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婚約破棄ですか?
スキル:創造
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「おはようございます。メレアーデ様。」
カーテンを開けながら侍女のユナリーが声を掛けてくる。
「おはよう。ユナリー。今日もいい天気ね。建国祭の最終日が晴れてよかったわ。」
軽く伸びをしながらベッドから降りて朝の準備を始める。
建国祭は5日間行われる。初めの3日間は他の国から商人を呼び国全体をあげて祝うお祭りをし、4日目はその年16歳になる貴族たちを集めデビュタントを行なう。そして最終日の5日目は国内外の貴族を招待し夜会をするというのがこの国の慣わしとなっている。
メレアーデは今年16歳になったばかりだ。昨日無事デビュタントも終え、今日からはじめての夜会に参加することになっている。
「ユナリー。今日の夜会のドレスは出来れば婚約者のミル様と色を合わせるべきだと思うのだけど、何か聞いていたりするかしら?」
首を傾げながらユナリーに声をかけると軽く首を横に振った。
「いいえ。何も存じ上げません。通常であればドレスなど贈られて来るかと思うのですが…そういったことも無く…」
「そう。ユナリー気を使わせてしまったわね。ありがとう。そしたら今日はとびきり私に似合うようにしてちょうだい。」
夜会の時は婚約者がいる場合婚約者と同じ色のドレスコードをするのが貴族の中での暗黙のルールだ。そうすることでパートナーがいるということを指すことになる。
1人違う色を来ている場合は相手がいないということになるのだ。
そうならない為にも通常であればお相手から同じ色のドレスが贈られてくることが多い。しかし、今回は送られてこなかった。
この婚約は所謂政略結婚でもある。貴族ではよくあることでミル様はこの国の王太子だ。王太子と近しい年齢で高位貴族の娘はなかなかおらず私に白羽の矢が立った。
元々そこまで結婚願望もなかったし、そういった相手もいなかったのでこちらとしても都合が良かったというのもあるが、まさかこんなことになるとは思わなかった。
「メレアーデ様の髪の色が綺麗な銀色なので濃いめの青いマーメイドドレスはいかがですか?背丈も165cmと高めですし、お似合いかと思います。アクセサリーは目の色に合わせて赤で揃えるのはいかがでしょうか。」
ユナリーが生地と刺繍糸などテーブルの上に並べていく。
「いいわね!それで行きましょう。胸元はハイネックにして背中をオープンな感じにしてみましょうか。胸元には少し刺繍を施しましょう。」
イメージしたものを紙に映し出しながらイラストを書いていく。
通常であれば前もってお店に依頼が必要になってくるが、メレアーデの場合はひと味違う。スキル創造を使ってドレスを作成することをができるのだ。
ただ、何も無いところから作れる訳では無い。あくまでも手元に布や糸、ドレスに必要なものを準備することで作成が可能となってくる。魔法だと自分の魔力を使用するため何も無いところから火を起こしたり水を出したりすることが可能だが、スキルの場合は少し違うのが難点だ。
「メレアーデ様。準備出来ましたのでよろしくお願いいたします。」
「わかったわ。スキル創造。」
手を広げながら先程考えたものを頭の中に描くと目の前で布がどんどん形になっていく。まるで糸や布が踊っているように見えるのがまたなんとも可愛らしい。
そしてあっという間にドレスが1着完成した。
「早速準備しましょう!」
ユナリーがパンッと手を叩きながら準備を始めた。
カーテンを開けながら侍女のユナリーが声を掛けてくる。
「おはよう。ユナリー。今日もいい天気ね。建国祭の最終日が晴れてよかったわ。」
軽く伸びをしながらベッドから降りて朝の準備を始める。
建国祭は5日間行われる。初めの3日間は他の国から商人を呼び国全体をあげて祝うお祭りをし、4日目はその年16歳になる貴族たちを集めデビュタントを行なう。そして最終日の5日目は国内外の貴族を招待し夜会をするというのがこの国の慣わしとなっている。
メレアーデは今年16歳になったばかりだ。昨日無事デビュタントも終え、今日からはじめての夜会に参加することになっている。
「ユナリー。今日の夜会のドレスは出来れば婚約者のミル様と色を合わせるべきだと思うのだけど、何か聞いていたりするかしら?」
首を傾げながらユナリーに声をかけると軽く首を横に振った。
「いいえ。何も存じ上げません。通常であればドレスなど贈られて来るかと思うのですが…そういったことも無く…」
「そう。ユナリー気を使わせてしまったわね。ありがとう。そしたら今日はとびきり私に似合うようにしてちょうだい。」
夜会の時は婚約者がいる場合婚約者と同じ色のドレスコードをするのが貴族の中での暗黙のルールだ。そうすることでパートナーがいるということを指すことになる。
1人違う色を来ている場合は相手がいないということになるのだ。
そうならない為にも通常であればお相手から同じ色のドレスが贈られてくることが多い。しかし、今回は送られてこなかった。
この婚約は所謂政略結婚でもある。貴族ではよくあることでミル様はこの国の王太子だ。王太子と近しい年齢で高位貴族の娘はなかなかおらず私に白羽の矢が立った。
元々そこまで結婚願望もなかったし、そういった相手もいなかったのでこちらとしても都合が良かったというのもあるが、まさかこんなことになるとは思わなかった。
「メレアーデ様の髪の色が綺麗な銀色なので濃いめの青いマーメイドドレスはいかがですか?背丈も165cmと高めですし、お似合いかと思います。アクセサリーは目の色に合わせて赤で揃えるのはいかがでしょうか。」
ユナリーが生地と刺繍糸などテーブルの上に並べていく。
「いいわね!それで行きましょう。胸元はハイネックにして背中をオープンな感じにしてみましょうか。胸元には少し刺繍を施しましょう。」
イメージしたものを紙に映し出しながらイラストを書いていく。
通常であれば前もってお店に依頼が必要になってくるが、メレアーデの場合はひと味違う。スキル創造を使ってドレスを作成することをができるのだ。
ただ、何も無いところから作れる訳では無い。あくまでも手元に布や糸、ドレスに必要なものを準備することで作成が可能となってくる。魔法だと自分の魔力を使用するため何も無いところから火を起こしたり水を出したりすることが可能だが、スキルの場合は少し違うのが難点だ。
「メレアーデ様。準備出来ましたのでよろしくお願いいたします。」
「わかったわ。スキル創造。」
手を広げながら先程考えたものを頭の中に描くと目の前で布がどんどん形になっていく。まるで糸や布が踊っているように見えるのがまたなんとも可愛らしい。
そしてあっという間にドレスが1着完成した。
「早速準備しましょう!」
ユナリーがパンッと手を叩きながら準備を始めた。
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