婚約破棄はこちらからお願いしたいのですが、創造スキルの何がいけないのでしょう?

ゆずこしょう

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ブルームーン国

ギムレット公爵邸

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湖の辺りでゆっくり休んだあと、馬車に乗り込み公爵邸へむかった。

公爵邸についたのは陽が落ち始める頃だった。公爵邸にたどり着くとお祖母様とお祖父様が待っていた。

「お祖父様、お祖母様お久しぶりでございます。」
カーテシーをして2人に挨拶を済ます。

「メーデ。手紙ではやりとりしていたが、大きくなったな。会えて嬉しいよ。」
お祖母様が近寄って抱擁し、お祖父様は軽く頭に手を添えて迎えてくれた。

「本当に大きくなったわね!なかなか会えなかったから寂しかったわ!元気だった?」

「はい。この度は急な訪問にもかかわらず受け入れてくださりありがとうございます。」
そう伝えるとそんな堅苦しい挨拶はいいから取り敢えず夕食にしようと言われた。

夕食はお祖父様、お祖母様、ジン様。そしてお母様のお兄様家族が一緒だった。今後この公爵家は叔父様が継ぐことになっている。ジン様は陽が落ち始めたこともあり、今日は泊まって明日帰ることにしたそうだ。

ジン様とお祖父様たちは顔見知りのようで夕食後も話があるらしい。

夕食はここまでの道のりのことや、今までのこと、お母様たちのことを話しながら過ごした。久しぶりに会うこともあって初めは緊張していたけど、温かく迎えてくれたこともあり楽しくお話しすることができた。


⟡.·*.··············································⟡.·*.

ジンニック視点

夕食を終えると俺は公爵に話があることを伝え、執務室にむかった。

執務室には公爵夫妻と息子夫婦が待っていた。挨拶を軽く済ませるとすぐさま本題の話に入る。
「して、ジンニック殿下。話とはなんですか?」

正直ギムレット公爵は苦手だ。公爵はやりて公爵と名高い。騎士としても強く、昔は稽古や勉強を見てもらうことが多かったことも理由の一つだ。そして家族にとことん甘いためいい返事をもらうことに骨が折れそうだ。

「実はな。公爵たちに話しておきたいことがあるんだ。そしてできれば承諾して欲しいと思っている。」

公爵は早く本題に入れという目をしている。そしてその横で奥さんが目をキラキラさせながらこちらを見ていた。やはり女性はこういった話を聞くのが好きらしい。

「その、なんだ…実はな。私は…」
公爵の目がジロリとこちらを向いた。この目が昔から苦手なんだ。

「メレナーデ嬢のことを昔から好きで、できれば結婚したいと思っているんだ。」

一息でそう伝えると

「メレナーデがいいというなら全然いいですよ。」
と返ってきた。反対されると思っていただけに拍子抜けだ。ただ一言メレナーデがいいといえばですがと念を押されたが…。

よくよく考えてみればこの一家も皆恋愛結婚だったのを思い出した。

取り敢えず、一番話しにくい相手に話せたことに安心した。

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