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収穫祭はあまりもの同士回ることになりました。

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辺境伯領に戻ってきてからというものあっという間に時間が経っていく。各々が好きなことをしながら過ごしていてゆっくりできているようでよかった。最近はレナード様とビアンカが楽しそうに話している姿をよくみるようになり、見ているこっちまで胸焼けしそうな勢いだ。
ヘレナもそんな2人を見て早く婚約者に会いたいと言っている。
「そう言えば、ヘレナは婚約者と会わなくていいの?」
「エリオット様の家はすごく厳しくて…結婚するまでは外泊も許してもらえないのよ。法務大臣をしている家系だから仕方ないと思っているんだけど…」
ヘレナの婚約者も侯爵家でこの国の法務を担っている家系だ。そのためか皆真面目な人が多い。
「でも、収穫祭のときはこちらにきてくれると言っていたから、楽しみなの。それまでは叔母様とお買い物を楽しむわ!」私があまり買い物しない分ヘレナがいつもお母様と一緒にお買い物してくれる。

「そういえばティアは収穫祭どうするの?」
ヘレナも、ビアンカも一緒に回る人がいるし、どうしようかと考えていると、頭上から声が聞こえた。
「なら俺と回るか?」
私の頭を軽くポンと叩いてくるのはデューク様だ。確かにこの中でお互い相手がいないのは私とデューク様だ。
「アレク兄様たちと一緒だったのではないですか?」

「アレク達は自分の婚約者を迎えにいくと言っていたぞ。収穫祭が明日からだからな。」
最悪お兄様達と回ればいいかと思っていたけど、お兄様達にも婚約者がいたのをすっかり忘れていた。
「デューク様。もしよければ一緒に回っていただけると助かります。」

「こちらこそ明日は楽しみにしているよ。折角だし気兼ねなく楽しもう。」手を軽く上げて去っていくデューク様。王子様だからだろうか。なんだかんだ一つ一つの動きが様になっていてかっこいい。



収穫祭は長期休暇期間に3日間行わられるこの国の代表的なお祭りだ。そのためこの国だけでなく隣国からの行商人などもやってきてたくさんの賑わいを見せる。
貴族の人たちは避暑地などに行ったりしてることが多いためあまり参加されることはないが、私はこの領地出身のため毎年参加しているお祭りだ。

「お祭り期間中はドレスを着ないで、町娘の装いで歩くのが慣わしなの。スカートは膝より少し下あたりでふわっとしたスカートに、上は白のブラウスにベストね。あと髪はカチューシャなどつけてもいいし、アップにしてもいいわ。最終日は町中でダンスを踊るのよ。それがすごく楽しいの。あともう一つ一大イベントがあってね…」

ビアンカに収穫祭の服装を伝えるついでに収穫祭の楽しみ方を伝える。もう一つの一大イベントはベストカップルを決めるイベントだ。町中をカップルで歩き、それを見た領民達が1番幸せそうなカップルを選ぶ催しになっている。
領民達も色々なカップルを見て幸せな気持ちになったり、これからの領地繁栄を願ってはじめられた催しだそうだ。辺境伯領はこの国の一番端に位置するため今までたくさんの戦に巻き込まれてきた地域だ。特にこの領地はデューク様のアーノルド国以外の国も隣接しあっている。
今でこそ落ち着いているが昔は小競り合いがずっと続いていた。それでも前向きに、幸せに過ごしたいという領民の思いがこのベストカップルイベントだそうだ。
勿論美味しいものを食べたりしても幸せになったりできるけど…

「ビアンカはレナード様とこのお祭りを2人で楽しんできてね。2人がベストカップルに選ばれれば私も嬉しいわ!」
ビアンカは顔を赤くしながら「楽しんでくるわ!ありがとう」下を向きながら言っている姿がとても可愛い。

収穫祭当日、ビアンカとレナード様は腕を組んで街に出かけて行った。どこからどう見ても仲のいいカップルで見ているだけでこちらまでニヤけてしまう。
ヘレナもエリオット様が迎えにきてくれたそうなので2人で出かけて行った。
「カップルでこんなに雰囲気って違うものなのね…」
どちらかというとヘレナとエリオット様は熟年カップルな感じがする。婚約したのが早かったからということあるのだろう。ビアンカとレナード様は初々しい。
「そうだね。アナの父上と母上も腕を組んで仲良く出かけて行ったし、私たちも出かけようか。」
デューク様は私の隣に立ってみんなを一緒に見送ってくれた。今日から3日間はメイド達もお祭りに参加しているため邸には必要最低限の人数しか残っていない。
いつもより静かな屋敷を出てデューク様と町へ向かった。
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