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二部
卒業パーティー
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早いもので卒業パーティー当日になった。
この1か月はニーナのこと、アントン様のことについて色々調べる時間にあてた。
調べること自体は難しくなく、思っていた以上に簡単に証拠が手に入った。
「ティアナお嬢様、最近あまり眠れていないようですが大丈夫ですか?」
「そうね、書類を準備するのが少し大変で...お父様たちはいつもこんなに大変なことをしていたのが本当にすごいと思うわ。始めて自分で動いてみて思うけれど、知らないことばかり。でも婚約する前に色々なことに気付けて良かったと思っているの。おかげで今はすごく楽しいわ。」
「ならよかったです。本日は卒業パーティーですし、何事もなく終えられるといいですね。」
「そうね、ニーナがこのまま静かにしていてくれればいいんだけれど...」
できればもう少し、デューク様と学生生活を送りたかったと思うのが本音だけど、一番はデューク様に出会えたことだからそこまで気にしていない。
「デューク様にいただいたドレスも続いていますので早速着替えましょう。」
デューク様から届いたドレスは収穫祭の時に作ってもらったドレスだ。
初めてドレスを見たが、とてもきれいな色合いだった。マーメイドのドレスになっていて、胸元はオフショルダーだ。デューク様のような澄んだ青色のドレスになっていて、フリルの部分は下に向かって、デューク様の髪色の黒に変わるようグラデーションになっている。すごくシックなデザインだ。
「すごくきれいなデザインね。今回は眼鏡もおさげもしない。髪はおろして、メイクはドレスに似合う色合いにしてもらってもいいかしら...あと自信がつくようにしてちょうだい。」
アマンダにお願いすると笑顔で「承知いたしました」と返ってきた。
アマンダにメイクしてもらっている間にニーナたちのことについて考える。
今日は卒業生とそのパートナー、家族しか参加できないパーティーだ。ニーナも、アントン様も1年生だし参加することはできない。
アントン様からの証拠もいただいているし、今までの請求書についても控えをもらった。封筒については法務局へ明日届くよう郵送済みだ。
早ければ明後日にはルルー家に捜査が入ることだろう。無事書類が間に合ってよかった。
「お嬢様。メイクとヘアセット終わりました。今回はドレスと同じように青と黒のグラデーションの愛車度にしてみました。リップも少し濃い目の色にしてみました。」
いつもとすごい雰囲気が変わっていて、とても素敵だ。デューク様の隣にいても見劣りしなさそうでよかった。
「アマンダ。ありがとう!とても素敵ね。私デューク様にきちんと気持ちを伝えてくるわ!そして前に進んでくる。」
色々話しているとあっという間に卒業パーティーの時間になった。
エントランスに行くと、デューク様が待っている。
「デューク様。お待たせいたしました。」
デューク様のもとに向かうとデューク様が吃驚した顔でこちらを見ている。
デューク様の今回のタキシードスーツは濃紺の色で私が選んだ色合いだ。恋人になる前に作ったものだったけど、自分でも気づかないうちに私の髪色と同じ色にしていたみたいだ。
「ティアナ。すごく素敵だ。今日はいつもと全く雰囲気が違うね。そのドレスとメイクがよりティアナのきれいさを引き立たせているよ。」
デューク様の言葉に私も思わず熱くなる。まさかそんなに褒めてもらえるとは思っていなかった。
「デューク様が選んでくれたんです。素敵なドレスありがとうございます。それにデューク様もとても素敵です!」
2人で見つめあっていると後ろから咳払いが聞こえる。
「二人とも気を付けて行ってらっしゃい。」そう言って背中を押してくれるお父様とお母様。
私たちが卒業パーティーの会場につくとすでにたくさんの人たちが来ている。
「ティアナ、デューク様。」
遠くから手を振って近づいてくるのはビアンカだ。勿論レナード様も一緒だ。二人もそれぞれの色の入ったドレスとタキシードをきていてとても素敵だった。私たちは黒系だが、レナード様達は白系だ。
4人で一緒に会場の中へ向かう。
皆が私たちを見ているところを見ると、私もそこまで浮いていないようで安心した。
4人で会場の中へ向かって歩いているとひと際大きい声が聞こえた。
「私はお姫様なのになんでこの中に入れないのよ!」
「入れないものは入れないのです。お下がりください。」兵士から帰られるように伝えられているのに変える気配がない...。
「なんでよ!」兵士の方も困っているようなので、私は話しかけることにした。
「ニーナ。ここは卒業生のパーティーなのよ。卒業生と卒業生のパートナー、そして家族しか入れないの。」
入れないことを分かりやすいように伝えると、
「なんでモブのあんたが入れるのにお姫様の私は入れないのよぉ」と泣き出す始末だ...
「わかったわ!じゃああなたのパートナーと一緒にいくから変わって頂戴!それにアントンよりもかっこいいし私の王子様にピッタリよ!」
私は一瞬ニーナが何を言っているのかわからなかった。
「最近アントンは何か買うと怒るし、最近は王子様っぽくなかったからちょうどいいわ!」
ちょうどいいわじゃない。本当にこの子は何を言っているのだろうか...この言葉を聞いてデューク様が何か話そうとしていたけど、それを手でとめて私が話した。
この1か月はニーナのこと、アントン様のことについて色々調べる時間にあてた。
調べること自体は難しくなく、思っていた以上に簡単に証拠が手に入った。
「ティアナお嬢様、最近あまり眠れていないようですが大丈夫ですか?」
「そうね、書類を準備するのが少し大変で...お父様たちはいつもこんなに大変なことをしていたのが本当にすごいと思うわ。始めて自分で動いてみて思うけれど、知らないことばかり。でも婚約する前に色々なことに気付けて良かったと思っているの。おかげで今はすごく楽しいわ。」
「ならよかったです。本日は卒業パーティーですし、何事もなく終えられるといいですね。」
「そうね、ニーナがこのまま静かにしていてくれればいいんだけれど...」
できればもう少し、デューク様と学生生活を送りたかったと思うのが本音だけど、一番はデューク様に出会えたことだからそこまで気にしていない。
「デューク様にいただいたドレスも続いていますので早速着替えましょう。」
デューク様から届いたドレスは収穫祭の時に作ってもらったドレスだ。
初めてドレスを見たが、とてもきれいな色合いだった。マーメイドのドレスになっていて、胸元はオフショルダーだ。デューク様のような澄んだ青色のドレスになっていて、フリルの部分は下に向かって、デューク様の髪色の黒に変わるようグラデーションになっている。すごくシックなデザインだ。
「すごくきれいなデザインね。今回は眼鏡もおさげもしない。髪はおろして、メイクはドレスに似合う色合いにしてもらってもいいかしら...あと自信がつくようにしてちょうだい。」
アマンダにお願いすると笑顔で「承知いたしました」と返ってきた。
アマンダにメイクしてもらっている間にニーナたちのことについて考える。
今日は卒業生とそのパートナー、家族しか参加できないパーティーだ。ニーナも、アントン様も1年生だし参加することはできない。
アントン様からの証拠もいただいているし、今までの請求書についても控えをもらった。封筒については法務局へ明日届くよう郵送済みだ。
早ければ明後日にはルルー家に捜査が入ることだろう。無事書類が間に合ってよかった。
「お嬢様。メイクとヘアセット終わりました。今回はドレスと同じように青と黒のグラデーションの愛車度にしてみました。リップも少し濃い目の色にしてみました。」
いつもとすごい雰囲気が変わっていて、とても素敵だ。デューク様の隣にいても見劣りしなさそうでよかった。
「アマンダ。ありがとう!とても素敵ね。私デューク様にきちんと気持ちを伝えてくるわ!そして前に進んでくる。」
色々話しているとあっという間に卒業パーティーの時間になった。
エントランスに行くと、デューク様が待っている。
「デューク様。お待たせいたしました。」
デューク様のもとに向かうとデューク様が吃驚した顔でこちらを見ている。
デューク様の今回のタキシードスーツは濃紺の色で私が選んだ色合いだ。恋人になる前に作ったものだったけど、自分でも気づかないうちに私の髪色と同じ色にしていたみたいだ。
「ティアナ。すごく素敵だ。今日はいつもと全く雰囲気が違うね。そのドレスとメイクがよりティアナのきれいさを引き立たせているよ。」
デューク様の言葉に私も思わず熱くなる。まさかそんなに褒めてもらえるとは思っていなかった。
「デューク様が選んでくれたんです。素敵なドレスありがとうございます。それにデューク様もとても素敵です!」
2人で見つめあっていると後ろから咳払いが聞こえる。
「二人とも気を付けて行ってらっしゃい。」そう言って背中を押してくれるお父様とお母様。
私たちが卒業パーティーの会場につくとすでにたくさんの人たちが来ている。
「ティアナ、デューク様。」
遠くから手を振って近づいてくるのはビアンカだ。勿論レナード様も一緒だ。二人もそれぞれの色の入ったドレスとタキシードをきていてとても素敵だった。私たちは黒系だが、レナード様達は白系だ。
4人で一緒に会場の中へ向かう。
皆が私たちを見ているところを見ると、私もそこまで浮いていないようで安心した。
4人で会場の中へ向かって歩いているとひと際大きい声が聞こえた。
「私はお姫様なのになんでこの中に入れないのよ!」
「入れないものは入れないのです。お下がりください。」兵士から帰られるように伝えられているのに変える気配がない...。
「なんでよ!」兵士の方も困っているようなので、私は話しかけることにした。
「ニーナ。ここは卒業生のパーティーなのよ。卒業生と卒業生のパートナー、そして家族しか入れないの。」
入れないことを分かりやすいように伝えると、
「なんでモブのあんたが入れるのにお姫様の私は入れないのよぉ」と泣き出す始末だ...
「わかったわ!じゃああなたのパートナーと一緒にいくから変わって頂戴!それにアントンよりもかっこいいし私の王子様にピッタリよ!」
私は一瞬ニーナが何を言っているのかわからなかった。
「最近アントンは何か買うと怒るし、最近は王子様っぽくなかったからちょうどいいわ!」
ちょうどいいわじゃない。本当にこの子は何を言っているのだろうか...この言葉を聞いてデューク様が何か話そうとしていたけど、それを手でとめて私が話した。
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