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出会いは突然に…
出会いは突然に…
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⟡.·*.··············································⟡.·*.
リディアーヌ視点
アルデール国は樹海に囲まれている。
私たちの間では神の樹海と呼ばれているが、他の国の人達はアルデール樹海と呼ぶ。
アルデール国が小さいながらもずっと存続し続けてこれたのはこの神の樹海に囲まれていたからに過ぎない。
この地の中に居れば安全。しかし1歩出れば迫害される毎日。
果たして昔の人達はどちらが良かったのだろうか。
この地に長いこと居たからと言ってただ毎日同じように生活するだけだから、生きにくさがある訳では無い。
ただ外の国のことを知ることは出来ず、得られる知識も限られている。
故に変革は望めない…と言うことだ。
先代たちはきっとそれが嫌だった。だからこそ、1番話を聞いてくれそうなセリエール国と手を組んだんだろうが…
まぁ、手を組んだ相手を間違えてしまったとだけ言っておこう。
「それにしても、こんなに神の樹海がざわついているのは珍しいわね…。」
私は側仕えの一人、サーニャを連れて樹海へと向かった。
サーニャと樹海の入口に向かうと、なんだか人らしき人が2人倒れている。
どうやら…この国の人では無さそうだ。
「ザワついていたのはこれが原因だったのね…。それにしても…。この2人どこかで見たような…」
「リディアーヌお嬢様のお知り合いですか。」
最近どこかであったような気がするんだけど、全く思い出せない。
もし会ったとしたら、この間の平和協定会議の時だろうか…。
「いいえ。違うわ。」
「そうですか。ではこの2人はこのまま外に帰って貰って良いでしょうか。」
自分より一回りは大きい男性二人を軽々持ち上げるサーニャ。
たまにアルデール樹海を抜けてアルデール国に辿り着くものがいる。その時は起きる前に誰かが外に連れて行く事になっている。
「そうね…と言いたいところだけど、何だかこのまま返すのは良くない気がするの。だから邸に運んで頂戴。」
「それは…」
「私の勘がそう言っているわ…」
自分で言うでもなんだが、私の勘はよく当たる。
これは悪い予感でもいい予感であってもだ。
「そうですか…では邸に運びましょう。リディアーヌお嬢様の勘はよく当たりますので…。」
サーニャはそのまま2人を肩に担いで歩き始めた。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
リュシアン視点。
「ん…ここは…一体…??」
確か樹海を歩いていたら急に視界がぐにゃりと歪み立っていられなくなった所までは覚えているが…その後のことが一切思い出せなかった。
「起きましたか?ここはアルデール国です。外の世界の方にはセリエール国元オデール公爵領と言った方が伝わりますでしょうか。」
この声。忘れることはない…
リディアーヌ嬢の声だ。
俺はパッと声の聞いた方を見ると、そこには遠目にしか見えなかったリディアーヌ嬢が座っていた。
「…リ…リ…リ…リディアーヌ嬢…」
俺が名前を呼ぶと不思議そうな顔でこちらを見る。
「はい。私がリディアーヌですが、どこかでお会いしたことがございましたでしょうか?」
俺はあの時一方的に見てはいたが挨拶した訳では無い…知らなくて当然だ…
「突然すまない。自己紹介が遅れた。私は、ルノアール国、オリオール公爵家時期当主、リュシオン・オリオールと申す。助けて頂き感謝する。」
改めて挨拶をすると何か考えてからリディアーヌ嬢は話し出した。
「ルノアール国の方だったのですね。確か…夜会の時いらっしゃいましたよね。ご挨拶もできず申し訳ございませんでした。改めまして、リディアーヌ・アルデールと申します。よろしくお願いいたします。」
お互い自己紹介をするとリディアーヌ嬢が少しだけ微笑んだ。
どこが仮面令嬢なのか。全然そんなことはないと思うのだが…
笑わないと聞いていただけに、すごい破壊力だ…
可愛すぎる…
「こちらこそよろしく頼む…それでリディアーヌ嬢…君に話があるのだが…」
「えっ?私にですか…?」
俺は思い切ってリディアーヌ嬢に自分の気持ちを伝える。
「そ、その…俺、いや、私と結婚を前提に私とつ、つ、つつ付き合ってくれないだろうか…そ、その…一目惚れなんだ。」
目を瞑りながら自分の気持ちを伝えると、目の前からクスッと笑う声が聞こえた。
少しづつ目を開けてリディアーヌ嬢のことを見るとリディアーヌ嬢が面白いものでも見たかのように笑っている。
「クスッ…ごめんなさい…。その…気持ちはとても嬉しいんですが…すぐにはお返事が出来ないです…でもお友達からでも良ければ…そ、そのどうでしょうか?」
少し顔を赤くしながら話すリディアーヌ嬢。全てが可愛く見える
まだ会ったばかりで、すぐ付き合ってくださいとは早すぎただろうか。
友達からということであれば嫌われた訳では無いはず…ここから少しづつ距離を縮めていけばいのだ。
「あぁ!!友人からで構わない。よろしく頼む
…」
「ありがとうございます。それで、リュシアン様…あなたとご一緒に来られた方ですが…もしかして、ルノアール国の王太子殿下でしょうか。写し絵とも顔が一致していますし、間違いではないと思うのですが…」
そう言えばサミュもいたことをすっかり忘れていた。
「そうだ…。色々と迷惑をかけてすまない。それであいつは今どこに…?」
邸にいるということは誰かが運んでくれたということ。男2人を連れて歩くには相当大変だっただろう…本当に申し訳無いことをした。
「やはり、合っていたのですね。まだ隣のお部屋でお休みになられていますので、起きたらお話いたしましょう。リュシアン様ももう少しゆっくり休んで下さい。」
それだけ言うと、リディアーヌ嬢は部屋を去っていった。
リディアーヌ視点
アルデール国は樹海に囲まれている。
私たちの間では神の樹海と呼ばれているが、他の国の人達はアルデール樹海と呼ぶ。
アルデール国が小さいながらもずっと存続し続けてこれたのはこの神の樹海に囲まれていたからに過ぎない。
この地の中に居れば安全。しかし1歩出れば迫害される毎日。
果たして昔の人達はどちらが良かったのだろうか。
この地に長いこと居たからと言ってただ毎日同じように生活するだけだから、生きにくさがある訳では無い。
ただ外の国のことを知ることは出来ず、得られる知識も限られている。
故に変革は望めない…と言うことだ。
先代たちはきっとそれが嫌だった。だからこそ、1番話を聞いてくれそうなセリエール国と手を組んだんだろうが…
まぁ、手を組んだ相手を間違えてしまったとだけ言っておこう。
「それにしても、こんなに神の樹海がざわついているのは珍しいわね…。」
私は側仕えの一人、サーニャを連れて樹海へと向かった。
サーニャと樹海の入口に向かうと、なんだか人らしき人が2人倒れている。
どうやら…この国の人では無さそうだ。
「ザワついていたのはこれが原因だったのね…。それにしても…。この2人どこかで見たような…」
「リディアーヌお嬢様のお知り合いですか。」
最近どこかであったような気がするんだけど、全く思い出せない。
もし会ったとしたら、この間の平和協定会議の時だろうか…。
「いいえ。違うわ。」
「そうですか。ではこの2人はこのまま外に帰って貰って良いでしょうか。」
自分より一回りは大きい男性二人を軽々持ち上げるサーニャ。
たまにアルデール樹海を抜けてアルデール国に辿り着くものがいる。その時は起きる前に誰かが外に連れて行く事になっている。
「そうね…と言いたいところだけど、何だかこのまま返すのは良くない気がするの。だから邸に運んで頂戴。」
「それは…」
「私の勘がそう言っているわ…」
自分で言うでもなんだが、私の勘はよく当たる。
これは悪い予感でもいい予感であってもだ。
「そうですか…では邸に運びましょう。リディアーヌお嬢様の勘はよく当たりますので…。」
サーニャはそのまま2人を肩に担いで歩き始めた。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
リュシアン視点。
「ん…ここは…一体…??」
確か樹海を歩いていたら急に視界がぐにゃりと歪み立っていられなくなった所までは覚えているが…その後のことが一切思い出せなかった。
「起きましたか?ここはアルデール国です。外の世界の方にはセリエール国元オデール公爵領と言った方が伝わりますでしょうか。」
この声。忘れることはない…
リディアーヌ嬢の声だ。
俺はパッと声の聞いた方を見ると、そこには遠目にしか見えなかったリディアーヌ嬢が座っていた。
「…リ…リ…リ…リディアーヌ嬢…」
俺が名前を呼ぶと不思議そうな顔でこちらを見る。
「はい。私がリディアーヌですが、どこかでお会いしたことがございましたでしょうか?」
俺はあの時一方的に見てはいたが挨拶した訳では無い…知らなくて当然だ…
「突然すまない。自己紹介が遅れた。私は、ルノアール国、オリオール公爵家時期当主、リュシオン・オリオールと申す。助けて頂き感謝する。」
改めて挨拶をすると何か考えてからリディアーヌ嬢は話し出した。
「ルノアール国の方だったのですね。確か…夜会の時いらっしゃいましたよね。ご挨拶もできず申し訳ございませんでした。改めまして、リディアーヌ・アルデールと申します。よろしくお願いいたします。」
お互い自己紹介をするとリディアーヌ嬢が少しだけ微笑んだ。
どこが仮面令嬢なのか。全然そんなことはないと思うのだが…
笑わないと聞いていただけに、すごい破壊力だ…
可愛すぎる…
「こちらこそよろしく頼む…それでリディアーヌ嬢…君に話があるのだが…」
「えっ?私にですか…?」
俺は思い切ってリディアーヌ嬢に自分の気持ちを伝える。
「そ、その…俺、いや、私と結婚を前提に私とつ、つ、つつ付き合ってくれないだろうか…そ、その…一目惚れなんだ。」
目を瞑りながら自分の気持ちを伝えると、目の前からクスッと笑う声が聞こえた。
少しづつ目を開けてリディアーヌ嬢のことを見るとリディアーヌ嬢が面白いものでも見たかのように笑っている。
「クスッ…ごめんなさい…。その…気持ちはとても嬉しいんですが…すぐにはお返事が出来ないです…でもお友達からでも良ければ…そ、そのどうでしょうか?」
少し顔を赤くしながら話すリディアーヌ嬢。全てが可愛く見える
まだ会ったばかりで、すぐ付き合ってくださいとは早すぎただろうか。
友達からということであれば嫌われた訳では無いはず…ここから少しづつ距離を縮めていけばいのだ。
「あぁ!!友人からで構わない。よろしく頼む
…」
「ありがとうございます。それで、リュシアン様…あなたとご一緒に来られた方ですが…もしかして、ルノアール国の王太子殿下でしょうか。写し絵とも顔が一致していますし、間違いではないと思うのですが…」
そう言えばサミュもいたことをすっかり忘れていた。
「そうだ…。色々と迷惑をかけてすまない。それであいつは今どこに…?」
邸にいるということは誰かが運んでくれたということ。男2人を連れて歩くには相当大変だっただろう…本当に申し訳無いことをした。
「やはり、合っていたのですね。まだ隣のお部屋でお休みになられていますので、起きたらお話いたしましょう。リュシアン様ももう少しゆっくり休んで下さい。」
それだけ言うと、リディアーヌ嬢は部屋を去っていった。
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