父に頼まれて契約結婚することになりましたが…色々な意味で退屈せずに過ごせそうですね!

ゆずこしょう

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結婚生活1ヶ月目。

マーガレットはメイドになる。

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「さぁ、行きましょうか…。」

襟と袖部分が白く黒を基調とした膝下のワンピース。
ブラウンのウィッグを被り、頬にソバカスを描く。そして大きめなメガネをかければ完成だ。

裏側の扉から離れを出て、屋敷の外に一度出ると再度表から屋敷に向かった。

この辺りは昨日のうちに調査済みである。
屋敷は木や草で囲まれているため、そこを上手く通れば離れから誰にも見つからず行き来が可能だ。


門の前に立っている衛兵に声をかける。


「あ、あ、あのぉ…す、すすすすみません…メイドのめ、めめめ面接に来ましたぁ。よ、よよろしくおねがいします。」


一応、田舎から出てきたばかりという設定だ。弟たちを養うために王都にでてきたミアという少女だ。


「ふん。お前のようなやつ面接にすら通らないだろうが精々頑張れよ。」

少しぶっきらぼうな言い方だが悪い人では無さそうだ。門扉を開けてくれたので中に入った。

中に入って見ると庭は大きいのに枯れている花が多い。庭の中央にも噴水らしき物もあるが…水も出ておらず枯葉や枯花が溜まっていた。庭にもたくさんの枯葉が落ちていて掃除もされていないようだ。


「庭師もメイドもいないようね…一体この家はどうなっているのかしら…」



まるで幽霊屋敷のようでなんだか寒気がしてくる。
恐る恐る扉を開けると…離れまでの酷さはないものの全く掃除されてはいない状態だった。


「ご、ご、ごめんくださぁぁいぃ、メイド募集のチラシを見て参りましたぁぁ。ど、どどなたかい、いいいらっしゃいませんでしょうかぁぁ…」


エントランスで声を掛けても誰も来ない。普通であれば執事長とか、家令、メイド長とかが来ると思うのだけど…ここでずっと待っていればいいのだろうか。



それからエントランスで待ち始めて20分後…。
一向に誰も現れる気配がないため、人がいそうな方向に向けて歩き始めた。


「ご、ご、ごめんくださぁぁい。誰かいませんかぁ
…」


廊下を歩きながら声を掛けていく。


ここまで声をかけても誰も出てこないということは…本当に誰もいないのだろうか…


もしかして逃げた…とか…?

いやいやいや、さっき門兵さんがいたし、もし誰もいなければ入っていいとはならないだろう。


もう少し先に進んで見ると


1つの部屋から話し声が聞こえてきた。のでこっそりと扉を開けて中を覗いて見た。



「全くぅ…本当に甘えん坊なんだからぁぁ」


「ママァァ…ジェラールきのうがんばったんだよぉ。もっとほめてよぉ」


「はいはい…いい子ねぇ。ジェラールは。今日はゆっくりしましょうねぇ。」



そこには…膝の上に頭を乗せて頭を撫でられている男性と、お父様とほとんど年の変わらない女性がいた…


私は何も見なかったことにして音がならないようゆっくりと扉を閉める。

踵を返して歩こうとした瞬間、目の前にはメイド服を着た女性が立っていた。


「こ、こ、こんにちわぁぁ」

見てはいけない現場を見てしまったためかかなり気まずい…


「見てしまいましたね…」


「な、な、なななんのことでしょうかぁ…」


見てないと言いたいけど、この状態で見ていませんは無理がある。誤魔化そうと目を逸らしたが…


「全く誤魔化せていませんよ…」


ハハハ…ですよねぇ…


「はぁ…こちらへ…面接を行いますので。」


あまりこの場に居たくないのかそそくさと去っていくメイド長の後を追って私もこの場を離れた。



⟡.·*.··············································⟡.·*.


「軽く自己紹介してもらえるかしら。」

物置のような部屋に入ると早速面接が始まった。
メイド長にしては若く感じるのは気のせいだろうか。見たところ私とそこまで年齢が変わらない気がする。


「は、はい!!ミアと申します。メイドの経験はありませんが、家事は一通り出来ます。よ、よ、よろしくお願いします。」


ガバリと頭を下げると、


「そう…合格よ。それでいつから来れるかしら?」


「えっ!?合格ですか?あ、あ、あありがとうございます。今日から働けますぅぅ!!」

名前くらいしか聞いていないのに、合格でいいのだろうか。仮にも公爵家だ。セキュリティ的にも問題がありそうなものだけど…。


「それでは、今日からよろしくお願いします。あとはこちらのメイドに全て任せてあるからか話を聞いて。私はやることがあるので戻ります。」


それだけ言うとメイド長は物置部屋を出ていった。





「カヤよ。よろしくね。」

私の教育をしてくれる人はカヤさんと言うらしい。
メイド長を見た時にも思ったが、若い人が多い気がする。若い人でも派手めな人はいなく、どちらかと言うと落ち着いているというか、地味な人ばかりだ。


「ミアです。よろしくお願いします。」


「じゃあまずは着替えて欲しいんだけど…あの箱の後ろで着替えてきて。」


カヤさんが私の手に制服を乗せて、箱が積み重なっているところ指さした。


まさかの着替えるところがないということだろうか…。


「着替える場所は…」


「ないわ!前はあったようだけどメイド風情にそんなの要らないと撤去されたらしいの。」




……

………


「て、て、撤去ですか!?」


まさかの言葉に唖然である。メイドには着替える場所など必要ないから適当にその辺で着替えろ。それが無理なら辞めてしまえということだろうか…?


「そう…だからなんとかこの部屋で着替えられるようにしているのよ。もしそれが無理ならやめてもらって構わないわ。」


わたしは首を振って箱の後ろで着替え始めた。


それにしてもこのメイド服…埃っぽいわ…
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