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婚約破棄に向けて

ワーグナー夫人の行方。リーベル視点

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すこし残虐性のあるお話しが入ります。

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会議を行ってから2日後。
突然オリバーとウィリアムが家を訪ねてきた。

執事のファルマンが執務室にきて私に声をかける。
「旦那様。オリバー・ロンド様とウィリアム・バッハー様が来られました。現在は奥様がご対応中です。応接室にいらっしゃいますのでよろしくお願いいたします。」
一礼して執務室を後にする。
突然2人が家を訪ねてくるなんて珍しいなと思いながら応接室に向かうと、3人で他愛のない話をしていた。

「ウィリアム、オリバー待たせてすまない。2人が揃って来るなんて珍しいね?何かあったかい?」
エリザの隣に座りながら話しかける。

「こちらこそ突然の訪問申し訳ない。家にいてくれて良かったよ。ワーグナー夫人のことで分かったことがあったから来たんだ。」
あまり時間がないと言うこともあってオリバーだけでなくウィリアムも一緒に探してくれていたそうだ。

「そうか…探してくれて助かったよ。それでどうだった?」そう聞くと2人はとても渋い顔をする。もしかして生きていなかったとかだろうか…。

「結論から言うとワーグナー夫人は生きていたよ。ただ話せる状況ではなかったんだ…」ウィリアムが話を続ける。
ワーグナー夫人は王都の町にいたそうだ。ただなかなか見つからなかった。それもそのはずだ。王都から少し離れた森の中にある小さな小屋に住んでいたらしい。以前見かけたのは放浪していたからだろう。

「話せないと言うのはどう言うことだい?」

「あまりいい話ではないんだけど、舌がね無くなっていたんだよ…恐らく切られたんだろうね。そして、変な薬も飲まされていたみたい。これは検査でわかったんだけど、最近町の若者の中で流行って居る薬らしい。それが原因だと思うんだけど精神的にもおかしくなってしまっていて、話しかけても反応がなかったんだ。一応近くの医者には連れていったんだが、生きているのが不思議だって言ってたよ。」

「なんだって!?そもそも舌は誰が…?」

「そこはわからない。ただ、医者が言うには切られてから2年は時間が経っているそうだ。」

エリザが話を聞いて吃驚して居る。そりゃ、そうだろう。あまりに刺激が強すぎる。むしろ舌を切られるということは相当出血もしたはずだ。本当によく生きていたと思う。
「わ、わ、私が夫人をお茶会で見たのも多分2年以上前の話よ。でもこの間、ヴィーナが夫人を町で見た人がいるって…」
エリザが震えながら話すので私は軽く背中をさすった。
エリザからの質問にオリバーが答える。
「それがね。たまに精神が元に戻ることがあるらしいんだ。ただそのタイミングはわからないし、本当に一瞬みたいで、恐らくその戻ったタイミングで町に行くみたいだから見かけた人がいたんだと思うよ。」

恐らくこんなことをするとしたらワーグナー現当主しかいないだろう…。

「それと、もう一つわかったことがあるんだ。ドロシーだけどね。まさかの連れ子だということがわかったよ。因みにドロシーの実の母親はもういないようだ。赤子の時にワーグナー家は来て居るようだからドロシーは覚えていないかもしれないね。」
なるほど…初めは頑張ってワーグナー夫人も親になろうとして躾けてきたんだろうが、手に負えなくなってきてしまったと言うところかな。

「もしかしたらドロシーの実の母親も殺された可能性が高いね。自分の地位を盤石なものにするためならやりかねない気がするよ。一応オリバーは実の母親の死因も調べておいてくれるかい?流石にこの内容はシアには重すぎる内容だ。親の私たちで何とかしよう。」

「では、私はネイサンと、ノーマン、イーサンに伝えましょう。」
ウィリアムが3人に伝えてくれると言うので頼んで、私は若者の間で流行って居ると言う薬を調べることにした。




リーベル・ジェード
エリザベート・ジェード
オリバー・ロンド
ウィリアム・バッハー
ファルマン
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