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婚約破棄
仮面令嬢 リュシアン視点。
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「なぜ、可哀想なのですか?この方は自分で躓いてドレスに飲み物をこぼしたんですよ?そもそも床の染みを見てくださいませ。私の位置からどうやって飲み物をかけると言うのでしょう。もし、私がコップを投げたというのならガラスの破片が散らばっているはずですわ。」
確かに、絨毯にできている染みからリディアーヌ嬢がいる所までは5メートル以上離れている。
それにガラスの破片見当たらず。落ちているのは飲み物が入っていないグラスだけだ。
「ふ、そうやって強がっても無駄だ。お前が普段からキャロットのことを妬んで虐めていることはなこの国中の貴族が知っていることなんだよ!!」
「はぁ…そうですか…でしたらその貴族の名前をすべてこちらの紙に書いて提出してくださいませ。」
紙とペンをズイっとエピナール王太子殿下の前に突き出すリディアーヌ。
エピナール王太子殿下はその紙を受け取ると紙をぐしゃぐしゃにして踏みつけた。
「ふん!!こんなもの必要ない!!お前には言いたいことがあって戻ってきたんだ!!!」
「あぁ…紙がもったいないわ…」
聞こえないような小さな声でボソリと言った言葉に俺は思わず笑いそうになってしまった。
まぁ、笑いそうになったと言っても顔は一つも動いていないだろうが…
「どうした?お前がそんなに楽しそうにしているのは珍しいじゃないか。リュシアン。」
「サミュエル王太子殿下…。」
急に隣から聞こえた声に横を剥くと、サミュエル王太子殿下がいた。それにしてもなぜ、俺が面白がっているのをわかるのだろうか…
殆どの人は俺がどう思っているかなんて分からないというのに。この人はいつも思っていることを当ててくる。
「お前は思っている以上に分かりやすいぞ。それで何があった。こんなに集まって…」
自分のほっぺを軽くムニムニしながらどの辺がわかりやすいのか考えているとサミュエル王太子殿下は急に真剣な顔つきになって聞いてくる。
どうやら、この会場全体がここに注目しているようだ…。
「女性同士のいざこざみたいです。エピナール王太子殿下の恋人と…もう1人は…」
先程陰口を叩いていた女性たちの会話を思い出す。
「「エピナール王太子殿下の婚約者」」
「ご存知でしたか。」
「あぁ…エピナール王太子殿下の婚約者は有名だからな。通称仮面令嬢だったか。リディアーヌ・オディール。オディール家の公爵令嬢だと記憶している。」
リディアーヌ・オディール公爵令嬢というのか…
確かエピナール王太子殿下の婚約者はやり手と有名だった。殆ど公務は婚約者が行っていると聞いたことがある。それが目の前にいる令嬢という訳か…。
「そうでしたか。」
サミュエル王太子殿下の話を途中で切り、俺はリディアーヌ嬢の方を向いた。
「それで、話とはなんでしょう。エピナール王太子殿下。」
「お前にはなずーっとずーーーっと言いたいことがあったんだ!いつも俺の事を見下しやがって!お前なんか、お前なんか!!今日で婚約破棄してやる!!ふぅふぅ…」
まるで懐かない猫がしっぽを膨らまして怒っているようなそんな話し方をするエピナール王太子殿下。
サミュエル王太子殿下は隣で笑いを堪えるのに必死なようだ。
「婚約破棄ですか…。それは国王陛下もご存知ですか?」
「ふん!なぜ言う必要がある!俺の嫁はな、キャロット以外有り得ないんだ!!いつもいつもいつもキャロットを虐めて。俺が何も知らないとでも思っていたのか?」
「はい…あなたは何も知らないと思いますよ。」
「ふっ…。」
リディアーヌ嬢の言葉に思わず声が出てしまった。
周りに聞こえていなかったようで安堵する。
「シャァァァァ!!そうやって人の事をバカにするのもいい加減にしろよ!いいか?父上がなんと言おうとお前とは今日この時を持って婚約破棄をする。そして俺はキャロット・アレオン嬢と婚約を結ぶ。ここに居る皆が承認である。」
リディアーヌ嬢は間髪入れずにエピナール王太子殿下言葉を返す。
「承知いたしました。本当によろしいんですね?」
先程と同じようにズイっとエピナール王太子殿下に顔を近づけて聞くリディアーヌ嬢。
若干エピナール王太子殿下が引いている。
「あ、あぁ…構わん。お前なんかとっととこの場から立ち去れ!!」
「本当にいいんですね?」
「クドイ!!良いと言っているだろうが!さっさと出て行け!!」
エピナール王太子に何度も聞いたあとリディアーヌ嬢は被っていた仮面を外したように笑いだした。
「いやぁぁ!わっかりましたぁ!!いままで本っ当に辛かったんですよね。笑っちゃダメ、皆の見本でいなさい。いつも女は男の1歩後ろを歩ね…王太子妃になるんだから我慢しなさいとかとか…?本当いつの時代の話してるのか…。でもぉ、やぁーっとこれで王太子妃教育も終わりですねぇー。いやぁぁ。あなたの相手も大変でした。だってぇ…バカなんですもん。何も覚えられないし?何も出来ないし…国王陛下に頼まれたので我慢していたんですけどね。それじゃあ、お元気で。あとは父に伝えておきますので!」
言いたいことを言いたいだけ言うと、そそくさも会場から出ていくリディアーヌ。
それを見ていた貴族たちはリディアーヌ嬢があそこまで話すと思っていなかったのだろう。
リディアーヌ嬢が去った方向を見つめていた。
「もう一生帰ってくるな!この仮面女!!!」
エピナール王太子殿下がはなった言葉は小さい子供が頑張って虚勢を張っているようにしか見えなかった。
確かに、絨毯にできている染みからリディアーヌ嬢がいる所までは5メートル以上離れている。
それにガラスの破片見当たらず。落ちているのは飲み物が入っていないグラスだけだ。
「ふ、そうやって強がっても無駄だ。お前が普段からキャロットのことを妬んで虐めていることはなこの国中の貴族が知っていることなんだよ!!」
「はぁ…そうですか…でしたらその貴族の名前をすべてこちらの紙に書いて提出してくださいませ。」
紙とペンをズイっとエピナール王太子殿下の前に突き出すリディアーヌ。
エピナール王太子殿下はその紙を受け取ると紙をぐしゃぐしゃにして踏みつけた。
「ふん!!こんなもの必要ない!!お前には言いたいことがあって戻ってきたんだ!!!」
「あぁ…紙がもったいないわ…」
聞こえないような小さな声でボソリと言った言葉に俺は思わず笑いそうになってしまった。
まぁ、笑いそうになったと言っても顔は一つも動いていないだろうが…
「どうした?お前がそんなに楽しそうにしているのは珍しいじゃないか。リュシアン。」
「サミュエル王太子殿下…。」
急に隣から聞こえた声に横を剥くと、サミュエル王太子殿下がいた。それにしてもなぜ、俺が面白がっているのをわかるのだろうか…
殆どの人は俺がどう思っているかなんて分からないというのに。この人はいつも思っていることを当ててくる。
「お前は思っている以上に分かりやすいぞ。それで何があった。こんなに集まって…」
自分のほっぺを軽くムニムニしながらどの辺がわかりやすいのか考えているとサミュエル王太子殿下は急に真剣な顔つきになって聞いてくる。
どうやら、この会場全体がここに注目しているようだ…。
「女性同士のいざこざみたいです。エピナール王太子殿下の恋人と…もう1人は…」
先程陰口を叩いていた女性たちの会話を思い出す。
「「エピナール王太子殿下の婚約者」」
「ご存知でしたか。」
「あぁ…エピナール王太子殿下の婚約者は有名だからな。通称仮面令嬢だったか。リディアーヌ・オディール。オディール家の公爵令嬢だと記憶している。」
リディアーヌ・オディール公爵令嬢というのか…
確かエピナール王太子殿下の婚約者はやり手と有名だった。殆ど公務は婚約者が行っていると聞いたことがある。それが目の前にいる令嬢という訳か…。
「そうでしたか。」
サミュエル王太子殿下の話を途中で切り、俺はリディアーヌ嬢の方を向いた。
「それで、話とはなんでしょう。エピナール王太子殿下。」
「お前にはなずーっとずーーーっと言いたいことがあったんだ!いつも俺の事を見下しやがって!お前なんか、お前なんか!!今日で婚約破棄してやる!!ふぅふぅ…」
まるで懐かない猫がしっぽを膨らまして怒っているようなそんな話し方をするエピナール王太子殿下。
サミュエル王太子殿下は隣で笑いを堪えるのに必死なようだ。
「婚約破棄ですか…。それは国王陛下もご存知ですか?」
「ふん!なぜ言う必要がある!俺の嫁はな、キャロット以外有り得ないんだ!!いつもいつもいつもキャロットを虐めて。俺が何も知らないとでも思っていたのか?」
「はい…あなたは何も知らないと思いますよ。」
「ふっ…。」
リディアーヌ嬢の言葉に思わず声が出てしまった。
周りに聞こえていなかったようで安堵する。
「シャァァァァ!!そうやって人の事をバカにするのもいい加減にしろよ!いいか?父上がなんと言おうとお前とは今日この時を持って婚約破棄をする。そして俺はキャロット・アレオン嬢と婚約を結ぶ。ここに居る皆が承認である。」
リディアーヌ嬢は間髪入れずにエピナール王太子殿下言葉を返す。
「承知いたしました。本当によろしいんですね?」
先程と同じようにズイっとエピナール王太子殿下に顔を近づけて聞くリディアーヌ嬢。
若干エピナール王太子殿下が引いている。
「あ、あぁ…構わん。お前なんかとっととこの場から立ち去れ!!」
「本当にいいんですね?」
「クドイ!!良いと言っているだろうが!さっさと出て行け!!」
エピナール王太子に何度も聞いたあとリディアーヌ嬢は被っていた仮面を外したように笑いだした。
「いやぁぁ!わっかりましたぁ!!いままで本っ当に辛かったんですよね。笑っちゃダメ、皆の見本でいなさい。いつも女は男の1歩後ろを歩ね…王太子妃になるんだから我慢しなさいとかとか…?本当いつの時代の話してるのか…。でもぉ、やぁーっとこれで王太子妃教育も終わりですねぇー。いやぁぁ。あなたの相手も大変でした。だってぇ…バカなんですもん。何も覚えられないし?何も出来ないし…国王陛下に頼まれたので我慢していたんですけどね。それじゃあ、お元気で。あとは父に伝えておきますので!」
言いたいことを言いたいだけ言うと、そそくさも会場から出ていくリディアーヌ。
それを見ていた貴族たちはリディアーヌ嬢があそこまで話すと思っていなかったのだろう。
リディアーヌ嬢が去った方向を見つめていた。
「もう一生帰ってくるな!この仮面女!!!」
エピナール王太子殿下がはなった言葉は小さい子供が頑張って虚勢を張っているようにしか見えなかった。
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