氷の貴公子は隣国の仮面令嬢に恋をする。

ゆずこしょう

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告白。

領主会議。 リュシアン視点。

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「リュシアン様、サミュエル王太子殿下。」

廊下を歩いていると後ろからリディーが話しかけてきた。リディーと呼ぶようになってからはぐっと距離が縮まった気がする。最早、これは…リディーも私のことが好きになってくれていると思ってもいいのではないだろうか。

俺が明後日の方向に意識を飛ばしていると、サミュが代わりにリディーに返事をしていた。

俺が返事したかったのに…


「リディアーヌ嬢。そんなに慌ててどうしたんだい?」


「それが、お二人にお願いがございまして…明日、領主会議をすることになったのですが、できればお2人にも参加いただきたく…申し訳ございません。他国の方々なのに…」

俺とサミュは顔を見合わせる。いや、むしろ他国の俺たちに聞かせてもいい話なのだろうか?普通だったら逆なのではないか…?

「それは構わないが…何故俺たちに…?」

サミュも同じことを思ったようだ。俺が聞こうと思っていたことを聞いている。

「私たちは今までオデール公爵家としてこの地を治めてきました。ですが、国となるとまた変わってくるのはご存知ですよね…?それにルノアール国はここ数年で色々な改革を遂げています。貧民の方々にも仕事先や住居を用意し、皆が住みやすいように色々されてきたと。その立役者がお2人なのは他国の貴族でも周知の事実…是非あなた方のお手をお借しいただけないでしょうか?」

リディーは頭を下げながらお願いをしてくる。

「それと…セリエール国の国民たちがそろそろ限界を迎えているかと思います。もしかしたら他国に移動している方々もいるのではないかと…そちらに着いてもお話したく…」


「わかった。参加しよう。セリエール国に着いては我々も気になっていたところだ。構わないね?リュシアン。」


「承知いたしました。サミュエル王太子殿下。リディアーヌ嬢、時間が決まりましたらご連絡いただけますか?」

サミュがリュシアンと呼ぶときは真面目な時だ。俺は幼馴染としてではなく側近の一人として返事をした。
リディアーヌ嬢も何となく雰囲気で読み取ったのだろう。

「ありがとうございます。明日の時間が決まり次第、お伝えいたします。」
深々と頭を下げると、この場を去っていった。


「リュシアン。届くかわからないが、急ぎガブリエルに手紙を出してくれ。セリエール国について確認したいと…あと、父上たちには…事後報告でいいか。」


恐らくこの件については、国王陛下も何となくだが動きがわかっているというところだろうか。
俺は急いでガブリエル宛に手紙を送った。




そして次の日。

領主会議に参加するべく準備をしていると、リディーの侍女でもあるサーニャが俺たちを呼びに来た。
サーニャに続いて会議室に行くと、そこにはアルデール国を管理している領主たちが座っていた。

それにしても皆顔が整っていて美しい…これは確かに他国の者に狙われる理由が少しわかるな…。

まぁ一番美しいのはリディーなのだが…。

普通であれば他国のものが参加するとなると、嫌がりそうなものだがここにいる領主たちは嫌がるそぶりも見せずに座っている。なんだか不思議な感覚だ。


「それでは皆さん揃いましたので、会議を始めたいと思います。今回はノルエール国の王太子殿下。サミュエル・ノルエール王太子殿下と、オリオール公爵家次期当主であるリュシアン・オリエール様に参加いただきます。」

リディーの紹介に合わせて俺たちは「よろしく。」と一言挨拶をした。


そこからはそれぞれの領主たちが調べたこと、現在の状況を説明していく。今のところ領地自体は問題がなさそうに感じるが…

「恐らく他の領地もそうではないかと思うのですが、セリエール国に住んでいた者たちが、家族を連れてアルデール国に戻ってきております。その者の話によると、子供が何人か攫われているという報告が…」


「やっぱり…その子供たちが誰に攫われているかご存知ですか?」


「それが…恐らく宰相ではないかと…」

宰相か…確かセリエール国の宰相は昔から影と呼ばれる軍団を贔屓にしていたと記憶しているが、そいつらが行っている可能性が高いな…


「やっぱり宰相ですか…その攫われた子たちは今どうなっているか…」


「そこまでは申し訳ないのですが追えておりません。ただ、セリエール国全体に人がいなくなっており、今は閑散としている状況となっているようです。どうやら他国へ移動している人が増えているみたいですね…」

セリエール国民だって少ないというわけではないが、他の国々は大丈夫だろうか…。ルノアール国であればそこまで圧迫するということはないだろうが、協定国の中には小さい国もある。受け入れ拒否…なんてことにならなければいいのだが…。


「それともう一つ…どうやら移動の際、兵士たちが国民たちを切りつけているようです。この国からの逃亡は許さないと…それと子供を連れ去って親をその地に残すということまで始めているとか…」


「なんだと!?!?」
ここまで黙って聞いていたサミュが机を叩いて立ち上がる。サミュは平和主義者だし、こういった諍いが起きないように今まで準備していたのだ。他国同志手を取りあえればさらに国民も住みやすくなるのではないか…と…

まさかセリエール国の王族がここまでするとは思っていなかったが…


俺は手を強く握る。

「サミュエル王太子殿下。今は落ち着いてください。取りあえずセリエール国のの状況は分かりました。現状平和協定がある以上私たちに手出しはできません。できるとしたら…独立国家となったアルデール国に何とかしてもらうしか…」


それだけ話すと少し顔をしかめながら国王陛下が話しかけてきた。

「何かいい案がおありですかな…?」


俺はしばらく考えてから、考えた内容を伝えた。
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