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婚約破棄に向けて
婚約破棄の予定ということは、まだ婚約破棄していないということに気づいていないのでしょうか。
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ミーナを見かけて近寄って行こうとするとルーシーがそれを手で制した。
「ルーシー。ミーナは私の友人なんです。」
ミーナが泣かないように我慢しながら手を振り解こうとしている。ハスラー様はまだ起きる気配がない…。みたところ相当暴行を加えられたんだろう。出来れば早く助けてあげたいところだ。
しかし、ルーシー落ち着いた様子で、
「大丈夫だから。」と言って私の背中を優しく撫でてくれる。
トーマスはその間もミーナの手を離さず肩を抱き込もうとしていた。本当に我が婚約者ながら情けないと共に私の友人だから巻き込んだのかもしれないと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「さぁ、婚約者なんてほっておいて俺と出かけよう。婚約者と遊ぶより楽しいよ。」
トーマスがミーナを連れて食堂を出て行こうとしたところ、目の前からある人が現れた。
「で、ででで、殿下!?」
「やぁ、また会ったね。」
ニコニコしているが目は全く笑っていない。
「なんだったっけ?たしか、爵位が自分より下なら道を開けるのが当然。だったかな?」そう言って一歩一歩トーマスに寄っていく。
「マーティン。目の前のひと。たしか....浮気男くんだったね!浮気男くんの爵位はなんだい?」
レン様がトーマスに話しかけている間にミーナのことはクレイン様が助けてくれたようだ。私はミーナに近寄る。
「ミーナ、大丈夫?ごめんなさい。巻き込んでしまったわ。」そう言って抱きしめて、背中をさすった。ハスラー様の方を見るとルイス様が手当てをしてくださっている。
「シア。怖かったわ。でも決してシアのせいじゃないから自分を責めないで。」
そう言って私を気遣ってくれる。本当にいい友人を持ったと心から思った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
レンフォード視点。
昼食の時間になり生徒会室にいつものメンバーが訪れる。
シアが今日からトーマスの動きを探るため昼食は食堂でとるといっていた。本当は一緒に行きたいところだったが、流石に一緒に行動すると目立ってしまうと思い仕方なく生徒会室で食べている。
「そういえば今日からシアが、食堂に行くといっていたけど大丈夫かな?」
ルイスが少し心配そうに言葉にする。僕は一つある保険をかけておいたのでその話をした。
「シアが1人だと心配だからね。念には念を入れて、ルーシーに昼食は食堂に行って欲しいと伝えたよ。ルーシーがいればシアも1人じゃないから安心だろう。あと、出来れば食べ終わったら食堂に行ってみようと思っているけどいいかな?」
ルーシーにシアのことをお願いしたときそちらについてはすぐ承諾してくれた。ただ、何か問題が起きたときルーシーでは止められない。そのため、ルーシーから一つお願いをされたのである。昼食を食べ終えたら食堂に来ると言うことだ。
みんな頷いてわかったといってくれた。
そして、昼食後向かうと事態は大きくうごいている。昨日の今日でさすがだな思った。あわせて、もう少し静かにできないものかとも…。大きな人だかりができているので近寄っていく。
「やめてください!!」
大きな声が聞こえたので急いで向かうとそこには問題児トーマスがいた。試しに近くにいた男子生徒に何があったか聞いてみる。ちょっと肩がぶつかってしまった婚約者に暴行をした挙句、自分と遊ぼうと言っているそうだ。さらには、爵位が自分より低いのに逆らうな的な感じのことを言っているらしい。
僕は教えてくれてありがとうと一言伝えて前に出ていく。
トーマスが出て行こうとした扉の前にマーティンと立ち、道を塞ぐ。
「で、ででで、殿下!?」
「やぁ、また会ったね。」
僕は笑顔でトーマスに話しかける。
「なんだったっけ?たしか、爵位が自分より下なら道を開けるのが当然。だったかな?」
一歩一歩トーマスに寄っていくとシアとルーシーが見えた。シアは少し泣きそうな顔をしている。それもそうだ。婚約者が友人にこんなことしているのだから。
シアがこんなやつと婚約しているのかと思うと少し腹が立った。僕ならこんな目に合わせないのに…。
「マーティン。目の前のひと。たしか....浮気男くんだったね!浮気男くんの爵位はなんだい?」
「確か侯爵家の三男ですね。」
「そうか、じゃぁ、僕の方が上ということだ。因みにマーティンも公爵家だからね。浮気男くん退けてくれるかな?」そう言って食堂に入っていく。シアの友人も婚約者の様子を見て少し落ち着いたようだ。
「さて、浮気男くんに伝えておこう。この学校では貴族に恥じぬ行動をするということが習わしとなっている。貴族とはなんなのか。爵位を振り翳していいのか。そう言ったことは今までの授業で学んできたはずだ。そしてあくまで学校である以上、生徒も先生も対等だよ。そして、暴行を行う、婚約者がいる身で他の女性を誘うなんてもってのほかだ。」
「し、し、しかし、婚約破棄する予定なのです。」
ばかだな。まだ予定ということはしていないということに気づいていないのか。
「予定ということはまだ破棄していないということだよね。まぁ、いいだろう。今回の件、特に暴行については関わった人たち含めて先生に報告するよ。」
そう言って僕は踵を返す。「皆、昼食中邪魔したね。ゆっくり休んでくれ。」そう伝えると一人一人席に戻っていった。
シアに駆け寄りたい気持ちもあったが、ここは抑えてまた後で生徒会室で話そうと思い、生徒会室に戻った。
「ルーシー。ミーナは私の友人なんです。」
ミーナが泣かないように我慢しながら手を振り解こうとしている。ハスラー様はまだ起きる気配がない…。みたところ相当暴行を加えられたんだろう。出来れば早く助けてあげたいところだ。
しかし、ルーシー落ち着いた様子で、
「大丈夫だから。」と言って私の背中を優しく撫でてくれる。
トーマスはその間もミーナの手を離さず肩を抱き込もうとしていた。本当に我が婚約者ながら情けないと共に私の友人だから巻き込んだのかもしれないと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「さぁ、婚約者なんてほっておいて俺と出かけよう。婚約者と遊ぶより楽しいよ。」
トーマスがミーナを連れて食堂を出て行こうとしたところ、目の前からある人が現れた。
「で、ででで、殿下!?」
「やぁ、また会ったね。」
ニコニコしているが目は全く笑っていない。
「なんだったっけ?たしか、爵位が自分より下なら道を開けるのが当然。だったかな?」そう言って一歩一歩トーマスに寄っていく。
「マーティン。目の前のひと。たしか....浮気男くんだったね!浮気男くんの爵位はなんだい?」
レン様がトーマスに話しかけている間にミーナのことはクレイン様が助けてくれたようだ。私はミーナに近寄る。
「ミーナ、大丈夫?ごめんなさい。巻き込んでしまったわ。」そう言って抱きしめて、背中をさすった。ハスラー様の方を見るとルイス様が手当てをしてくださっている。
「シア。怖かったわ。でも決してシアのせいじゃないから自分を責めないで。」
そう言って私を気遣ってくれる。本当にいい友人を持ったと心から思った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
レンフォード視点。
昼食の時間になり生徒会室にいつものメンバーが訪れる。
シアが今日からトーマスの動きを探るため昼食は食堂でとるといっていた。本当は一緒に行きたいところだったが、流石に一緒に行動すると目立ってしまうと思い仕方なく生徒会室で食べている。
「そういえば今日からシアが、食堂に行くといっていたけど大丈夫かな?」
ルイスが少し心配そうに言葉にする。僕は一つある保険をかけておいたのでその話をした。
「シアが1人だと心配だからね。念には念を入れて、ルーシーに昼食は食堂に行って欲しいと伝えたよ。ルーシーがいればシアも1人じゃないから安心だろう。あと、出来れば食べ終わったら食堂に行ってみようと思っているけどいいかな?」
ルーシーにシアのことをお願いしたときそちらについてはすぐ承諾してくれた。ただ、何か問題が起きたときルーシーでは止められない。そのため、ルーシーから一つお願いをされたのである。昼食を食べ終えたら食堂に来ると言うことだ。
みんな頷いてわかったといってくれた。
そして、昼食後向かうと事態は大きくうごいている。昨日の今日でさすがだな思った。あわせて、もう少し静かにできないものかとも…。大きな人だかりができているので近寄っていく。
「やめてください!!」
大きな声が聞こえたので急いで向かうとそこには問題児トーマスがいた。試しに近くにいた男子生徒に何があったか聞いてみる。ちょっと肩がぶつかってしまった婚約者に暴行をした挙句、自分と遊ぼうと言っているそうだ。さらには、爵位が自分より低いのに逆らうな的な感じのことを言っているらしい。
僕は教えてくれてありがとうと一言伝えて前に出ていく。
トーマスが出て行こうとした扉の前にマーティンと立ち、道を塞ぐ。
「で、ででで、殿下!?」
「やぁ、また会ったね。」
僕は笑顔でトーマスに話しかける。
「なんだったっけ?たしか、爵位が自分より下なら道を開けるのが当然。だったかな?」
一歩一歩トーマスに寄っていくとシアとルーシーが見えた。シアは少し泣きそうな顔をしている。それもそうだ。婚約者が友人にこんなことしているのだから。
シアがこんなやつと婚約しているのかと思うと少し腹が立った。僕ならこんな目に合わせないのに…。
「マーティン。目の前のひと。たしか....浮気男くんだったね!浮気男くんの爵位はなんだい?」
「確か侯爵家の三男ですね。」
「そうか、じゃぁ、僕の方が上ということだ。因みにマーティンも公爵家だからね。浮気男くん退けてくれるかな?」そう言って食堂に入っていく。シアの友人も婚約者の様子を見て少し落ち着いたようだ。
「さて、浮気男くんに伝えておこう。この学校では貴族に恥じぬ行動をするということが習わしとなっている。貴族とはなんなのか。爵位を振り翳していいのか。そう言ったことは今までの授業で学んできたはずだ。そしてあくまで学校である以上、生徒も先生も対等だよ。そして、暴行を行う、婚約者がいる身で他の女性を誘うなんてもってのほかだ。」
「し、し、しかし、婚約破棄する予定なのです。」
ばかだな。まだ予定ということはしていないということに気づいていないのか。
「予定ということはまだ破棄していないということだよね。まぁ、いいだろう。今回の件、特に暴行については関わった人たち含めて先生に報告するよ。」
そう言って僕は踵を返す。「皆、昼食中邪魔したね。ゆっくり休んでくれ。」そう伝えると一人一人席に戻っていった。
シアに駆け寄りたい気持ちもあったが、ここは抑えてまた後で生徒会室で話そうと思い、生徒会室に戻った。
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