上 下
21 / 54

ノヴァ辺境伯領。

しおりを挟む
長期休暇に入り、辺境伯領に戻ってきていた。今回は王都から、ビアンカとヘレナが一緒に来ている。お母様やお父様達は予定があるそうで別々で来ることになった。
辺境伯領はこの国の北側に位置し、気温上昇期は1番涼しい領地だ。ちなみに気温下降期は1番寒い地域になるため雪が降る。雪が降ったら降ったでスキーなどができるため季節ごとに色々楽しめる、自慢の領地だ。

「ビアンカはノヴァ領地に来るのはじめて?」ヘレナがビアンカに訊ねると、

「そうね…。なかなか他の領地に行くことがなかったから…」
確かに領地がある貴族は自領に戻ることがほとんどだ。私も他領にいったことはない。行くとしても王都くらいだ。

「だったら見たらびっくりするわね。すごくいいところなのよ!」ヘレナも自領は別のところにあるというのに、なぜかいつもうちの領地に来ている。
「ヘレナもたまには自分の領地に行けばいいのに。」

「いいのよ。弟がいるし、それにお義母様とあまり合わないの…」
ヘレナの家は少し複雑だ。ヘレナのお母様はヘレナを産んだ直後に亡くなっている。そして新しく後妻としてきたのが今の母親だ。後妻とヘレナの関係はあまりよくない。ヘレナのお母様が亡くなってからはほとんど長期休暇中、辺境伯領にきていることがほとんどだ。弟とは仲良くしているようだからよかった。

「ヘレナも色々あるのね。そういえば婚約者とはどうなの?」

ビアンカが婚約者の話を聞いてみるとヘレナは赤くなりながら、
「仲良くしているわ!学年が一つ上だからお昼休憩しか一緒にいれないけれどすごく優しいの。」同じクラスとかだったら確かにずっと一緒にいれるけどお昼休憩中くらいだけ一緒にいれる方がいい気もする。
「良いわね!ヘレナの話聞いてるとすぐお腹いっぱいになっちゃうわ!」ビアンカがくすくす笑いながらヘレナを揶揄っている。
「そういうビアンカはレナード様とどうなの?」

「それ!私も聞きたい。レナード様って第二王子でしょ?いつ仲良くなったよ。」
ヘレナは私たちがレナード様、デューク様が、いつ仲良くなったか知らなかったらしい。確かにいつも会う時は美術室だったし、ヘレナはあえて学院では私に近寄らないようにしてくれていた。
ヘレナに2人に出会った時のことを話す。
「へぇ。そんなことがあったのね。それで、レナード様とビアンカは今どんな感じなの?」
ヘレナは私たちの話を聞きながらビアンカにどんな感じなのか聞いていた。女子同士で恋愛話できると思っていなかったのですごく楽しい。

「わ、わわわたくしは…まだそこまで進展していないだけれど、レナード様から手紙が来たりすると最近すごく嬉しくなるの。学院でも見かけたりするとドキドキしたり。もしかして何かの病気かしら?」

真剣に病気か聞いてくるビアンカを見て私は思わずヘレナと顔を見合わせてしまった。

「ビアンカ。それはある今病気だわ!でも治せるのは医院の先生ではなくてレナード様ね。今度レナード様に相談してみて?きっと病名がわかるはずよ。」ヘレナがビアンカの手を取って優しくビアンカに伝える。

「わかったわ。レナード様がこちらにいらした時話して見る。」きっとビアンカから相談されたらレナード様も顔を真っ赤にすること間違いない。
2人の恋の物語をこんな特等席で見れるなんて自分が恋しているみたいでドキドキしてしまう。

「そ、そういえばデューク様とアナはどうなの?」
まさか自分が振られるなんて思っていなかった。

「えっ?私?デューク様とは先輩と後輩かしら。それ以外は特に何も無いわ!」
はっきり言うと2人は大きなため息をつく。
「えっ?なんで大きなため息つくの?私何か言ったかしら…」
聞かれたから関係について話しただけなのに…

2人が小さい声で
「この2人の恋は進展するのに時間がかかりそうね。」
「アナは人の気持ちに疎そうだもの…」
と話しいるとは思っても見なかった。

⟡.·*.··············································⟡.·*.

デューク視点。

「レナード。そう言えばビアンカとはどうなんだ?」

ビアンカもレナードのことが気になっているのは周りから見てもわかるくらいになっていた。

「いや、まだ何も伝えられていない。」
やっぱりか。レナードはかなり奥手だしなかなか進まないのはわかっていた。
「取り敢えず今回アナの実家に行くだろう。その時に告白しようと思っている…」

本当に告白できるのかと心配になってしまうが、なかなか進展のない2人を見ているとこちらまでヤキモキしてしまう。

「アナに遠乗りのおすすめスポットとかあったら聞いて見るのもありかもな。取り敢えず頑張れよ。応援しているから…」
レナードの肩を叩きながら、話すとレナードも耳を赤くして頷いていた。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

モブですが、婚約者は私です。

伊月 慧
恋愛
 声高々に私の婚約者であられる王子様が婚約破棄を叫ぶ。隣に震える男爵令嬢を抱き寄せて。  婚約破棄されたのは同年代の令嬢をまとめる、アスラーナ。私の親友でもある。そんな彼女が目を丸めるのと同時に、私も目を丸めた。  待ってください。貴方の婚約者はアスラーナではなく、貴方がモブ認定している私です。 新しい風を吹かせてみたくなりました。 なんかよく有りそうな感じの話で申し訳ございません。

……モブ令嬢なのでお気になさらず

monaca
恋愛
……。 ……えっ、わたくし? ただのモブ令嬢です。

モブとか知らないし婚約破棄も知らない

monaca
恋愛
病弱だったわたしは生まれかわりました。 モブ? わかりませんが、この婚約はお受けいたします。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! ★恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 日間総合ランキング2位に入りました!

【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい

三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。 そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど
恋愛
『私は恋に生きるから、探さないでそっとしておいてほしい』 という置き手紙を残して、駆け落ちした姉のクラリス。 それにより、主人公のレイチェルは姉の婚約者────“悪辣公爵”と呼ばれるヘレスと結婚することに。 そうして、始まった新婚生活はやはり前途多難で……。 まず、夫が会いに来ない。 次に、使用人が仕事をしてくれない。 なので、レイチェル自ら家事などをしないといけず……とても大変。 でも────自由気ままに一人で過ごせる生活は、案外悪くなく……? そんな時、夫が現れて使用人達の職務放棄を知る。 すると、まさかの大激怒!? あっという間に使用人達を懲らしめ、それからはレイチェルとの時間も持つように。 ────もっと残忍で冷酷な方かと思ったけど、結構優しいわね。 と夫を見直すようになった頃、姉が帰ってきて……? 善意の押し付けとでも言うべきか、「あんな男とは、離婚しなさい!」と迫ってきた。 ────いやいや!こっちは幸せに暮らしているので、放っておいてください! ◆小説家になろう様でも、公開中◆

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

処理中です...