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二部
取り敢えず事故に巻き込まれていなくて安心しました。
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昨日のお茶会は知人のみの招待だったこともありうまく終わって良かった。
準備などを含めて思っていたより疲れていたようでぐっすり眠ることができた。
アマンダがカーテンを開けて部屋に光を入れる。
「ティアナお嬢様、おはようございます。」
「アマンダ、おはよう。今日もいい天気ね。そういえばあの後ニーナから連絡あったりしたのかしら…」
アマンダは首を横に振り、連絡がなかったことを教えてくれた。
ニーナだけなら忘れていだなんてことありそうだけれど、アントン様もとなると何かあったのではないかと少し心配になってしまう。
ウィッグ屋であったアントン様を見る限り、そこまで常識が外れている人には見えなかった。
「そう…ありがとう。取り敢えず今日学院に行ったらクラスの前を通ってみましょう。」
恐らくクラスを通り過ぎるくらいであれば気付かれずに済むだろう。学院にきていれば事故や事件に巻き込まれたわけではないと少し安心できる。
学院に行く準備、朝食を終えて少しゆっくりしているとデューク様が迎えにきてくれた。
「デューク様、おはようございます。」
「ティアナ、おはよう。昨日のお茶会はとても楽しかったよ。準備大変だっただろう。昨夜はゆっくり休めたかい?」
デューク様が昨日のお茶会を楽しいと感じてくれていたようで少しホッとした。
昨日のお茶会は知人であってもほとんどが自分より家格が上の方ばかりだったからすごく不安だったのだ。
「こちらこそ、昨日はお茶会にご参加くださりありがとうございました。楽しかったと言っていただけて安心いたしました。昨夜は思っていた以上に疲れていたのかぐっすり眠ることができました。」
そう伝えるとなら良かったと笑顔で返してくれる。
最近デューク様に笑顔が増えたような気がする。そしてこの笑顔を見たらやたらドキドキする。私はきっとこの気持ちを知っている。好きなおやつを食べる時の感覚に似ているからだ。
「この気持ちを伝えるのはもうしばらくさきになりそうね…」
小さい声で呟き私は馬車に乗って、デューク様と一緒に学院に向かった。
学院につくと私たちは別々に校舎内を歩く。この時間が最近少し寂しく感じる。
近くにいるのに少し遠くにいるような感じだ。
自分の教室に行く前に一度ニーナの教室に寄りたかったので、軽く会釈をしてデューク様と別れた。
廊下を進みニーナのクラスの前を通るとクラスの中からニーナの声が聞こえてくる。
「ニーナはお姫様なのよ。だからあなたたちは私のいうことを聞きなさい!」
いつも通りのニーナに少しホッとした反面、クラスでも変わらないのかと思った。
廊下を歩く他の人たちもいつものことなのか気にも留めないようだ。
それにしても前よりもわがまま度が増しているのではないだろうか。
「ニーナのいうことを聞かないとパパがあなた達の家なんて簡単に取り壊しちゃうんだから!」
廊下に聞こえるニーナの声が小さい子の癇癪に聞こえてくる…
「今まで当事者だったから気付かなかったのかも知れないけれど、第三者として聞いていれば駄々っ子のわがままにしか聞こえないわね。」
真正面からばかり見ていたら見れないこともある。色々な角度からもっとニーナを見るべきだった。私はもう少し早くニーナと向き合うべきだったのだろう。
そしたら少しは変わっていたのかも知れない…。
私はそのまま廊下を進んで教室に向かった。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
アントン・ムーラン視点。
ニーナと付き合い始めてから5ヶ月が経った。始めは僕のことを王子様と言ってくれる姿がとても可愛く、僕自身も王子様に憧れがあったためニーナに王子様と言われるのがとても嬉しかった。男爵家の三男ということもあり今まで見向きもされなかった僕は少し調子に乗ってしまっていたのもあるのかもしれない。
ムーラン家は男爵家であるものの考え方は平民に近い。
商人はお客様がいてこそ成り立つ職業でもある。そして約束は絶対だ。
約束を守れなければ信頼を失うことだと小さい頃から教えられている。
「ニーナ、今日はティアナ・ノヴァ嬢からお茶会の招待状が届いていたはずだ。それに参加することを書いて返信したのだが、もう時間になる。準備しないと…」
このままだとお茶会の時間に遅れてしまうことになるためニーナに準備するように伝える。
「うるさいわね!私に指図しないでよ。私はお姫様なのよ。行くも行かないも自由じゃない。それにあのモブ。私よりイケメンの恋人を連れていたわ。私より目立つなんて本当に許せないんだから。」
付き合い始めてから初めの頃はただの可愛いお姫様に見えていたのだが、いつからか傲慢さが増した様な気がする。
ドレスも買っていいと言ってもいないのにどんどん買って請求書ばかりがうちに届く。
そのせいで僕が父上から怒られる。ただ買った以上払わない訳にいかないからと父は仕方なく支払いをしていた。
ルルー家には父上から何度かニーナが買ったドレスの件で連絡をしていたが、
「そちらの息子と恋人になったのだからそちらが支払うのが当たり前だ。」と連絡が来るのみで取り合ってくれなかった様だ。
外にいる時のニーナは周りに見られているからか少し機嫌がいい。
ただ気づいているのだろうか。
周りの目線は羨望の眼差しではなく迷惑そうな眼差しで見ていることに…
僕はそれに気づいてからニーナと一緒にいるのが不安になった。
そのせいか、髪がどんどん抜けてきて困っている。綺麗に整えていただけにショックが大きい…
誰かに相談できないかと悩んでいた頃、デューク殿下から一通の手紙が届いた。
準備などを含めて思っていたより疲れていたようでぐっすり眠ることができた。
アマンダがカーテンを開けて部屋に光を入れる。
「ティアナお嬢様、おはようございます。」
「アマンダ、おはよう。今日もいい天気ね。そういえばあの後ニーナから連絡あったりしたのかしら…」
アマンダは首を横に振り、連絡がなかったことを教えてくれた。
ニーナだけなら忘れていだなんてことありそうだけれど、アントン様もとなると何かあったのではないかと少し心配になってしまう。
ウィッグ屋であったアントン様を見る限り、そこまで常識が外れている人には見えなかった。
「そう…ありがとう。取り敢えず今日学院に行ったらクラスの前を通ってみましょう。」
恐らくクラスを通り過ぎるくらいであれば気付かれずに済むだろう。学院にきていれば事故や事件に巻き込まれたわけではないと少し安心できる。
学院に行く準備、朝食を終えて少しゆっくりしているとデューク様が迎えにきてくれた。
「デューク様、おはようございます。」
「ティアナ、おはよう。昨日のお茶会はとても楽しかったよ。準備大変だっただろう。昨夜はゆっくり休めたかい?」
デューク様が昨日のお茶会を楽しいと感じてくれていたようで少しホッとした。
昨日のお茶会は知人であってもほとんどが自分より家格が上の方ばかりだったからすごく不安だったのだ。
「こちらこそ、昨日はお茶会にご参加くださりありがとうございました。楽しかったと言っていただけて安心いたしました。昨夜は思っていた以上に疲れていたのかぐっすり眠ることができました。」
そう伝えるとなら良かったと笑顔で返してくれる。
最近デューク様に笑顔が増えたような気がする。そしてこの笑顔を見たらやたらドキドキする。私はきっとこの気持ちを知っている。好きなおやつを食べる時の感覚に似ているからだ。
「この気持ちを伝えるのはもうしばらくさきになりそうね…」
小さい声で呟き私は馬車に乗って、デューク様と一緒に学院に向かった。
学院につくと私たちは別々に校舎内を歩く。この時間が最近少し寂しく感じる。
近くにいるのに少し遠くにいるような感じだ。
自分の教室に行く前に一度ニーナの教室に寄りたかったので、軽く会釈をしてデューク様と別れた。
廊下を進みニーナのクラスの前を通るとクラスの中からニーナの声が聞こえてくる。
「ニーナはお姫様なのよ。だからあなたたちは私のいうことを聞きなさい!」
いつも通りのニーナに少しホッとした反面、クラスでも変わらないのかと思った。
廊下を歩く他の人たちもいつものことなのか気にも留めないようだ。
それにしても前よりもわがまま度が増しているのではないだろうか。
「ニーナのいうことを聞かないとパパがあなた達の家なんて簡単に取り壊しちゃうんだから!」
廊下に聞こえるニーナの声が小さい子の癇癪に聞こえてくる…
「今まで当事者だったから気付かなかったのかも知れないけれど、第三者として聞いていれば駄々っ子のわがままにしか聞こえないわね。」
真正面からばかり見ていたら見れないこともある。色々な角度からもっとニーナを見るべきだった。私はもう少し早くニーナと向き合うべきだったのだろう。
そしたら少しは変わっていたのかも知れない…。
私はそのまま廊下を進んで教室に向かった。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
アントン・ムーラン視点。
ニーナと付き合い始めてから5ヶ月が経った。始めは僕のことを王子様と言ってくれる姿がとても可愛く、僕自身も王子様に憧れがあったためニーナに王子様と言われるのがとても嬉しかった。男爵家の三男ということもあり今まで見向きもされなかった僕は少し調子に乗ってしまっていたのもあるのかもしれない。
ムーラン家は男爵家であるものの考え方は平民に近い。
商人はお客様がいてこそ成り立つ職業でもある。そして約束は絶対だ。
約束を守れなければ信頼を失うことだと小さい頃から教えられている。
「ニーナ、今日はティアナ・ノヴァ嬢からお茶会の招待状が届いていたはずだ。それに参加することを書いて返信したのだが、もう時間になる。準備しないと…」
このままだとお茶会の時間に遅れてしまうことになるためニーナに準備するように伝える。
「うるさいわね!私に指図しないでよ。私はお姫様なのよ。行くも行かないも自由じゃない。それにあのモブ。私よりイケメンの恋人を連れていたわ。私より目立つなんて本当に許せないんだから。」
付き合い始めてから初めの頃はただの可愛いお姫様に見えていたのだが、いつからか傲慢さが増した様な気がする。
ドレスも買っていいと言ってもいないのにどんどん買って請求書ばかりがうちに届く。
そのせいで僕が父上から怒られる。ただ買った以上払わない訳にいかないからと父は仕方なく支払いをしていた。
ルルー家には父上から何度かニーナが買ったドレスの件で連絡をしていたが、
「そちらの息子と恋人になったのだからそちらが支払うのが当たり前だ。」と連絡が来るのみで取り合ってくれなかった様だ。
外にいる時のニーナは周りに見られているからか少し機嫌がいい。
ただ気づいているのだろうか。
周りの目線は羨望の眼差しではなく迷惑そうな眼差しで見ていることに…
僕はそれに気づいてからニーナと一緒にいるのが不安になった。
そのせいか、髪がどんどん抜けてきて困っている。綺麗に整えていただけにショックが大きい…
誰かに相談できないかと悩んでいた頃、デューク殿下から一通の手紙が届いた。
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