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出国
カンパリ領⑤
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大きな音が聞こえたあと急に視界が真っ暗になった。
一体何が起きたのだろう...
感覚的には馬車が倒れたとかそういう感じではなさそうだけど、先ほど外を見たときに道なりギリギリだったことを思い出し、外を見ることはなかなかできなかった。
「お兄様!!ユナリー!!真っ暗なのですが私の声聞こえていますか?」
声をかけても二人は全く反応しない。もしかしたら意識を失っているのかもしれないと思い勇気を出して扉を開こうと動いた途端、また大きな音が聞こえてきた。
音的には大きな岩が落ちてきている音に近い気がする。もしかしたら土砂崩れのような状態になっているのかもしれない。
私は動けているし、馬車の中自体はつぶれているわけではないと思う。
お兄様たちの声も聞こえないので正直怖くないわけではないが、命がかかっているというのも事実なため急いで扉を開いた。
扉を開くと、外の光が馬車の中に入ってくる。
改めて、お兄様とユナリーを見てみると、頭から血を流しながら意識を失っている状態だった。
周りにいた護衛の人も岩が落ちてきたときにぶつかったのか倒れていた。見たところ私だけが幸い無事だったようだ。とにかく時間がかかればかかるほど、助かる確率は低くなるしお兄様たちを助けたい。
先ほど落ちてきた岩のせいか、扉の前は階段のように石が積まれている状態だった。
「足場はあまりよくないけど、助けを呼びにいかないといけないわ。とりあえずここから出て近くの町へ向かいましょう。」
ゆっくり岩の足場を確認しながら馬車の外に出る。ここから町が近いか、もしくは誰かがこの道を通ることを期待してもと来た道を戻った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
???視点
急いでミュール領地へ向かっていると急に雷雨になり天気が変わった。これ以上は前に進めないなと思い、仕方なく近くの町の宿屋に泊まることにする。護衛もつけず一人で戻っているだけあり、進みはすごく早い。おそらくエドたちより先に領地にたどり着けるだろうと思っている。
念のため領地にいる執事長と、侍女頭にはこれから帰ること、エドたちが宿泊することを伝えてあるため、どちらが先についても問題ないだろう。
「気持ちばかりが焦ってしまってだめだな。この天気だ。今日は少しゆっくりして明日山道を急いで進むか。」
今日は早めに休んで次の日の朝いちで山道を進もうと馬に飛び乗った。
少し進むと山道が見えてくる。この辺は全く舗装されておらずいつ崩れるかもわからない状態だ。そんな中、前のほうから一人の少女が歩いてきた。
見たところ大きなケガはしていないようだが、服はボロボロで頑張って引き返しのだろう。俺は声をかけようと馬から降りて近づいていくと見たことのある少女だった。
「もしかして、メレナーデ嬢ではないか?」
声をかけると、メレナーデ嬢は顔を上げてこちらをむいた。急に見知らぬ男から声をかけられてメレナーデ嬢も吃驚するだろうと思ったが、メレナーデ嬢は人を見つけたことに安堵したのか足早にこちらに向かってきた。
「もしかして私のことを知っているのですか?お願いします!お兄様たちが大変なことになっていて...助けてくださいませんか?」
涙目になりながら俺に助けを求めてくる。話を聞いていると、土砂崩れに巻き込まれたとのことだった。馬車の中は無事だったものの、エドたちの意識がなく危ない状態だということだ。
話を聞いて、俺はメレナーデ嬢を馬の後ろに乗せ町に戻り助けを呼んでくることにした。
一体何が起きたのだろう...
感覚的には馬車が倒れたとかそういう感じではなさそうだけど、先ほど外を見たときに道なりギリギリだったことを思い出し、外を見ることはなかなかできなかった。
「お兄様!!ユナリー!!真っ暗なのですが私の声聞こえていますか?」
声をかけても二人は全く反応しない。もしかしたら意識を失っているのかもしれないと思い勇気を出して扉を開こうと動いた途端、また大きな音が聞こえてきた。
音的には大きな岩が落ちてきている音に近い気がする。もしかしたら土砂崩れのような状態になっているのかもしれない。
私は動けているし、馬車の中自体はつぶれているわけではないと思う。
お兄様たちの声も聞こえないので正直怖くないわけではないが、命がかかっているというのも事実なため急いで扉を開いた。
扉を開くと、外の光が馬車の中に入ってくる。
改めて、お兄様とユナリーを見てみると、頭から血を流しながら意識を失っている状態だった。
周りにいた護衛の人も岩が落ちてきたときにぶつかったのか倒れていた。見たところ私だけが幸い無事だったようだ。とにかく時間がかかればかかるほど、助かる確率は低くなるしお兄様たちを助けたい。
先ほど落ちてきた岩のせいか、扉の前は階段のように石が積まれている状態だった。
「足場はあまりよくないけど、助けを呼びにいかないといけないわ。とりあえずここから出て近くの町へ向かいましょう。」
ゆっくり岩の足場を確認しながら馬車の外に出る。ここから町が近いか、もしくは誰かがこの道を通ることを期待してもと来た道を戻った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
???視点
急いでミュール領地へ向かっていると急に雷雨になり天気が変わった。これ以上は前に進めないなと思い、仕方なく近くの町の宿屋に泊まることにする。護衛もつけず一人で戻っているだけあり、進みはすごく早い。おそらくエドたちより先に領地にたどり着けるだろうと思っている。
念のため領地にいる執事長と、侍女頭にはこれから帰ること、エドたちが宿泊することを伝えてあるため、どちらが先についても問題ないだろう。
「気持ちばかりが焦ってしまってだめだな。この天気だ。今日は少しゆっくりして明日山道を急いで進むか。」
今日は早めに休んで次の日の朝いちで山道を進もうと馬に飛び乗った。
少し進むと山道が見えてくる。この辺は全く舗装されておらずいつ崩れるかもわからない状態だ。そんな中、前のほうから一人の少女が歩いてきた。
見たところ大きなケガはしていないようだが、服はボロボロで頑張って引き返しのだろう。俺は声をかけようと馬から降りて近づいていくと見たことのある少女だった。
「もしかして、メレナーデ嬢ではないか?」
声をかけると、メレナーデ嬢は顔を上げてこちらをむいた。急に見知らぬ男から声をかけられてメレナーデ嬢も吃驚するだろうと思ったが、メレナーデ嬢は人を見つけたことに安堵したのか足早にこちらに向かってきた。
「もしかして私のことを知っているのですか?お願いします!お兄様たちが大変なことになっていて...助けてくださいませんか?」
涙目になりながら俺に助けを求めてくる。話を聞いていると、土砂崩れに巻き込まれたとのことだった。馬車の中は無事だったものの、エドたちの意識がなく危ない状態だということだ。
話を聞いて、俺はメレナーデ嬢を馬の後ろに乗せ町に戻り助けを呼んでくることにした。
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