自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう

文字の大きさ
上 下
24 / 54

魚釣り

しおりを挟む
辺境伯領に戻ってきてから私は伸び伸びと毎日を過ごしていた。
昨日はレナード様とデューク様が到着する予定だったので、わたしは美味しいものを食べてもらいたいと魚釣りに来ていた。
魚釣りは海釣り、川釣り両方とも行うがわたし的には海釣りの方が向いていたりする。アイビーに乗って魚釣りの穴場スポットへ向かった。

「アイビー。今日もいい天気ね!きっといい魚が釣れるわ!」アイビーを木にくくりつけ早速魚釣りを始める。
ノヴァ家の領地ないということもあり、わたしを見かけるとみんなが話しかけてくれるので、待っている間も退屈せず待つことができる。

「おじいさん、こんにちわ今日は釣り日和ですね!」

「なんだ。ティアナ様じゃないか。久しぶりだな。帰ってきておったんじゃな!今日は釣り日和じゃのう。」このお爺さんはいつもこの釣り場で一緒に釣りをする釣り仲間だったりする。
「最近はどうですか?釣れます?」
お爺さんは釣竿を動かしながら最近の釣り事情を教えてくれた。なんでも今年は結構な大漁らしい。最近だと鯖、鯵や、タイなどの様々な魚が取れるみたいだ。

「ちなみに今日は鯖が大漁じゃね。」フォッフォッフォと笑いながら釣りを続けるお爺さん。わたしもお爺さんの隣で釣りを始めた。釣りをしながら、お爺さんと最近あった話をする。
学院では楽しく過ごせていることや友人ができたことなどだ。あとは運動祭の話などもした。
「楽しそうでよかったわい。なんじゃったかの。あの自称ヒロインだったかい?あの子はどうなったんじゃ?」

「あの子は王子様が現れたとかでとても浮かれていました。このままわたしの前に現れなきゃいいんですけど…まだ見つかりたくないので頑張って隠れているんですよ!おさげにメガネかけて。」お爺さんはそれを聞いて、古典的な隠れ方じゃな。と笑いながら話を聞いてくれる。

「そう言えば今回は友人も辺境伯寮に遊びにきているんです。なので今度機会があったらこちらに釣れてきますね!」

「ふむ。楽しみにしておるからいつでも連れておいで。」
お爺さんはわたしより早くここにきていたみたいである程度の魚も集まったからか帰って行った。わたしももう少し釣ったら帰ろうと思いながら釣りをしていたらあっという間に昼を過ぎていた。

今日は鯖が大漁に取れたので、夜ご飯は鯖料理にしてもらうようにお願いした。
「魚釣りは中々誘いにくいんだけどデューク先輩とか珍しいこと好きそうだし行くかもしれないな。」次回の釣りは友達を連れてききたいなと思いながら1人悶々と色々考えていた。

次の日になりレナード様とビアンカが遠乗りに出かけて行った。
2人して少し緊張しているようだったけど、帰ってきた2人の雰囲気を見ているとうまくいったみたいでよかった。
きっと収穫祭も2人でいきそうな気がするし折角くっついた2人だ。2人で話したいこともあるだろうと思って1番暇してそうなデューク先輩に声をかけてみることにした。

「デューク先輩。暇ですか?もしよかったら明日釣りにでもいきません?穴場スポットがあるんですよ!」

「俺も暇だったし、一緒に行こうかな。何ならレナードとビアンカも誘ってみよう。ヘレナは部屋でゆっくりするって言っていたしさ。」2人を誘ってみると釣りはしたことがないからやってみたいとのことだった。みんなそれぞれ馬に乗れるので、明日は馬で行くことになった。

次の日みんなそれぞれ動きやすい服装で愛馬をつれて外に集まっていた。4人での移動なので結構な大所帯だ。私たちはそれぞれ馬に乗り、ゆっくり進む。
「アナ。今は何の魚が釣れるんだい?」

「そうですね。釣り仲間のお爺さんの話だと…鯵やサバ、鯛などが取れるみたいですよ。ちなみにこの間夕食で出た鯖はわたしが釣ってきた魚です。」そう伝えるとみんなびっくりしていた。1尾くらいしか捕まえていないだろうと思っていたそうだ。

みんなでゆっくり進んでいくと穴場スポットに到着した。この辺に馬をつないでおいてくださいと伝えるとそれぞれ繋いでからスポットにむかうとすでにお爺さんが魚を釣っていた。

「おじいさぁーん!!」遠くで手を振りながらお爺さんに声をかけるとお爺さんも気づいたのか手を振りかえしてくれた。

「あのお爺さんは私の釣り友達なので仲良くしてください」と先輩、ビアンカに伝えるとうなずいてくれた。
ただ1人を除いて…レナード様が目を凝らしてお爺さんを見ていた。
そしてレナード様が衝撃の一言を放ったのだ。

「あれ!?お祖父様??なぜここにいらっしゃるのですか?」

「「「え?えええ???」」」

「おお、レナードも来てたのかい。久しぶりじゃなぁ。」フォッフォッフォと笑うおじいさんを見てまさかレナード様のお祖父様だとは気づきもしなかった。
何でもお爺さんは陛下を引退したからこの領地にお忍びでよく来ているらしい。勿論お父様たちは知っているのだとか…
お爺さんにはニーナの話をしていたし、ニーナの話を陛下も知っているような感じだったのでなんでだろうと思っていたが、まさかこんなところで繋がっていたなんて気づきもしなかった。

「お爺さんはレナード様のお祖父様でいらしたんですね?かしこまったほうがいいですか…?」
今まで馴れ馴れしい態度をとっていたことを思い出し、急いで態度を改める。
「よいよい。私も隠しておったのだ。今まで通り魚釣り友達として仲良くしてほしいのぅ。」顎髭を触りながら笑っているお爺さんに私も笑顔で「ありがとう」と返した。

そのあとはみんなで魚釣りをしながら色々話をして楽しんだ。レナード様は久しぶりにお爺さんに会えたからかいつもよりも口数多く楽しそうに話していて、それを見つめるビアンカもとても楽しそうだった。





しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

モブですが、婚約者は私です。

伊月 慧
恋愛
 声高々に私の婚約者であられる王子様が婚約破棄を叫ぶ。隣に震える男爵令嬢を抱き寄せて。  婚約破棄されたのは同年代の令嬢をまとめる、アスラーナ。私の親友でもある。そんな彼女が目を丸めるのと同時に、私も目を丸めた。  待ってください。貴方の婚約者はアスラーナではなく、貴方がモブ認定している私です。 新しい風を吹かせてみたくなりました。 なんかよく有りそうな感じの話で申し訳ございません。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

……モブ令嬢なのでお気になさらず

monaca
恋愛
……。 ……えっ、わたくし? ただのモブ令嬢です。

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

困りました。縦ロールにさよならしたら、逆ハーになりそうです。《改訂版》

新 星緒
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢アニエス(悪質ストーカー)に転生したと気づいたけれど、心配ないよね。だってフラグ折りまくってハピエンが定番だもの。 趣味の悪い縦ロールはやめて性格改善して、ストーカーしなければ楽勝楽勝! ……って、あれ? 楽勝ではあるけれど、なんだか思っていたのとは違うような。 想定外の逆ハーレムを解消するため、イケメンモブの大公令息リュシアンと協力関係を結んでみた。だけどリュシアンは、「惚れた」と言ったり「からかっただけ」と言ったり、意地悪ばかり。嫌なヤツ! でも実はリュシアンは訳ありらしく……

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

処理中です...