上 下
16 / 77
婚約破棄に向けて

証拠集め② ミーナ視点

しおりを挟む
「ミーナ、おはよう。」
席につき授業の準備をしていると、シアが教室に入ってきて声をかけてきた。
「シア、おはよう。今日はポニーテールなのね。珍しい。」
シアとは母親同士が友人同士と言うこともあり小さい頃から遊んでいた。だからか本人よりもシアのことを知っていると思う。
シアがポニーテールにする時は気合を入れる時や本気で動こうとしている時だけだ。そんなシアがポニーテールにしていると言うことはついに重い腰を上げることにしたんだと思う。

「ミーナにお願いがあるんだけど…。今日のお昼相談があるのよ。ハスラー様との時間を潰してしまって申し訳ないんだけど少し時間をもらえないかしら。」

シアからの珍しいお願いに私は「もちろん!」と返した。ハスラー様とはいつもお昼ご飯や放課後も一緒にいるし、私たち2人が幼馴染だと言うことも知っているから何も言わないと思っている。優しいからむしろ相談に乗ってあげてと言ってくれることだろう。

⟡.·*.··············································⟡.·*.

お昼になり天気も良かったのでシアと2人で外で昼食を取ることにした。

「それで早速だけど相談ってどうしたの?」

「相談ってほどではないんだけど、少し手を貸して欲しいの。」
頭を下げながらシアが今まであったことを話してくる。なんでも人通りの多いところでトーマス先輩に婚約破棄だと言われたそうだ。「ドロシーのことをいじめるなんて最低だ。俺のことを好きだからって幼馴染って言ってるだろう。」みたいなことを言われたらしい。まぁ、もっと色々言われたんだろうけど、おぼえていないのがシアらしい。そして勿論その話は私も知っている。

「私その話知ってたわよ。シアがあまり気にしてないみたいだったから言わなかっただけで、学院中の人が知ってるんじゃないかしら。」
そもそもシアのことを知らない人がいないし、シアは男女関係なく隠れファンが多い。知らないのは本人くらいだ。

「そうだったのね。それで本題なんだけど、そのこのまま行くと賠償金を払うことになってしまいそうなのよ。だからそうならないために私がいじめていない証拠が欲しいの!あと、ドロシーって人の顔も知らないのよ!だからね!」捲し立てるように話すシア。

本当に何も知らないみたいだ。みんなが気を遣ってあの方と言っていたのも原因の一つではあると思うけどここまで疎いとは…。
「わかったわ。まずドロシーだけど、同じ学年にいるわよ。」ドロシーは実のところ隣のクラスにいる。髪はピンクで見たらわかることを伝えた。

「あら、学年違うと思ってたのに。」
本当によくこれで調べようと思ったなと思いながらドロシーについて色々伝える。あとは噂の出所だ。噂の出所も恐らくドロシーだろうと伝えると、シアは取り敢えずドロシーっていう人にあってみるとのことだった。1人で会いに行ってまた変なことにならなきゃいいんだけど。そう思いながら最後の一口のサンドイッチを食べ切った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

〖完結〗ご存知ないようですが、父ではなく私が侯爵です。

藍川みいな
恋愛
タイトル変更しました。 「モニカ、すまない。俺は、本物の愛を知ってしまったんだ! だから、君とは結婚出来ない!」 十七歳の誕生日、七年間婚約をしていたルーファス様に婚約を破棄されてしまった。本物の愛の相手とは、義姉のサンドラ。サンドラは、私の全てを奪っていった。 父は私を見ようともせず、義母には理不尽に殴られる。 食事は日が経って固くなったパン一つ。そんな生活が、三年間続いていた。 父はただの侯爵代理だということを、義母もサンドラも気付いていない。あと一年で、私は正式な侯爵となる。 その時、あなた達は後悔することになる。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。 ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。 しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。 もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが… そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。 “側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ” 死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。 向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。 深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは… ※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。 他サイトでも同時投稿しています。 どうぞよろしくお願いしますm(__)m

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

七年間の婚約は今日で終わりを迎えます

hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

砕けた愛は、戻らない。

豆狸
恋愛
「殿下からお前に伝言がある。もう殿下のことを見るな、とのことだ」 なろう様でも公開中です。

処理中です...