ。
ただ、扉から出るのはすこしあぶないきがする。
「ハマー夫人、ここから王都までどのくらいでしょうか。」
「ここが邸の近くであれば馬車で2時間くらいよ。馬なら1時間くらいかしら。」
ハマー領と王都は隣り合っているしそんなに距離はないわよね。馬があれば領地で乗っていたしなんとか逃げられそうだけど、ハマー夫人を連れていくとなると馬車が欲しいところだ。
「私がここに連れてこられてどのくらいで目を覚ましたか覚えていらっしゃいますか?」
夫人は少し考えて…
「あなたが来た時確かまだ外は暗かったはず。でも起きるまで木漏れ日が入ってこなかったから…半日くらいかしら。」
ということは私が家を出て1日くらいかしら。それであれば夜会は明日ね。まだ間に合うわ。
「ありがとうございます。」
私はレン様と違って力があるわけではないし、力ずくでここを出るのは難しいわね。あとは扉が開いた瞬間を狙うか、他のところで出れそうなところを探すかだけど…
小窓などもなさそうだし…
あれ?なんでレン様の事ばかり考えているのかしら…まぁそれは置いておいて…
恐らく夫人がまだ生きていられるということは誰かしら食事を持って来ているはずだと思い、食事について聞いてみると朝と夜パンと水を運んでくる人がいると言っていた。
「食事を持って来たタイミングを狙いましょう。ハマー夫人のことは必ず後で迎えに来ますのでお待ちいただけますか?」
「えぇ。わかったわ!」
⟡.·*.··············································⟡.·*.
ディーダ視点。
ファルディと一緒にお嬢様の後を追っていると、野菜屋さんのおばさんと話し始めた。
「今日は人通り少ないわね。」
「そうですね。お陰でお嬢様を見失わずにすみそうですが…」
野菜屋さんのおばさんが急に顔色を悪くしお嬢様を家に押し込めた。
ファルディ腕を組みながら少し近くに寄ってみると、2人の男性が店の方に近づいてくる。
遠くからなので話し声は聞こえないが、見たところいい話ではなさそうだ…野菜屋さんが指をさして「あっちの方に行ったよ。」と大きめな声で言うと、2人組はそのまま指を指した方に向かって歩き始める。
少し経つとお嬢様が出て来て馬車の方へ向かって歩き出した。私たちは見失わないよう後ろから歩いていく。
「ファルディ、お嬢様が移動を始めたから私たちもついていくわよ?」
急にファルディが立ち止まったので私は不思議に思いファルディの方を向いた。早くお嬢様を追いかけなければいけないのにどうしたのかしら。
「ファルディ、どうしたの?早くいくわよ!」
「ディーダ…ごめん…」泣きそうな顔をしながら大きく手を振った。
恐らく私がいなくなって時間も経っているからディーダとファルディが動いてくれているはずだ。
「まずは王都に戻ることが先決ね。」
この建物の作り的にそんなに広くもなければ頑丈ではないだろう。外から木漏れ日が入ってきているくらいだ。扉は一つ。
ただ、扉から出るのはすこしあぶないきがする。
「ハマー夫人、ここから王都までどのくらいでしょうか。」
「ここが邸の近くであれば馬車で2時間くらいよ。馬なら1時間くらいかしら。」
ハマー領と王都は隣り合っているしそんなに距離はないわよね。馬があれば領地で乗っていたしなんとか逃げられそうだけど、ハマー夫人を連れていくとなると馬車が欲しいところだ。
「私がここに連れてこられてどのくらいで目を覚ましたか覚えていらっしゃいますか?」
夫人は少し考えて…
「あなたが来た時確かまだ外は暗かったはず。でも起きるまで木漏れ日が入ってこなかったから…半日くらいかしら。」
ということは私が家を出て1日くらいかしら。それであれば夜会は明日ね。まだ間に合うわ。
「ありがとうございます。」
私はレン様と違って力があるわけではないし、力ずくでここを出るのは難しいわね。あとは扉が開いた瞬間を狙うか、他のところで出れそうなところを探すかだけど…
小窓などもなさそうだし…
あれ?なんでレン様の事ばかり考えているのかしら…まぁそれは置いておいて…
恐らく夫人がまだ生きていられるということは誰かしら食事を持って来ているはずだと思い、食事について聞いてみると朝と夜パンと水を運んでくる人がいると言っていた。
「食事を持って来たタイミングを狙いましょう。ハマー夫人のことは必ず後で迎えに来ますのでお待ちいただけますか?」
「えぇ。わかったわ!」
⟡.·*.··············································⟡.·*.
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ファルディと一緒にお嬢様の後を追っていると、野菜屋さんのおばさんと話し始めた。
「今日は人通り少ないわね。」
「そうですね。お陰でお嬢様を見失わずにすみそうですが…」
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ファルディ腕を組みながら少し近くに寄ってみると、2人の男性が店の方に近づいてくる。
遠くからなので話し声は聞こえないが、見たところいい話ではなさそうだ…野菜屋さんが指をさして「あっちの方に行ったよ。」と大きめな声で言うと、2人組はそのまま指を指した方に向かって歩き始める。
少し経つとお嬢様が出て来て馬車の方へ向かって歩き出した。私たちは見失わないよう後ろから歩いていく。
「ファルディ、お嬢様が移動を始めたから私たちもついていくわよ?」
急にファルディが立ち止まったので私は不思議に思いファルディの方を向いた。早くお嬢様を追いかけなければいけないのにどうしたのかしら。
「ファルディ、どうしたの?早くいくわよ!」
「ディーダ…ごめん…」泣きそうな顔をしながら大きく手を振った。
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