40 / 54
二部
久しぶりの制服。
しおりを挟むアマンダと2人でこれからのことを話したら少しスッキリした。
アマンダは昔から一緒にいてくれるからかお姉様のようでとても相談がしやすい。
昨日で長期休暇も終わり今日からまた制服に袖を通す。
「久しぶりね、真っ黒な制服。」
1ヶ月前は普通に来ていた制服だけれど、どこかいつもと違うように見えるのは恋人ができたからだろうか…
気温上昇期をすぎると急激に気温が下がって行くため、黒いタイツを履く。
鏡で見ると全身黒すぎて思わず笑ってしまった。髪を三つ編みして眼鏡をかけたら完成だ。
化粧が最低限なのもあり、休み中の準備よりはやく終わってしまった。
準備を終えてダイニングルームに行くとお母様とお父様が「おはよう」と声をかけてくれる。
「お父様、お母様おはようございます。」
挨拶をしてから席に着くと、皆で朝食を食べ始めた。
「お父様、お母様。学校が終わったらお二人にご相談したいことがあるんですが、お時間いただいてもよろしいでしょうか?」少しドキドキしながら2人に伝える。今までなかなか口にできなかったからこそ口にするには勇気が必要だった。
お父様とお母様は2人で顔を見合わせてから、
「ティアナから相談なんて珍しいね。勿論構わないよ。私たちもティアナが帰ってくる時間に合わせて執務室にいるようにしよう。」
2人の言葉にホッとする。
「ありがとうございます。では学校から帰ってきましたら執務室にいきますね。」
話しながら朝食を食べているとあっという間に学院へ行く時間になっていた。
お父様たちに挨拶をして学院へ向かう。
1ヶ月お休みだっただけなのにすごく緊張している。久しぶりにクラスの人たちと会うからだろうか。
デューク様に会うのも1週間ぶりくらいかもしれない。
学院につき教室に向かっていると大きな人だかりができていた。
「私の王子様はいつも薔薇の花束をくれるのよ。とても素敵でしょう?それにドレスもたくさんくれるの。あなたたちモブには薔薇の花束をくれる人なんていないでしょうけど!」
朝から見たくないものを見てしまった。みんなは見なかったことにしたいのか一瞬止まるもののそのままその場を去っていく人ばかりだ。そしてなぜニーナは制服ではなくドレスを着ているんだろう…後何だか以前よりもわがまま度が増したようなそんな気がした。
私も便乗してその場を去ろうと踵を返したとき、先生の声がこだました。
「ルルーさん!至急教員室までいらしてください。大至急です。」
「先生方まで私を呼んでくださるなんて、私ってモテるのね。それではモブの皆様さようなら。」
きっと皆同じことを思っただろう。
「「「いや、あなたは今からお説教されるのだと思います。そしてモブとはなんなんだ
…」」」と…
それぞれが何も見なかったことにして歩き出した。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
ニーナ視点。
運動祭で私には1人恋人ができたの。
白馬に乗って颯爽と私の前に現れたアントン様。私は衝撃を受けたわ。
「本物の王子様が迎えにきた。」と…
それから私はアントン様の恋人になった毎日を楽しく過ごしているの。
長期休暇中もほとんど一緒に過ごしたわ。
私のモブがいる領地のお祭りに参加した時は、皆が私たちを見るものだからすごく恥ずかしかったけれど、お姫様は皆に人気だものね。仕方ないわ。
アントン様は毎日必ず薔薇の花束をくれるの。お父様やお母様にはお願いしても、「薔薇なら自分で育てなさい。」
ばかりいわれるんだもの。自分で育てるのと人から貰うのは全然違うし、人から貰うから嬉しいのよね。
アントン様は毎日違う色の花束を持ってきてくれて幸せだわ。
そしてもう一つ嬉しいのはドレスをたくさん送ってくれることね。
ドレス屋さんに行ってドレスを見るといつも一つプレゼントしてくれるの。
流石にこんなに高いものたくさんもらえないと思って始めは断っていたんだけれど、私にこれだか尽くしてくれると思ったら流石に断れなくなったわ。
今の時期なかなか着て行くところがなくて勿体無いから私は思いついたわけ。
「なら、学院にきていけばいいじゃない!」って…いい考えでしょ?
そして私は、マヤに頼んでドレスを着させてもらった。
マヤには
「本当によろしいんですか?学院は制服で行くのが規則ですよ。」と何度も言われた。
でも貴族相手にそこまで怒る教員がいるとは思えず私は「いいのよ!マヤは言う通りにして。」と言ってドレスを着飾った。
学院につくとたくさんの人が私を見てくる。私は見られるのが嬉しくて
「私の王子様はいつも薔薇の花束をくれるのよ。とても素敵でしょう?それにドレスもたくさんくれるの。あなたたちモブには薔薇の花束をくれる人なんていないでしょうけど!」
と大声でアントン様とのことを惚気てしまった。皆私のことを羨ましそうに見てくるからすごく気持ちよかったわ。
まさか教員までも私を呼んでくれるとは思わなかったけれど…
正直ルルー家はそこまでお金持ちではないし、領地経営するのでいっぱいいっぱいなのは私でも知っている。
私にアントン様という恋人ができた時はお父様たちも泣いて喜んでいたくらい、この領地に来てくれる人はなかなかいなかったのだと思う。
お父様たちには毎日言われるわ。
「アントン君を決して手放すんじゃないぞ」って…
当たり前じゃない。私の大好きな王子様だもの。
アマンダは昔から一緒にいてくれるからかお姉様のようでとても相談がしやすい。
昨日で長期休暇も終わり今日からまた制服に袖を通す。
「久しぶりね、真っ黒な制服。」
1ヶ月前は普通に来ていた制服だけれど、どこかいつもと違うように見えるのは恋人ができたからだろうか…
気温上昇期をすぎると急激に気温が下がって行くため、黒いタイツを履く。
鏡で見ると全身黒すぎて思わず笑ってしまった。髪を三つ編みして眼鏡をかけたら完成だ。
化粧が最低限なのもあり、休み中の準備よりはやく終わってしまった。
準備を終えてダイニングルームに行くとお母様とお父様が「おはよう」と声をかけてくれる。
「お父様、お母様おはようございます。」
挨拶をしてから席に着くと、皆で朝食を食べ始めた。
「お父様、お母様。学校が終わったらお二人にご相談したいことがあるんですが、お時間いただいてもよろしいでしょうか?」少しドキドキしながら2人に伝える。今までなかなか口にできなかったからこそ口にするには勇気が必要だった。
お父様とお母様は2人で顔を見合わせてから、
「ティアナから相談なんて珍しいね。勿論構わないよ。私たちもティアナが帰ってくる時間に合わせて執務室にいるようにしよう。」
2人の言葉にホッとする。
「ありがとうございます。では学校から帰ってきましたら執務室にいきますね。」
話しながら朝食を食べているとあっという間に学院へ行く時間になっていた。
お父様たちに挨拶をして学院へ向かう。
1ヶ月お休みだっただけなのにすごく緊張している。久しぶりにクラスの人たちと会うからだろうか。
デューク様に会うのも1週間ぶりくらいかもしれない。
学院につき教室に向かっていると大きな人だかりができていた。
「私の王子様はいつも薔薇の花束をくれるのよ。とても素敵でしょう?それにドレスもたくさんくれるの。あなたたちモブには薔薇の花束をくれる人なんていないでしょうけど!」
朝から見たくないものを見てしまった。みんなは見なかったことにしたいのか一瞬止まるもののそのままその場を去っていく人ばかりだ。そしてなぜニーナは制服ではなくドレスを着ているんだろう…後何だか以前よりもわがまま度が増したようなそんな気がした。
私も便乗してその場を去ろうと踵を返したとき、先生の声がこだました。
「ルルーさん!至急教員室までいらしてください。大至急です。」
「先生方まで私を呼んでくださるなんて、私ってモテるのね。それではモブの皆様さようなら。」
きっと皆同じことを思っただろう。
「「「いや、あなたは今からお説教されるのだと思います。そしてモブとはなんなんだ
…」」」と…
それぞれが何も見なかったことにして歩き出した。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
ニーナ視点。
運動祭で私には1人恋人ができたの。
白馬に乗って颯爽と私の前に現れたアントン様。私は衝撃を受けたわ。
「本物の王子様が迎えにきた。」と…
それから私はアントン様の恋人になった毎日を楽しく過ごしているの。
長期休暇中もほとんど一緒に過ごしたわ。
私のモブがいる領地のお祭りに参加した時は、皆が私たちを見るものだからすごく恥ずかしかったけれど、お姫様は皆に人気だものね。仕方ないわ。
アントン様は毎日必ず薔薇の花束をくれるの。お父様やお母様にはお願いしても、「薔薇なら自分で育てなさい。」
ばかりいわれるんだもの。自分で育てるのと人から貰うのは全然違うし、人から貰うから嬉しいのよね。
アントン様は毎日違う色の花束を持ってきてくれて幸せだわ。
そしてもう一つ嬉しいのはドレスをたくさん送ってくれることね。
ドレス屋さんに行ってドレスを見るといつも一つプレゼントしてくれるの。
流石にこんなに高いものたくさんもらえないと思って始めは断っていたんだけれど、私にこれだか尽くしてくれると思ったら流石に断れなくなったわ。
今の時期なかなか着て行くところがなくて勿体無いから私は思いついたわけ。
「なら、学院にきていけばいいじゃない!」って…いい考えでしょ?
そして私は、マヤに頼んでドレスを着させてもらった。
マヤには
「本当によろしいんですか?学院は制服で行くのが規則ですよ。」と何度も言われた。
でも貴族相手にそこまで怒る教員がいるとは思えず私は「いいのよ!マヤは言う通りにして。」と言ってドレスを着飾った。
学院につくとたくさんの人が私を見てくる。私は見られるのが嬉しくて
「私の王子様はいつも薔薇の花束をくれるのよ。とても素敵でしょう?それにドレスもたくさんくれるの。あなたたちモブには薔薇の花束をくれる人なんていないでしょうけど!」
と大声でアントン様とのことを惚気てしまった。皆私のことを羨ましそうに見てくるからすごく気持ちよかったわ。
まさか教員までも私を呼んでくれるとは思わなかったけれど…
正直ルルー家はそこまでお金持ちではないし、領地経営するのでいっぱいいっぱいなのは私でも知っている。
私にアントン様という恋人ができた時はお父様たちも泣いて喜んでいたくらい、この領地に来てくれる人はなかなかいなかったのだと思う。
お父様たちには毎日言われるわ。
「アントン君を決して手放すんじゃないぞ」って…
当たり前じゃない。私の大好きな王子様だもの。
657
お気に入りに追加
2,202
あなたにおすすめの小説

モブですが、婚約者は私です。
伊月 慧
恋愛
声高々に私の婚約者であられる王子様が婚約破棄を叫ぶ。隣に震える男爵令嬢を抱き寄せて。
婚約破棄されたのは同年代の令嬢をまとめる、アスラーナ。私の親友でもある。そんな彼女が目を丸めるのと同時に、私も目を丸めた。
待ってください。貴方の婚約者はアスラーナではなく、貴方がモブ認定している私です。
新しい風を吹かせてみたくなりました。
なんかよく有りそうな感じの話で申し訳ございません。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!

困りました。縦ロールにさよならしたら、逆ハーになりそうです。《改訂版》
新 星緒
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢アニエス(悪質ストーカー)に転生したと気づいたけれど、心配ないよね。だってフラグ折りまくってハピエンが定番だもの。
趣味の悪い縦ロールはやめて性格改善して、ストーカーしなければ楽勝楽勝!
……って、あれ?
楽勝ではあるけれど、なんだか思っていたのとは違うような。
想定外の逆ハーレムを解消するため、イケメンモブの大公令息リュシアンと協力関係を結んでみた。だけどリュシアンは、「惚れた」と言ったり「からかっただけ」と言ったり、意地悪ばかり。嫌なヤツ!
でも実はリュシアンは訳ありらしく……
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。

転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる