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婚約破棄に向けて

ハマー家の闇。 レンフォード視点。

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「クレイ。昨日ハマー家を調べる時気を付けたほうがいいといっていたが、何か知っているのか?」
たまたま、朝生徒会室にきたらクレイも来たので昨日のことを聞いてみる。

「えぇ。一応ある程度は調べたんですが、如何せん尻尾が掴めないというか実態が掴めないんですよね。」クレイが知っていることを話してくれる。
そもそも、ハマー家は3人の息子と両親の5人家族だ。ハマー家当主のヴィクター・ハマーは昔からかなり問題の多い人だったそうだ。女性問題だけでなく、貴族至上主義なところがあり、自分より爵位が下の人や平民の人にはいつも横柄な態度をとっていたらしい。侯爵家ということもあり、ほとんどの人たちが泣き寝入りする状態となっていた。ヴィクターは一人息子で、甘やかされて育っていた。問題が起きればヴィクターの父親が出てきて圧力をかけた。金銭ですべてを片付けたそうだ。おかげで尻尾がなかなか掴めなかったらしい。女性問題に至っては、メイドにも手を出すようになった。そしてメイドが辞めていくことも増えていったようだ。

ハマー夫人と結婚したが、女性問題は変わらなかったそうだ。ヴィクターはハマー夫人のことを毛嫌いしていたという。ハマー夫人との結婚は親が決めた結婚だった。実際はハマー夫人には別に婚約者がいたらしい。
「なんで結婚したんだい?」
「それが、ハマー夫人がある人に似ていたからだそうですよ。」
「その似ていた人って...」
「エリザベート・ジェード。シアのお母様です。」僕は話を聞いて唖然とした。ヴィクターはエリザベート様のことが好きだったのもののエリザベート様は全く興味がなかった。そこで他の女性を連れて歩けば自分に嫉妬して焼きもちを焼いてくれると思った。ここからどんどんエスカレートしていったらしい。ハマー夫人は髪色などは違うものの、少しエリザベート様に容姿が似ていたことで白羽の矢が立ったようだ。

「ヴィクターは未だにジェード伯爵へうらみがあるみたいでした。そして、いまだになんでもお金で解決しようとするので、家の財力は底をつきかけているみたいです。そこでワーグナーと闇に手を出し始めています。まずは薬ですね。今王都の若者の間で危ない薬が流行っています。薬は依存性が高く薬を体から抜くにはかなり大変みたいです。製造場所も一応調べましたが、見つかりませんでした。あとは子供を攫って他の国に売ったりしているみたいです。この国は人身売買は禁止されていますが、ヴァリオン国では禁止されていませんので...おそらくそちらに流しているのではないかと思います。」

聞いたことは思っている以上に闇に包まれた内容だった。

「今夫人とあと二人の息子はどこにいるんだい?」
「実は足取りが掴めません。もしかしたらヴァリオン国に売られた可能性もあるのではないかと...。口封じとして。上二人の兄は奥様に似てとてもやさしい性格をしていました。なのでヴィクターを止めていた可能性が高いですね。トーマスはヴィクターに似ていますから、最終的にはトーマスを当主に据えて傀儡にする気だったのではないかと思います。」

ヴァリオン国はあまり近寄りたくない国だ。何かあればいつ攻め込まれてもおかしくない。軍事国家のため子供のうちから戦闘教育を受けるのだ。

「武器や薬などもそちらから流されている可能性が高いな。」思っている以上に厄介なことになっていそうでため息が出てくる。
とりあえず今はシアを一人にしないように気を付けよう。調べていることがばれたらそれこそ大変なことになる。

最後に、クレイから「そうそう。父上からです。あまり首を突っ込むなと。こちらも動いているから安心しなさいとのことでした。あの世代の生徒会は最強と名高いメンバーでしたからね。恐らくシアの父親も国王とだと思いますよ。そして、戦闘面においても一番強いといわれていた男です。だからシアのことよろしくお願いしますね?レン。」クレイからの圧力が怖かったこともあり、僕はうなずくしかなかった。

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