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出国
出会い ジンニック視点
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ーーー5年前
急に父上から呼び出しを受けた。
「ジンニック、お前に話がある」
そういった父上の顔は真剣そのものだった。話によると隣国に住んでいるお祖母様とお祖父様が急に亡くなったと言うことだった。
建国祭の帰り道土砂崩れに巻き込まれたそうだ。
話を聞いていくとミュール領とカンパリ領の間の道のりで少し雨でぬかるんでいたそうだ。
「そもそもミュール領の道は綺麗に整備されていて土砂災害の危険も少なく済むようにときをつけていたではないですか?なぜこんなことに…」
「ミュール領はな。綺麗に整えられていたし、見たところ問題はなかったそうだ。ただ、ミュール領とカンパリ領の間ということがよくなかった」
母上は父上に寄り添いながら涙を流していていた。
ブルームーン国に住んでいるということもありこの時は全くカルーア国の現状を知ることができていなかった。
お祖母様、お祖父様の間には娘しかおらず元々は辺境伯に婿を迎える予定だったそうだ。母上はお転婆で遠乗りをしては領地を見回っていたそうだ。そんな時にたまたま父上と出会った。二人は秘密で遠乗りをしては愛を育んだ。
そして二人は結婚をすることになったが、結婚の条件に二人の間の子一人を辺境伯領主にすることとなっていた。
昔からお祖母様、お祖父様の家に預けられることも多かったため、他の領地についてはあまり知らないまでも辺境伯領地については勉強してきた。
一流の貴族男子が通う学園へ入ることができたのはそのおかげもあるだろう。
ただ、当時の私はまだ学生ということもあり領主になるにはいろいろ欠けているところがあった。
そんな中で出会ったのが、エドワード・バイヤーだ。始めは意見のぶつかり合いが多かったが次第に仲良くなっていった。
「エド、急だが辺境伯を継ぐことになったんだ。」
エドはお祖母様とお祖父様の話を聞いて知っていたらしい。いつか俺からいうことを待っていたといっていた。
「そうか。僕もいつか侯爵家を継ぐんだ。領地も近いし支え合っていい領地にして行こう。」
笑顔で手を差し出すエドに心が救われた気がした。
そして領民にもっといい暮らしをしてもらうためにはどうしたらいいのか二人で意見をぶつけ合いながら話し合った。
そんなときにエドの口からたまに出てくるのが妹のメレナーデ嬢の話だった。
なんでもメレナーデ嬢はスキルを持っており創造スキルでいろいろ作り出すことができるそうだ。試作を作っては領民が作れないか、領民の役に立たないかを考えているときいた。
もちろん資材は必要だが端材などで作成できるので試作品はそこまで資金を使わずに作ることができる。そこからどのように運営していくかを考えるのがエドの仕事だそうだ。
いろいろ話を聞いていくうちに次第にメレナーデ嬢に会ってみたいと思うようになった。
「エド、自慢の妹メレナーデ嬢に一回会ってみたいんだが。」
そう口にしようとした時、
「実は、メーデとミル殿下との婚約の話が出ているんだ。ただ、僕としてはこの婚約反対なんだよね。最近の王族は国民から搾取してばかりでそんなところにメーデを嫁に出したくないんだ。」
会ったこともないし話したことすらないがメレナーデ嬢が婚約をすると聞いた時頭を強く打ったような衝撃にかられた。
それからしばらくして婚約発表が行われ貴族たちが集まることとなり、俺もその婚約発表に赴くことになった。勿論辺境伯領主としてだ。
そしてメレナーデ嬢を見た瞬間目を奪われた。
シルバーブランドの髪に赤い目。透き通るような白い肌に小さな顔すっとした鼻筋。まだ11歳と幼さは残るもののとても美しい少女だった。
まさに一目惚れと言っても良いだろう。
ただわ婚約してしまった以上、婚約が何らかの形で白紙にならない限りは俺の元には来ない。それをわかっていてもなかなか諦められなかった。
急に父上から呼び出しを受けた。
「ジンニック、お前に話がある」
そういった父上の顔は真剣そのものだった。話によると隣国に住んでいるお祖母様とお祖父様が急に亡くなったと言うことだった。
建国祭の帰り道土砂崩れに巻き込まれたそうだ。
話を聞いていくとミュール領とカンパリ領の間の道のりで少し雨でぬかるんでいたそうだ。
「そもそもミュール領の道は綺麗に整備されていて土砂災害の危険も少なく済むようにときをつけていたではないですか?なぜこんなことに…」
「ミュール領はな。綺麗に整えられていたし、見たところ問題はなかったそうだ。ただ、ミュール領とカンパリ領の間ということがよくなかった」
母上は父上に寄り添いながら涙を流していていた。
ブルームーン国に住んでいるということもありこの時は全くカルーア国の現状を知ることができていなかった。
お祖母様、お祖父様の間には娘しかおらず元々は辺境伯に婿を迎える予定だったそうだ。母上はお転婆で遠乗りをしては領地を見回っていたそうだ。そんな時にたまたま父上と出会った。二人は秘密で遠乗りをしては愛を育んだ。
そして二人は結婚をすることになったが、結婚の条件に二人の間の子一人を辺境伯領主にすることとなっていた。
昔からお祖母様、お祖父様の家に預けられることも多かったため、他の領地についてはあまり知らないまでも辺境伯領地については勉強してきた。
一流の貴族男子が通う学園へ入ることができたのはそのおかげもあるだろう。
ただ、当時の私はまだ学生ということもあり領主になるにはいろいろ欠けているところがあった。
そんな中で出会ったのが、エドワード・バイヤーだ。始めは意見のぶつかり合いが多かったが次第に仲良くなっていった。
「エド、急だが辺境伯を継ぐことになったんだ。」
エドはお祖母様とお祖父様の話を聞いて知っていたらしい。いつか俺からいうことを待っていたといっていた。
「そうか。僕もいつか侯爵家を継ぐんだ。領地も近いし支え合っていい領地にして行こう。」
笑顔で手を差し出すエドに心が救われた気がした。
そして領民にもっといい暮らしをしてもらうためにはどうしたらいいのか二人で意見をぶつけ合いながら話し合った。
そんなときにエドの口からたまに出てくるのが妹のメレナーデ嬢の話だった。
なんでもメレナーデ嬢はスキルを持っており創造スキルでいろいろ作り出すことができるそうだ。試作を作っては領民が作れないか、領民の役に立たないかを考えているときいた。
もちろん資材は必要だが端材などで作成できるので試作品はそこまで資金を使わずに作ることができる。そこからどのように運営していくかを考えるのがエドの仕事だそうだ。
いろいろ話を聞いていくうちに次第にメレナーデ嬢に会ってみたいと思うようになった。
「エド、自慢の妹メレナーデ嬢に一回会ってみたいんだが。」
そう口にしようとした時、
「実は、メーデとミル殿下との婚約の話が出ているんだ。ただ、僕としてはこの婚約反対なんだよね。最近の王族は国民から搾取してばかりでそんなところにメーデを嫁に出したくないんだ。」
会ったこともないし話したことすらないがメレナーデ嬢が婚約をすると聞いた時頭を強く打ったような衝撃にかられた。
それからしばらくして婚約発表が行われ貴族たちが集まることとなり、俺もその婚約発表に赴くことになった。勿論辺境伯領主としてだ。
そしてメレナーデ嬢を見た瞬間目を奪われた。
シルバーブランドの髪に赤い目。透き通るような白い肌に小さな顔すっとした鼻筋。まだ11歳と幼さは残るもののとても美しい少女だった。
まさに一目惚れと言っても良いだろう。
ただわ婚約してしまった以上、婚約が何らかの形で白紙にならない限りは俺の元には来ない。それをわかっていてもなかなか諦められなかった。
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