自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう

文字の大きさ
上 下
51 / 54
二部

男同士の茶会。 

しおりを挟む
デューク視点。

アントンに手紙を送ってから、数日が経った。アントンから茶会に参加できると返信があったため準備を進める。
勿論今回の茶会についてはティアナにも伝えた。
ティアナもアントンについては少し気になっていたそうだ。ただアントンに恋人がいる手前なかなか自分から会うということはできず、どのように話を進めていけばいいか考えていたらしい。
なので、アントンのことは俺に任せてもらってニーナの方に集中してもらうことにした。

今回の茶会はレナードに場を借りて王宮の一室で行わせてもらうことにした。外に音も漏れないので話しやすいだろう。

「レナード、今回は場所を貸してくれてありがとう。助かったよ。」
俺が手を出すと、レナードも手を握り返してくる。
「いや、気にしないでくれ。それに俺も参加するんだ。うまく話が進めばいいな。」

男同士の茶会だ。そこまで細かく考えずにいつも通りの服装で気楽に参加できるようにした。女性がいるとこうもいかないので準備が楽ですごく助かる。

2人で話して待っていると、エリオットがやってきた。
「レナード殿下、デューク殿下。この度はお呼びいただきありがとうございます。」
そう言って軽く会釈するエリオットは年下ではあるもののとても貫禄がある。
「こちらこそ、急遽よんですまない。よろしく頼む。」

「とんでもないです。お二人に呼んでいただけて光栄です。」3人で話していると少し後にアントンがやってきた。

「遅くなり申し訳ございません。レナード殿下、デューク殿下お久しぶりでございます。そしてエリオット様お初にお目にかかります。ムーラン家子息が三男、アントン・ムーランと申します。よろしくお願いいたします。」
軽く会釈をする、ムーランにやはり常識がないように思えなかった。


アントン視点

最近なぜか、屋敷にいるのが当たり前のようにニーナがいる。そしてニーナから目を盗んで出かけるのがなかなか難しい。ニーナは僕がムーラン家次期当主になると思っているようだが、僕は三男であって後継ぎではない。それは気づいているのだろうか...
もし後継ぎではないと分かれば今関係は終わってしまいそうだが、その時その時かもしれないと最近思うようになっている。

「アントンさまぁ...ニーナこの宝石が欲しいんですが、買ってもよろしいですかぁ?」
ニーナは僕のことを金づるとでも思っているのだろうか...ダメといっても勝手に買って請求書をこちらに送付してくるのに...

「ニーナ。宝石の話はまた今度でいいかい。すまないが今日は予定が入っているんだ。だから一旦自宅に帰ってくれないか。」

「えぇ、いやだぁ。かえりたくなぁい。宝石かってくれたらぁ考えてもいいけどぉ...」
勝手に家に来て、居座って帰らない。ただ、今日は本当に時間がないんだ。宝石についても...父上にこれ以上はお子来られてしまう。

「わかった...宝石については前向きに考えておくから今日はいったん帰ってくれ。もっといいものがあるかもしれないし、すぐに決めずにニーナに会ったものを選びたいんだ。僕のお姫様だからね。」
お姫様といわれたことが少しうれしかったのか、今日は引き下がって帰ってくれた。

とりあえず急いで準備をして王宮に向かう。

「遅くなり申し訳ございません。レナード殿下、デューク殿下お久しぶりでございます。そしてエリオット様お初にお目にかかります。ムーラン家子息が三男、アントン・ムーランと申します。よろしくお願いいたします。」

家格が低い僕が一番早く来なくてはならなかったのに、ニーナのことがありなかなかこれなかった。挨拶をすると、何となく理解してくれたのか3人が気にするなと声をかけてくれたことで気持ち的にも落ち着いた気がする。

「アントン。座ってくれ。今日は男子のみの茶会だ。気兼ねなく楽しんでいってくれれば構わない。」

「デューク殿下、ありがとうございます。その節は大変お世話になりました。」先日ウィッグ屋で会った際の話をする。あの時からまだ抜け毛は収まっていないものの、ウィッグがあるおかげで何とかなっている。
僕の話を聞きながら、エリオット様が口を開いた。
「すみません。つかぬことをお聞きしますが、アントン殿はいつから抜け毛が始まったのでしょうか...」
確かに初めから抜け毛があったわけではない。ニーナと付き合って一か月くらい経った時から少しずつ髪が抜け始めたことを話した。
そして最近では体調にも変化が表れている。食べても吐いてしまったり、腹はすいているのに食べれなかったり様々だ。
「特にひどくなったのは請求書が勝手に実家に送られるようになったころだったと思います。向こうのご両親にも伝えましたが取り合ってくれず、結局こちらが払っています。」
ニーナが日に日にひどくなっていることを伝えると3人が顔色を変えた。

「アントン。ニーナが変わりそうなら変わらせるように動こうと思っていたが、ニーナは変わりそうか?」

僕のことを好いてくれたわけだし、少しでもいい方向に変わればいいと思っていたが現状は難しいだろう...
「恐らく難しいかと...最近はどんどんひどくなっていますし、僕自身どうしていいかわかりません。」

本音を伝えると、デューク様が「色々教えてくれて助かった。アントンはもう少し我慢していてくれ。」
デューク様に任せることは自分としてもふがいないが、相手の家格が上であり、なかなか話を取り合ってくれないところを見るとこれ以上何もできなかった。

「よろしくお願いいたします。」

僕はそれしかいうことができなかった。






しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

モブですが、婚約者は私です。

伊月 慧
恋愛
 声高々に私の婚約者であられる王子様が婚約破棄を叫ぶ。隣に震える男爵令嬢を抱き寄せて。  婚約破棄されたのは同年代の令嬢をまとめる、アスラーナ。私の親友でもある。そんな彼女が目を丸めるのと同時に、私も目を丸めた。  待ってください。貴方の婚約者はアスラーナではなく、貴方がモブ認定している私です。 新しい風を吹かせてみたくなりました。 なんかよく有りそうな感じの話で申し訳ございません。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

……モブ令嬢なのでお気になさらず

monaca
恋愛
……。 ……えっ、わたくし? ただのモブ令嬢です。

わたくし、連座で処刑は嫌ですわ!!!

碧桜 汐香
恋愛
連座で処刑される、悪役令嬢の取り巻きに転生したわたくし。 悪役令嬢親衛隊の下っ端で、殿下と令嬢の恋を見守る会の一般会員。 そんな下っ端のわたくしが連座で処刑なんて、絶対に嫌ですわ! 必死に妨害をして、少しだけストーリーが変わったきがするような……?でも、ついに断罪の日になってしまいましたわ! あれ?何か様子がおかしいですわ……?

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】せっかくモブに転生したのに、まわりが濃すぎて逆に目立つんですけど

monaca
恋愛
前世で目立って嫌だったわたしは、女神に「モブに転生させて」とお願いした。 でも、なんだか周りの人間がおかしい。 どいつもこいつも、妙にキャラの濃いのが揃っている。 これ、普通にしているわたしのほうが、逆に目立ってるんじゃない?

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

処理中です...