自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう

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二部

男同士の茶会。 

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デューク視点。

アントンに手紙を送ってから、数日が経った。アントンから茶会に参加できると返信があったため準備を進める。
勿論今回の茶会についてはティアナにも伝えた。
ティアナもアントンについては少し気になっていたそうだ。ただアントンに恋人がいる手前なかなか自分から会うということはできず、どのように話を進めていけばいいか考えていたらしい。
なので、アントンのことは俺に任せてもらってニーナの方に集中してもらうことにした。

今回の茶会はレナードに場を借りて王宮の一室で行わせてもらうことにした。外に音も漏れないので話しやすいだろう。

「レナード、今回は場所を貸してくれてありがとう。助かったよ。」
俺が手を出すと、レナードも手を握り返してくる。
「いや、気にしないでくれ。それに俺も参加するんだ。うまく話が進めばいいな。」

男同士の茶会だ。そこまで細かく考えずにいつも通りの服装で気楽に参加できるようにした。女性がいるとこうもいかないので準備が楽ですごく助かる。

2人で話して待っていると、エリオットがやってきた。
「レナード殿下、デューク殿下。この度はお呼びいただきありがとうございます。」
そう言って軽く会釈するエリオットは年下ではあるもののとても貫禄がある。
「こちらこそ、急遽よんですまない。よろしく頼む。」

「とんでもないです。お二人に呼んでいただけて光栄です。」3人で話していると少し後にアントンがやってきた。

「遅くなり申し訳ございません。レナード殿下、デューク殿下お久しぶりでございます。そしてエリオット様お初にお目にかかります。ムーラン家子息が三男、アントン・ムーランと申します。よろしくお願いいたします。」
軽く会釈をする、ムーランにやはり常識がないように思えなかった。


アントン視点

最近なぜか、屋敷にいるのが当たり前のようにニーナがいる。そしてニーナから目を盗んで出かけるのがなかなか難しい。ニーナは僕がムーラン家次期当主になると思っているようだが、僕は三男であって後継ぎではない。それは気づいているのだろうか...
もし後継ぎではないと分かれば今関係は終わってしまいそうだが、その時その時かもしれないと最近思うようになっている。

「アントンさまぁ...ニーナこの宝石が欲しいんですが、買ってもよろしいですかぁ?」
ニーナは僕のことを金づるとでも思っているのだろうか...ダメといっても勝手に買って請求書をこちらに送付してくるのに...

「ニーナ。宝石の話はまた今度でいいかい。すまないが今日は予定が入っているんだ。だから一旦自宅に帰ってくれないか。」

「えぇ、いやだぁ。かえりたくなぁい。宝石かってくれたらぁ考えてもいいけどぉ...」
勝手に家に来て、居座って帰らない。ただ、今日は本当に時間がないんだ。宝石についても...父上にこれ以上はお子来られてしまう。

「わかった...宝石については前向きに考えておくから今日はいったん帰ってくれ。もっといいものがあるかもしれないし、すぐに決めずにニーナに会ったものを選びたいんだ。僕のお姫様だからね。」
お姫様といわれたことが少しうれしかったのか、今日は引き下がって帰ってくれた。

とりあえず急いで準備をして王宮に向かう。

「遅くなり申し訳ございません。レナード殿下、デューク殿下お久しぶりでございます。そしてエリオット様お初にお目にかかります。ムーラン家子息が三男、アントン・ムーランと申します。よろしくお願いいたします。」

家格が低い僕が一番早く来なくてはならなかったのに、ニーナのことがありなかなかこれなかった。挨拶をすると、何となく理解してくれたのか3人が気にするなと声をかけてくれたことで気持ち的にも落ち着いた気がする。

「アントン。座ってくれ。今日は男子のみの茶会だ。気兼ねなく楽しんでいってくれれば構わない。」

「デューク殿下、ありがとうございます。その節は大変お世話になりました。」先日ウィッグ屋で会った際の話をする。あの時からまだ抜け毛は収まっていないものの、ウィッグがあるおかげで何とかなっている。
僕の話を聞きながら、エリオット様が口を開いた。
「すみません。つかぬことをお聞きしますが、アントン殿はいつから抜け毛が始まったのでしょうか...」
確かに初めから抜け毛があったわけではない。ニーナと付き合って一か月くらい経った時から少しずつ髪が抜け始めたことを話した。
そして最近では体調にも変化が表れている。食べても吐いてしまったり、腹はすいているのに食べれなかったり様々だ。
「特にひどくなったのは請求書が勝手に実家に送られるようになったころだったと思います。向こうのご両親にも伝えましたが取り合ってくれず、結局こちらが払っています。」
ニーナが日に日にひどくなっていることを伝えると3人が顔色を変えた。

「アントン。ニーナが変わりそうなら変わらせるように動こうと思っていたが、ニーナは変わりそうか?」

僕のことを好いてくれたわけだし、少しでもいい方向に変わればいいと思っていたが現状は難しいだろう...
「恐らく難しいかと...最近はどんどんひどくなっていますし、僕自身どうしていいかわかりません。」

本音を伝えると、デューク様が「色々教えてくれて助かった。アントンはもう少し我慢していてくれ。」
デューク様に任せることは自分としてもふがいないが、相手の家格が上であり、なかなか話を取り合ってくれないところを見るとこれ以上何もできなかった。

「よろしくお願いいたします。」

僕はそれしかいうことができなかった。






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