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運動祭閉幕。
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会場の外に出ると、デューク先輩が待っていた。
「デューク先輩!助言ありがとうございました。無事勝てました!」
「ルネ。伝えた通りに動けるのは流石だな。本当にかっこよかったよ。ルネの動きが、すごい誰かに似てたんだよね。誰に似てたんだろう。」
わたしの頭を撫でながらデューク先輩が話していると横から
「それはおそらく私の妹じゃないですかね。お久しぶりですね、デューク殿下。」
声が聞こえた方を向いてみると、お祖父様とお父様たちがこちらに歩いてきた。
「ここでお話ししたいのは山々なんですがどこであの娘が見ているかわかりません。また時間を見つけてお話ししましょう。」
そう言ってお祖父様たちは帰っていった。せっかく男装してここまで気づかれていないんだし、今ニーナに気づかれるのは困る。お父様たちもそれを察してくれたんだろう。
「デューク先輩。お祖父様とお知り合いだったんですね。」
「あぁ、君のお祖父様とミュラトール元侯爵夫人が俺の母方のお祖母様と兄妹だったんだ!だから動きが似ていたんだね。」デューク先輩は思い出してスッキリしたようだ。「なんで名前を聞いて気づかなかったんだろう」とぶつぶつ言っていたけどあえて聞かなかったことにした。
「そうなんですね!だから少しお兄様たちに似ているなと思ったんですかね。」
「かもしれないな…取り敢えず近々ルネの家に行きたいと思うんだが良いだろうか?」お祖父様たちも話たいと言っていたし、来るのは全然良いということだろう。私は頷き、「お祖父様たちに都合のいい日にちをきいておきます。」と伝えてこの話は終わった。
デューク先輩と色々話しているとビアンカと共にレナード先輩が来た。
なぜかレナード先輩に睨まれている気がするけどあえて目を逸らして合わせない様にしている。
おそらく先ほどビアンカに抱きついたことを言いたいんだろう。
必死に逸らしているのに無理にでも目を合わせようとしてくるものだから、すごく怖かった。
「レ、レナード先輩。なんですか?僕の顔に何かついてますか?」必死に話を逸らす。
「いや、相変わらず綺麗な顔だと思うよ。」
綺麗って…まさかレナード先輩にそんなこと言われるなんて。
「なら、離れて下さいよ。レナード先輩も顔が整っていて綺麗なんですから。目に毒です…」レナード先輩の体を軽く押しながら離れてもらう様に促す。
私たち2人のやりとりを見ながらビアンカが笑って「2人ともお似合いですわ!」と返すものだから余計に被害が広がっている。
「ビアンカ、私はレナード先輩とビアンカの方が似合っていると思うわ。」デューク先輩を見て助けを求める。デューク先輩は笑っているだけで全然助けてくれなかった。
「取り敢えず、もう閉会式の時間だし戻ろう。」デューク先輩の一言でみんな歩き始めた。
そういえば玉入れとか騎馬戦はなかったけど出なくてよかったのだろうか。
「あの2種目は競技に出なかった人は強制参加だけど競技に出てた人は自由参加みたいよ。まぁ、もう終わっていると思うけれど。」ビアンカが小さい声で教えてくれた。
閉会式場に着くとそれぞれのクラスごとに並ぶ様なのでここで先輩たちとは別れた。ビアンカと一緒にクラスの人たちがいる場所を探していると赤毛のニーナが目に入る。ニーナはどうやら先ほどの馬術で意気投合していたムーラン君と仲良くしているようだ。
おかげでいつもより静かな感じがする。このままムーラン君と婚約でもしてくれればいいのだけど。そしたらこっちに目を向けなくなるのではないかと信じたい…
2人の姿を横目に見ながら、平和だなと思っていると
『これより、運動祭閉会式を行います。』と放送が流れた。
舞台にはこの国の陛下と、王妃、そして王太子殿下が座っていた。
閉会式は陛下のお言葉からスタートして、その後結果発表という流れで進む。
『続きまして、結果発表に入ります。』今日あった競技の3位までの人たちと学年で一位だったクラスが呼ばれた。もちろん私は剣術、馬術の部門で呼ばれたため壇上に上がる。ビアンカも優勝はできなかったものの3位だったので、壇上に上がってきた。
そして、クラス順位もなんと1位だったらしく、ポーター君が代表で上がってくる。うちのクラスはアーチェリーなどでもいい成績を残したようで、全体的に運動が得意な人がクラスに集まっていたようだった。
一人一人陛下からお言葉を頂戴し、手渡しで褒賞をもらっていく。
私も陛下から「よく男性に混じって頑張ったね。さすがだ。」とお声をいただいた。なんで私が男装しているって知っていたのか少し不思議だったけれど「ありがとうございます。」と一言だけお伝えした。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
デューク視点
ビアンカとアナが壇上に上がるのを見ていると、隣から「僕たちも名前呼ばれたぞ」と言われた。そういえば初めの方に終わっていたから出たことすら忘れていたけど剣技に項目に出ていたんだった。
「俺が優勝で君の剣技が準優勝だったみたいだぞ。」点数などの発表もなかったので全く実感がなかった。
取り敢えず急いで壇上へ上ると、アナと目があった。アナが笑顔で拍手してくれたのを見て、今までの中で1番嬉しい気持ちになった。
「デューク先輩!助言ありがとうございました。無事勝てました!」
「ルネ。伝えた通りに動けるのは流石だな。本当にかっこよかったよ。ルネの動きが、すごい誰かに似てたんだよね。誰に似てたんだろう。」
わたしの頭を撫でながらデューク先輩が話していると横から
「それはおそらく私の妹じゃないですかね。お久しぶりですね、デューク殿下。」
声が聞こえた方を向いてみると、お祖父様とお父様たちがこちらに歩いてきた。
「ここでお話ししたいのは山々なんですがどこであの娘が見ているかわかりません。また時間を見つけてお話ししましょう。」
そう言ってお祖父様たちは帰っていった。せっかく男装してここまで気づかれていないんだし、今ニーナに気づかれるのは困る。お父様たちもそれを察してくれたんだろう。
「デューク先輩。お祖父様とお知り合いだったんですね。」
「あぁ、君のお祖父様とミュラトール元侯爵夫人が俺の母方のお祖母様と兄妹だったんだ!だから動きが似ていたんだね。」デューク先輩は思い出してスッキリしたようだ。「なんで名前を聞いて気づかなかったんだろう」とぶつぶつ言っていたけどあえて聞かなかったことにした。
「そうなんですね!だから少しお兄様たちに似ているなと思ったんですかね。」
「かもしれないな…取り敢えず近々ルネの家に行きたいと思うんだが良いだろうか?」お祖父様たちも話たいと言っていたし、来るのは全然良いということだろう。私は頷き、「お祖父様たちに都合のいい日にちをきいておきます。」と伝えてこの話は終わった。
デューク先輩と色々話しているとビアンカと共にレナード先輩が来た。
なぜかレナード先輩に睨まれている気がするけどあえて目を逸らして合わせない様にしている。
おそらく先ほどビアンカに抱きついたことを言いたいんだろう。
必死に逸らしているのに無理にでも目を合わせようとしてくるものだから、すごく怖かった。
「レ、レナード先輩。なんですか?僕の顔に何かついてますか?」必死に話を逸らす。
「いや、相変わらず綺麗な顔だと思うよ。」
綺麗って…まさかレナード先輩にそんなこと言われるなんて。
「なら、離れて下さいよ。レナード先輩も顔が整っていて綺麗なんですから。目に毒です…」レナード先輩の体を軽く押しながら離れてもらう様に促す。
私たち2人のやりとりを見ながらビアンカが笑って「2人ともお似合いですわ!」と返すものだから余計に被害が広がっている。
「ビアンカ、私はレナード先輩とビアンカの方が似合っていると思うわ。」デューク先輩を見て助けを求める。デューク先輩は笑っているだけで全然助けてくれなかった。
「取り敢えず、もう閉会式の時間だし戻ろう。」デューク先輩の一言でみんな歩き始めた。
そういえば玉入れとか騎馬戦はなかったけど出なくてよかったのだろうか。
「あの2種目は競技に出なかった人は強制参加だけど競技に出てた人は自由参加みたいよ。まぁ、もう終わっていると思うけれど。」ビアンカが小さい声で教えてくれた。
閉会式場に着くとそれぞれのクラスごとに並ぶ様なのでここで先輩たちとは別れた。ビアンカと一緒にクラスの人たちがいる場所を探していると赤毛のニーナが目に入る。ニーナはどうやら先ほどの馬術で意気投合していたムーラン君と仲良くしているようだ。
おかげでいつもより静かな感じがする。このままムーラン君と婚約でもしてくれればいいのだけど。そしたらこっちに目を向けなくなるのではないかと信じたい…
2人の姿を横目に見ながら、平和だなと思っていると
『これより、運動祭閉会式を行います。』と放送が流れた。
舞台にはこの国の陛下と、王妃、そして王太子殿下が座っていた。
閉会式は陛下のお言葉からスタートして、その後結果発表という流れで進む。
『続きまして、結果発表に入ります。』今日あった競技の3位までの人たちと学年で一位だったクラスが呼ばれた。もちろん私は剣術、馬術の部門で呼ばれたため壇上に上がる。ビアンカも優勝はできなかったものの3位だったので、壇上に上がってきた。
そして、クラス順位もなんと1位だったらしく、ポーター君が代表で上がってくる。うちのクラスはアーチェリーなどでもいい成績を残したようで、全体的に運動が得意な人がクラスに集まっていたようだった。
一人一人陛下からお言葉を頂戴し、手渡しで褒賞をもらっていく。
私も陛下から「よく男性に混じって頑張ったね。さすがだ。」とお声をいただいた。なんで私が男装しているって知っていたのか少し不思議だったけれど「ありがとうございます。」と一言だけお伝えした。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
デューク視点
ビアンカとアナが壇上に上がるのを見ていると、隣から「僕たちも名前呼ばれたぞ」と言われた。そういえば初めの方に終わっていたから出たことすら忘れていたけど剣技に項目に出ていたんだった。
「俺が優勝で君の剣技が準優勝だったみたいだぞ。」点数などの発表もなかったので全く実感がなかった。
取り敢えず急いで壇上へ上ると、アナと目があった。アナが笑顔で拍手してくれたのを見て、今までの中で1番嬉しい気持ちになった。
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