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10年前。
夜会の後 ティオドール視点
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「はぁ、私はなんてことをリアに提案してしまったんだ…。」
夜会が終わった後、今後のことを色々考えていた。正直言うと今日の夜会は今までの夜会の中で1番楽しかったように感じる。
今まではダンスを踊っていても、なんとなく踊っていたという感じで、早く終わればいいくらいに思っていた。
だからだろうか。リアにこれから夜会やパーティーは一緒に参加してほしいと口走ってしまっていたのは…。
「今回はたまたまリアが一人だったから一緒に行くことになっていたが、実際リアは婚約者がいるんだもんな…」
リアに婚約者がいると聞いた時は吃驚した反面、年齢的にも爵位的にもいて当然かもしれないと思った。ただ、それ以上に吃驚したのは婚約した時以来、一度も会っていないと言うことだった。
リアも急な提案に驚いていたようだしなんて返答していいかわからなかったはずだ。
10歳も年下で始めはエドの妹としての信頼が強かったが。いつのまにか自分が守ってやりたいと思ってしまっていたようだ。
「取り敢えず、今後の動きについて考えていかないといけないな。」
私がこれからリアのことをどう思って行くのか、どうなっていきたいのか、考える時間はまだまだあるだろう。それだけの時間をリアの婚約者がくれている。
取り敢えずエドと会う時に色々話すことにして今日はゆっくり休むことにした。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
「ティオ!」
王宮内を大きな靴音で歩きながら執務室に近寄ってくるのは、エドベルト。リアの兄である。
「やぁ、エド。そんなに慌ててどうしたんだい?」
もう少しエドが登城するまでに時間がかかるかなと思っていたら、思っていた以上に早く現れた。
「「どうしたんだ?」じゃない!リアを今後の夜会に誘ったと聞いたぞ。あとは手紙のやり取りをしようと話したそうじゃないか!どういうつもりだ?」
まさか、昨日話したことをそのままエドに伝えているとは思わなかった。できれば手紙のやり取りくらいは二人の秘密にしておきたかったが…エドとリアの間では秘密などあまりないのだろう。
「いや、そのままの意味だよ。夜会やパーティーで一緒にいればリアのことを守れるだろう。それに領地にいる間は中々連絡が取れないからな。手紙でやりとりできたら楽しいだろうなと思っただけだ。」
「そ、そ、それは…。リアを好きということか!?」
す…き…?
私はリアのことを好きなのだろうか…?
まぁ確かに可愛いとは思ってはいるが、エドの妹としてそう感じているのかは今のところまだわからない。
「年も離れているし恋愛としての好きかはわからないが…」
正直な気持ちを伝えるとエドは急に私の襟持って体を揺さぶってくる。
「なに!?俺の可愛い可愛い妹を好きではないのか!?」
目が回りそうだ。そもそも好きではないとは言っていないのだが…
「お、落ち着いてくれ!エド。私は恋愛として一人の女性として好きかどうかはまだわからないと言っただけだ。リアのこと自体は好きだよ。」
エドは私の話を聞いて少し落ち着いたようで「す、すまなかった。」と謝ってきた。
リアのことになると本当に周りが見えなくなるのは今も昔も変わらない。
落ち着いてからエドが考えていることを教えてくれた。
これから5年間はニコラウスと顔を合わせると碌なことになりそうにないということで、参加しなくてはならない夜会や式典にだけ参加するようにすること。その時はエドとはあまり一緒にいれないので一緒にいてくれると助かるということだった。
そして5年過ぎた後は、リアが一緒に出たいということであれば自由に参加していいということにするそうだ。
「15歳から20歳と一番輝かしい時間を我慢させてしまうことになるが、リアがそれでいいと言っていてな…。おそらく商会を大きくしたいとか領地を改革したいとかそんな理由だと思うが…」
確かに5年間婚約者のせいで少し嫌な思いをさせるのは申し訳ない気がするがそれ以上に気になったのは…
「ん?商会?領地改革?」
「あぁ、言ってなかったか?オリエンス領の経営ほとんどをリアが行っているんだ。13の時から自分でやりたいと言い出してな。そしてこれは最近知ったんだが…1年前から勝手に商会を立ち上げていた。」
そういえば先日そんなことを言っていたような気がしたが、自分の発した言葉に精一杯になっていてすっかり忘れていた。
昨日来ていたドレスも新しい商会の商品だそうだ。と軽く伝えてくるので私は思わず
「はぁ!?」と大きな声が出てしまった。相手が冷めている時ほど自分はビックリしてしまう法則である。
それ以外にも最近流行り始めているお菓子や、ゲームもリアの商会で作っているものが多いそうだ。
化粧品などもどんどん展開していきたいと言っているらしい。
「そ、それは忙しそうだな。」
エドはため息をつきながら。
「本当にそうなんだよ。時間があってもあっても足りないだろうな。それ以外にもやりたいことがあると言っていたし、色々手紙で相談に乗ってやってほしい。」
エドがこちらを見つめながら笑顔でサラリというものだから聞き流してしまいそうだったが、どうやら手紙のやり取りもいいようだ。
「ありがとう。私でできることなら相談に乗るよ。」
この日、リアと文通友達になってからあっという間に5年が経ち、私たちの関係も少しずつ変わってきているように感じた。
夜会が終わった後、今後のことを色々考えていた。正直言うと今日の夜会は今までの夜会の中で1番楽しかったように感じる。
今まではダンスを踊っていても、なんとなく踊っていたという感じで、早く終わればいいくらいに思っていた。
だからだろうか。リアにこれから夜会やパーティーは一緒に参加してほしいと口走ってしまっていたのは…。
「今回はたまたまリアが一人だったから一緒に行くことになっていたが、実際リアは婚約者がいるんだもんな…」
リアに婚約者がいると聞いた時は吃驚した反面、年齢的にも爵位的にもいて当然かもしれないと思った。ただ、それ以上に吃驚したのは婚約した時以来、一度も会っていないと言うことだった。
リアも急な提案に驚いていたようだしなんて返答していいかわからなかったはずだ。
10歳も年下で始めはエドの妹としての信頼が強かったが。いつのまにか自分が守ってやりたいと思ってしまっていたようだ。
「取り敢えず、今後の動きについて考えていかないといけないな。」
私がこれからリアのことをどう思って行くのか、どうなっていきたいのか、考える時間はまだまだあるだろう。それだけの時間をリアの婚約者がくれている。
取り敢えずエドと会う時に色々話すことにして今日はゆっくり休むことにした。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
「ティオ!」
王宮内を大きな靴音で歩きながら執務室に近寄ってくるのは、エドベルト。リアの兄である。
「やぁ、エド。そんなに慌ててどうしたんだい?」
もう少しエドが登城するまでに時間がかかるかなと思っていたら、思っていた以上に早く現れた。
「「どうしたんだ?」じゃない!リアを今後の夜会に誘ったと聞いたぞ。あとは手紙のやり取りをしようと話したそうじゃないか!どういうつもりだ?」
まさか、昨日話したことをそのままエドに伝えているとは思わなかった。できれば手紙のやり取りくらいは二人の秘密にしておきたかったが…エドとリアの間では秘密などあまりないのだろう。
「いや、そのままの意味だよ。夜会やパーティーで一緒にいればリアのことを守れるだろう。それに領地にいる間は中々連絡が取れないからな。手紙でやりとりできたら楽しいだろうなと思っただけだ。」
「そ、そ、それは…。リアを好きということか!?」
す…き…?
私はリアのことを好きなのだろうか…?
まぁ確かに可愛いとは思ってはいるが、エドの妹としてそう感じているのかは今のところまだわからない。
「年も離れているし恋愛としての好きかはわからないが…」
正直な気持ちを伝えるとエドは急に私の襟持って体を揺さぶってくる。
「なに!?俺の可愛い可愛い妹を好きではないのか!?」
目が回りそうだ。そもそも好きではないとは言っていないのだが…
「お、落ち着いてくれ!エド。私は恋愛として一人の女性として好きかどうかはまだわからないと言っただけだ。リアのこと自体は好きだよ。」
エドは私の話を聞いて少し落ち着いたようで「す、すまなかった。」と謝ってきた。
リアのことになると本当に周りが見えなくなるのは今も昔も変わらない。
落ち着いてからエドが考えていることを教えてくれた。
これから5年間はニコラウスと顔を合わせると碌なことになりそうにないということで、参加しなくてはならない夜会や式典にだけ参加するようにすること。その時はエドとはあまり一緒にいれないので一緒にいてくれると助かるということだった。
そして5年過ぎた後は、リアが一緒に出たいということであれば自由に参加していいということにするそうだ。
「15歳から20歳と一番輝かしい時間を我慢させてしまうことになるが、リアがそれでいいと言っていてな…。おそらく商会を大きくしたいとか領地を改革したいとかそんな理由だと思うが…」
確かに5年間婚約者のせいで少し嫌な思いをさせるのは申し訳ない気がするがそれ以上に気になったのは…
「ん?商会?領地改革?」
「あぁ、言ってなかったか?オリエンス領の経営ほとんどをリアが行っているんだ。13の時から自分でやりたいと言い出してな。そしてこれは最近知ったんだが…1年前から勝手に商会を立ち上げていた。」
そういえば先日そんなことを言っていたような気がしたが、自分の発した言葉に精一杯になっていてすっかり忘れていた。
昨日来ていたドレスも新しい商会の商品だそうだ。と軽く伝えてくるので私は思わず
「はぁ!?」と大きな声が出てしまった。相手が冷めている時ほど自分はビックリしてしまう法則である。
それ以外にも最近流行り始めているお菓子や、ゲームもリアの商会で作っているものが多いそうだ。
化粧品などもどんどん展開していきたいと言っているらしい。
「そ、それは忙しそうだな。」
エドはため息をつきながら。
「本当にそうなんだよ。時間があってもあっても足りないだろうな。それ以外にもやりたいことがあると言っていたし、色々手紙で相談に乗ってやってほしい。」
エドがこちらを見つめながら笑顔でサラリというものだから聞き流してしまいそうだったが、どうやら手紙のやり取りもいいようだ。
「ありがとう。私でできることなら相談に乗るよ。」
この日、リアと文通友達になってからあっという間に5年が経ち、私たちの関係も少しずつ変わってきているように感じた。
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