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二部
眼鏡とおさげをやめてモブを卒業します。
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「ニーナ。いい加減にして。私はあなたの人形でも何でもないの。私だけじゃない。アントン様もデューク様もあなたの人形ではないわ!」ニーナが言ったことに対して、正直いらっとしたが自分の気持ちを押し込めてニーナに伝わりやすいように話す。
「人形だなんて思っていないわ。でも皆私のこと好きだからお金を出してくれるんでしょ?アントン様だって、好きだからお金払ってくれたのよ。」
確かに初めは好きだからという気持ちもあったのだと思うけど、途中からは請求書だけが送られてきてアントン様自身もどうしていいかわからなかっただろう。
「好きだからお金を払う?それは違うわ。好きだったらお金がなくても一緒にいたいと思うもの。私はデューク様が王子だから一緒にいたいわけじゃない。デューク様が好きだから一緒にいるの。あなたからモブといわれても、あなたがいつもお茶会で邪魔をしてもかまわないけどこれだけは譲れないわ。デューク様を渡すことはできません!」
目に涙をうかべながら
「なんで、そんな意地悪言うのよぉ。私がお姫様だからいじめるのね。本当にひどいわ!」
ビアンカやレナード様。デューク様にほかの卒業生の皆が私たちを見ている。折角の卒業式にこんなことされたらそれは嫌だろう。私は言いたいことが言えたし、もうこれ以上言うことはないとニーナに背を向けてデューク様と歩き出そうとしたら、勢いよく足首を握られて、前に転びそうになった。
「いい加減にしろ。ティアナ大丈夫かい?」
私を抱きとめてくれたのはデューク様だった。
「デューク様。ありがとうございます。助かりました。」私はデューク様の手を借りて立ち上がる。ドレスが汚れなくてよかったと心底思った。
「ニーナといったか。私はティアナ意外とこの会場に入る気はない。私の婚約者にこれ以上手を出すことは許さない
。」そう言って兵士にニーナを連れて行くように指示を出すデューク様。
レナード様とビアンカは先に会場内に入ったようだ。ニーナは兵士に連れていかれてもずっと騒いでいた。
恐らく明日には学院の先生にも報告が上がることだろう。そしてアントン様のことでも連絡がいくはずだ。今回アントン様がここにきていなかったということはアントン様はニーナがここに来たということを知らない可能性が高い。
私たちはニーナの後姿を見てから二人で歩きだした。
「デューク様。いろいろありがとうございました。やっとニーナに言いたかったことが言えました。言ったらすごくすっきりしたんです。話し合っても通じる相手ではなかったですが、話すことはとても大切ですね。」
笑顔でデューク様の方をみると、デューク様はこちらを真剣な顔で見ている。
「ティアナ...その、先ほど言っていた、好きというのは本当だろうか...俺も婚約者といってしまったが...」
そう言えばあとでデューク様に伝えようと思っていたのに、ニーナのことがあってきちんとデューク様に伝えていなかったことを思い出した。しかもたくさんの人がいる前で告白したことになる。
そう思ったら一気に恥ずかしくなり顔が熱くなった。
「デューク様。お待たせして申し訳ございませんでした。私もデューク様のことが大好きです。ちょっとヤキモチやきなところも、私の前では一生懸命かっこつけようとしているところも、優しいところもすべてが好きです。なので婚約の話お受けいたします。」
そのあと何か話が続くかと思っていたがなかなか続かず、私はデューク様に思わず聞いてしまった。
「デューク様。私の返事遅すぎたでしょうか...。もしだめだったらおっしゃってください。」
「い...いや、そんなことはない!まさかここで返事がもらえると思わなかったんだ。嬉しいよ!」
私を軽々と持ち上げながらくるくる回るデューク様。まるで本当のお姫様になったようだ。
「まだ卒業まで2年ありますけど、卒業するの待っててくれますか?」
「あぁ、もちろんだ!」
「国に帰っても遊びに来てくださいね。勿論私も遊びに行きます!」
「あぁ、もちろんだ!」
「浮気はしないでくださいね!」
「もちろんだ!ティアナ以外興味ないよ。」
「大好きです。」「大好きだ!」
やっと自分の気持ちを伝えることができた。
そして眼鏡とおさげをやめてモブを卒業したことで、自信が持てた気がする。
これからは眼鏡とおさげを卒業して、前を向いて生きていきます!
完
⟡.·*.··············································⟡.·*.
あとがき
この度は「自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!」をお読みいただきありがとうございました。
ニーナやその家族については、ご想像にお任せいたします。
アントン様はニーナと別れたことで幸せに暮らしていると思っていただけますと幸いです。
これにてティアナの物語は終了となります。
もう少しニーナの心情やティアナの心情がかけたら見やすい部分もあったかもしれないと反省しております。
そしていつものごとくコメディと書きながら最後コメディではなくなってしまいました・・・申し訳ございません。
また次回以降、懲りずにお読みいただけますと幸いです。
またどこかでお会いできることを楽しみにしております。
ありがとうございました。
ゆずこしょう
「人形だなんて思っていないわ。でも皆私のこと好きだからお金を出してくれるんでしょ?アントン様だって、好きだからお金払ってくれたのよ。」
確かに初めは好きだからという気持ちもあったのだと思うけど、途中からは請求書だけが送られてきてアントン様自身もどうしていいかわからなかっただろう。
「好きだからお金を払う?それは違うわ。好きだったらお金がなくても一緒にいたいと思うもの。私はデューク様が王子だから一緒にいたいわけじゃない。デューク様が好きだから一緒にいるの。あなたからモブといわれても、あなたがいつもお茶会で邪魔をしてもかまわないけどこれだけは譲れないわ。デューク様を渡すことはできません!」
目に涙をうかべながら
「なんで、そんな意地悪言うのよぉ。私がお姫様だからいじめるのね。本当にひどいわ!」
ビアンカやレナード様。デューク様にほかの卒業生の皆が私たちを見ている。折角の卒業式にこんなことされたらそれは嫌だろう。私は言いたいことが言えたし、もうこれ以上言うことはないとニーナに背を向けてデューク様と歩き出そうとしたら、勢いよく足首を握られて、前に転びそうになった。
「いい加減にしろ。ティアナ大丈夫かい?」
私を抱きとめてくれたのはデューク様だった。
「デューク様。ありがとうございます。助かりました。」私はデューク様の手を借りて立ち上がる。ドレスが汚れなくてよかったと心底思った。
「ニーナといったか。私はティアナ意外とこの会場に入る気はない。私の婚約者にこれ以上手を出すことは許さない
。」そう言って兵士にニーナを連れて行くように指示を出すデューク様。
レナード様とビアンカは先に会場内に入ったようだ。ニーナは兵士に連れていかれてもずっと騒いでいた。
恐らく明日には学院の先生にも報告が上がることだろう。そしてアントン様のことでも連絡がいくはずだ。今回アントン様がここにきていなかったということはアントン様はニーナがここに来たということを知らない可能性が高い。
私たちはニーナの後姿を見てから二人で歩きだした。
「デューク様。いろいろありがとうございました。やっとニーナに言いたかったことが言えました。言ったらすごくすっきりしたんです。話し合っても通じる相手ではなかったですが、話すことはとても大切ですね。」
笑顔でデューク様の方をみると、デューク様はこちらを真剣な顔で見ている。
「ティアナ...その、先ほど言っていた、好きというのは本当だろうか...俺も婚約者といってしまったが...」
そう言えばあとでデューク様に伝えようと思っていたのに、ニーナのことがあってきちんとデューク様に伝えていなかったことを思い出した。しかもたくさんの人がいる前で告白したことになる。
そう思ったら一気に恥ずかしくなり顔が熱くなった。
「デューク様。お待たせして申し訳ございませんでした。私もデューク様のことが大好きです。ちょっとヤキモチやきなところも、私の前では一生懸命かっこつけようとしているところも、優しいところもすべてが好きです。なので婚約の話お受けいたします。」
そのあと何か話が続くかと思っていたがなかなか続かず、私はデューク様に思わず聞いてしまった。
「デューク様。私の返事遅すぎたでしょうか...。もしだめだったらおっしゃってください。」
「い...いや、そんなことはない!まさかここで返事がもらえると思わなかったんだ。嬉しいよ!」
私を軽々と持ち上げながらくるくる回るデューク様。まるで本当のお姫様になったようだ。
「まだ卒業まで2年ありますけど、卒業するの待っててくれますか?」
「あぁ、もちろんだ!」
「国に帰っても遊びに来てくださいね。勿論私も遊びに行きます!」
「あぁ、もちろんだ!」
「浮気はしないでくださいね!」
「もちろんだ!ティアナ以外興味ないよ。」
「大好きです。」「大好きだ!」
やっと自分の気持ちを伝えることができた。
そして眼鏡とおさげをやめてモブを卒業したことで、自信が持てた気がする。
これからは眼鏡とおさげを卒業して、前を向いて生きていきます!
完
⟡.·*.··············································⟡.·*.
あとがき
この度は「自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!」をお読みいただきありがとうございました。
ニーナやその家族については、ご想像にお任せいたします。
アントン様はニーナと別れたことで幸せに暮らしていると思っていただけますと幸いです。
これにてティアナの物語は終了となります。
もう少しニーナの心情やティアナの心情がかけたら見やすい部分もあったかもしれないと反省しております。
そしていつものごとくコメディと書きながら最後コメディではなくなってしまいました・・・申し訳ございません。
また次回以降、懲りずにお読みいただけますと幸いです。
またどこかでお会いできることを楽しみにしております。
ありがとうございました。
ゆずこしょう
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