自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう

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ノヴァ辺境伯領。

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長期休暇に入り、辺境伯領に戻ってきていた。今回は王都から、ビアンカとヘレナが一緒に来ている。お母様やお父様達は予定があるそうで別々で来ることになった。
辺境伯領はこの国の北側に位置し、気温上昇期は1番涼しい領地だ。ちなみに気温下降期は1番寒い地域になるため雪が降る。雪が降ったら降ったでスキーなどができるため季節ごとに色々楽しめる、自慢の領地だ。

「ビアンカはノヴァ領地に来るのはじめて?」ヘレナがビアンカに訊ねると、

「そうね…。なかなか他の領地に行くことがなかったから…」
確かに領地がある貴族は自領に戻ることがほとんどだ。私も他領にいったことはない。行くとしても王都くらいだ。

「だったら見たらびっくりするわね。すごくいいところなのよ!」ヘレナも自領は別のところにあるというのに、なぜかいつもうちの領地に来ている。
「ヘレナもたまには自分の領地に行けばいいのに。」

「いいのよ。弟がいるし、それにお義母様とあまり合わないの…」
ヘレナの家は少し複雑だ。ヘレナのお母様はヘレナを産んだ直後に亡くなっている。そして新しく後妻としてきたのが今の母親だ。後妻とヘレナの関係はあまりよくない。ヘレナのお母様が亡くなってからはほとんど長期休暇中、辺境伯領にきていることがほとんどだ。弟とは仲良くしているようだからよかった。

「ヘレナも色々あるのね。そういえば婚約者とはどうなの?」

ビアンカが婚約者の話を聞いてみるとヘレナは赤くなりながら、
「仲良くしているわ!学年が一つ上だからお昼休憩しか一緒にいれないけれどすごく優しいの。」同じクラスとかだったら確かにずっと一緒にいれるけどお昼休憩中くらいだけ一緒にいれる方がいい気もする。
「良いわね!ヘレナの話聞いてるとすぐお腹いっぱいになっちゃうわ!」ビアンカがくすくす笑いながらヘレナを揶揄っている。
「そういうビアンカはレナード様とどうなの?」

「それ!私も聞きたい。レナード様って第二王子でしょ?いつ仲良くなったよ。」
ヘレナは私たちがレナード様、デューク様が、いつ仲良くなったか知らなかったらしい。確かにいつも会う時は美術室だったし、ヘレナはあえて学院では私に近寄らないようにしてくれていた。
ヘレナに2人に出会った時のことを話す。
「へぇ。そんなことがあったのね。それで、レナード様とビアンカは今どんな感じなの?」
ヘレナは私たちの話を聞きながらビアンカにどんな感じなのか聞いていた。女子同士で恋愛話できると思っていなかったのですごく楽しい。

「わ、わわわたくしは…まだそこまで進展していないだけれど、レナード様から手紙が来たりすると最近すごく嬉しくなるの。学院でも見かけたりするとドキドキしたり。もしかして何かの病気かしら?」

真剣に病気か聞いてくるビアンカを見て私は思わずヘレナと顔を見合わせてしまった。

「ビアンカ。それはある今病気だわ!でも治せるのは医院の先生ではなくてレナード様ね。今度レナード様に相談してみて?きっと病名がわかるはずよ。」ヘレナがビアンカの手を取って優しくビアンカに伝える。

「わかったわ。レナード様がこちらにいらした時話して見る。」きっとビアンカから相談されたらレナード様も顔を真っ赤にすること間違いない。
2人の恋の物語をこんな特等席で見れるなんて自分が恋しているみたいでドキドキしてしまう。

「そ、そういえばデューク様とアナはどうなの?」
まさか自分が振られるなんて思っていなかった。

「えっ?私?デューク様とは先輩と後輩かしら。それ以外は特に何も無いわ!」
はっきり言うと2人は大きなため息をつく。
「えっ?なんで大きなため息つくの?私何か言ったかしら…」
聞かれたから関係について話しただけなのに…

2人が小さい声で
「この2人の恋は進展するのに時間がかかりそうね。」
「アナは人の気持ちに疎そうだもの…」
と話しいるとは思っても見なかった。

⟡.·*.··············································⟡.·*.

デューク視点。

「レナード。そう言えばビアンカとはどうなんだ?」

ビアンカもレナードのことが気になっているのは周りから見てもわかるくらいになっていた。

「いや、まだ何も伝えられていない。」
やっぱりか。レナードはかなり奥手だしなかなか進まないのはわかっていた。
「取り敢えず今回アナの実家に行くだろう。その時に告白しようと思っている…」

本当に告白できるのかと心配になってしまうが、なかなか進展のない2人を見ているとこちらまでヤキモキしてしまう。

「アナに遠乗りのおすすめスポットとかあったら聞いて見るのもありかもな。取り敢えず頑張れよ。応援しているから…」
レナードの肩を叩きながら、話すとレナードも耳を赤くして頷いていた。
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