自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう

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二部

ルルー家とニーナ。

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「そろそろ話し合いは終わったかい?」
2人で話を終えてしばらくするとお父様とお母様が応接室に戻ってきた。

「はい、お時間いただきましてありがとうございました。」
デューク様がお父様たちにお礼を言うので私も一緒に頭を下げる。お父様たちは私たちの前に座って、今後のことについて話をすることにした。

まずは婚約についてだ。婚約は一旦保留にしたことを伝えた。お父様がデューク様に「うちの娘のどこがいけないんですか?」といい出しそうだったので、私からもう少し待って欲しいと伝えたことを話した。
これだけではあまり納得していない様子だったけど、ニーナのことを話したら納得してくれたようだ。

「話は大体わかったよ。ティアナ、今まですまなかったね。ニーナの件では辛い思いをさせた。」
ルルー家の件で何度か話そうと思っていたそうだが、私があまりに気にしていないのでどこまで自分たちが行っていいかを考えていたそうだ。
確かに、面倒だな。関わりたくないなとは思っていたけれどそれ以上の感情はなかったように思う。
お茶会などに行くことが少なくなったのは、ニーナと会いたくないと言うのが大きかったけど、正直馬に乗ったり剣術の稽古をしている方が楽しいと思っていたからお茶会に行けないことをそこまで辛いと思ったことはなかったのだ。
そのおかげで婚約者ができなかったのは確かだけれど…デューク様と出会えたわけだし終わりよければすべてよしだ。


「謝らないで下さい。お父様の言う通り、ニーナが付き纏ってくるのは正直面倒だったんですけど、ニーナが何の話しているか、よくわかっていなかったのであまり辛いおもおをした記憶もありません。だとは感じてましたが…。」

デューク様との時も思ったけど、私とお父様たちも話し合いが足りなかったのだろう。そもそも貶されていたとしても言葉がわからないから何を貶されているかもわからないのだ。最近になってやっとの意味がわかったくらいだ。

「そもそも、そんなに傷つけられるようなことされてましたでしょうか?」
私の中で疑問に思っていることを投げかけると、お母様がクスクスと笑い出した。

「ハリー。やっぱりティアナは私たちの子供だわ!周りの言葉に無頓着なところはハリーにそっくりじゃない。」
お父様とお母様は学生時代付き合い始めたが、お父様はガタイが大きく背も高く熊のような見た目をしていたそうだ。お父様の隣にお母様がいるといつも熊を連れた令嬢と揶揄われていたらしい。
でもお父様は熊と言われても、「クマは可愛いじゃないか。こちらが刺激すれば攻撃するかも知れないが比較的穏やかな生き物だよ。それに何かあった時に身体が大きければ、メイシーや家族のことを守れる。」と言って軽くあしらっていたのだとか…

デューク様はお母様の話を聞いて「確かに似たもの親子だ。」と笑っていた。


お父様はゴホンと一度咳払いをしてから従者に例のものを持ってくるよう伝えた。

「さて、話を戻そうか。ルルー家についてだがこちらであらかた調べはついている。」
たくさんの資料をテーブルの上に載せていく従者。
「今まで私たちの周りで起きた迷惑行為だ。揉み消されているものもあったが、もみ消しできていないものも多かった。」
資料をパラパラとめくったいくと、そういえばこんなこともあったなと言う内容がたくさん記載されていた。

「これは写しがあるからね。ティアナが保管しておくといい。それでここからが本題だ。」
お父様が真剣な顔になるので、私たちもゴクリと喉を鳴らした。

「実はな…ルルー家はどこからどう見てもただの子爵家なんだよ。」
私とデューク様は思わずぽかんとした顔をしてしまった。

なんでも揉み消されたことなどがあったから「何か裏があるのではないか。」「どこかの貴族と裏で繋がっているのではないか」と考えていたそうなのだが、全くそんな形跡はなかったらしい。

「ルルー家はなかなか子供ができなくてね。30代過ぎてやっと1人授かることができた。それがニーナだったそうだ。」
そのせいか甘やかして育てたらしい。ただ、日に日にわがままになっていくニーナ。ティアナと出会う前のお茶会でも色々粗相をしていたそうだ。そのせいで出禁になることも多かった。次第に両親もどうしていいかわからなくなっていたみたいだ。
「そんな時に目の前にティアナが現れて、やたらとティアナに執着するそうになったそうだ。」

目の前に私が現れてからは私にばかり執着するので、お茶会で大きな失態は無くなった。そこで両親が思ったのは、『ティアナに任せておけば出禁になることはない』と言うことだった。

「それは、親のくせしてティアナに全てを丸投げしていたと言うことじゃないですか。」
デューク様が代わりに怒ってくれたからか私は少し冷静に話を聞けた。

「揉み消されたのはね、お店とかに迷惑をかけて出禁になりそうなものだけ、お金を渡して揉み消していたみたいだよ。ただ、それも難しくなってきている…子爵家はほとんどの財産がもうないんだ。」
そういってお父様が帳簿を目の前に出してきた。


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