婚約破棄はこちらからお願いしたいのですが、創造スキルの何がいけないのでしょう?

ゆずこしょう

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婚約破棄ですか?

家族会議

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 色々考えていたはずが気づいた時には朝になっていた。
 思っていた以上に精神的に疲れていたようだ。起きてから少しボーッとしているとドアを叩く音が聞こえた。

「おはようございます。メレアーデ様。起きていらっしゃいますか?」
 ドア越しにユナリーの声が聞こえた。

「ユナリー、おはよう。起きているわ!支度するから手伝ってくれないかしら。」

 声をかけると失礼しますという声と共にドアが開く。


 今日はとりあえずお出かけする予定は無いのでシンプルなAラインのドレスをする事にした。色は群青色のような青だ。

「メレアーデ様、今日の予定ですが朝食後に旦那様より執務室へ来るように仰せつかっております。家族会議をされるとの事で領地にいらっしゃるエドワード様も急いでこちらに向かっているとのことです。」

「エドワードお兄様もいらっしゃるのね。あうの一年ぶりかしら。凄く嬉しいわ!」

 エドワードお兄様とは5つほど歳が離れており、領地経営などを任されているお兄さまとはなかなか会う機会がないため会うのは本当に久しぶりだ。

 昨日あった色々を忘れてしまうくらいには気持ちも不思議と上を向いていた。


 ⟡.·*.··············································⟡.·*.

 朝食を食べ終わって、執務室へと向かうと家族全員が揃って深刻な顔をしていた。

「お父様、お母様おはようございます。エドお兄様おひさしぶりでございます。」軽くカーテシーをするとお父様から座りなさいと声をかけられた。


「メーデ、1年ぶりだね。また一段と美しくなったんじゃないかい?」
 メーデとは家族に呼ばれる呼び名だ。軽く世間話をしていると早速本題に入ろうとお父様が声をかけてきた。

「まずは昨日あの後どうなったのか話そう。」
そう言ってお父様があの後どうなったのか話をして下さった。

結論から言うと婚約は白紙に戻ったそうだ。

ただここで問題が起きる可能性が高いとの事。

白紙には戻ったけど、私が創造スキルをつかえるから近くに置いておきたい。まぁ言ってしまえば都合よく使いたいように感じたそうだ。

お父様の勘は当たるのでその可能性はすごく高い。

「そしてここからが提案なんだけど、メーデには隣国のお祖母様たちの所に行ってもらおうと思うの。」
カルーア国の隣国ブルームーン国はお母様の実家がある国だ。お母様とお父様はお父様が隣国に外交官として訪れた時に出会って恋に落ちたそうだ。因みにお母様の実家は公爵家だったりする。

「おそらくカルーア国はこれからどんどん廃れていくことになるるだろう。他の国に領地を取られる可能性もあると思う。だが私たちはこの国の貴族としてそちらに行くことは出来ないからまずはメーデだけでも隣国に行って欲しいんだ。」

子供に伝えるように優しい声でお父様が話してくれる。きっと色々葛藤があったんだと思う。その中で一番いい方法を選んでくれたんだと思う。寂しいという気持ちがないわけでは無いけれど…

「わかりました!お父様のお話の通りブルームーン国に行きたいと思います。会えないという訳では無いですし、お手紙も書けます。お祖母様もお爺様もいますし大丈夫です。」

「わかった。行きは途中までエドが一緒に行ってくれる。国を出るところまでだが、そこから先はユナリーが一緒に行ってくれるそうだ。片道1週間くらいかかるが1人では無いから安心しなさい。なるべく早く向かった方がいいんだがいつ頃行けそうだい?」

早く向かった方がいいのは陛下立ちに見つかると大変だということだろう。それなら今日出てしまった方がいいと思う。

「早いですが今日のお昼すぎには出たいと思います。」

お母様はお父様の隣で少し涙目になりながら頷いていた。

少しの間家族の時間をのんびりと過ごして、出国の準備を始めた。
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