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運動祭開幕。
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朝学院につきクラスに行くと、私のことを見て皆が驚いていた。
「ノヴァさんか。おはよう!誰かと思ったよ。」ポーター君が声をかけてきたことでフリーズしていた人たちが皆動き出す。皆「おはよう」と挨拶をしてくれたので私も「おはようございます!」と返した。合わせて今日の私の名前は「ルネ・アズーロ」だと言うことを伝えると、皆すぐ理解してくれたようだ。そして今日も朝イチ自称ヒロインはクラスにやってくる。
大きな音を立てて扉を開け、
「私のモブはいませんかー???」
と言っている。そろそろその言葉に飽きないのだろうか。
クラスの誰かが
「いーませーんよー。」と返す。そして今日は強者が1人いた!
「ルルーさんだっけ。そもそもモブさんって誰のことなの?」1人の女子生徒がついにニーナに声をかけた。おそらくずっと誰のこと言ってるのか気になっていたんだろうな…
女子生徒の声を聞いてクラスの全員の声が一瞬静まった。
「やだぁ。おんなのしっとぉ?怖いわぁ。」
「「「え?」」」
みんな空いた口が塞がらない。かく言う私もだ。そして心の中で皆が思ったことだろう「いえ、誰も嫉妬なんてしていません。」と…
「いえ、誰もあなたに嫉妬なんてしてません。むしろ興味もありません。ただうちのクラスにモブさんなんて名前の人いないので誰のことなのかなと思っただけです。」
クラスの子の方が強かった…確か名前はカーラ・ロベールさんだったはず。私は仲良くなれそうだなと思いながら2人のやりとりを見守る。
「えぇ、その言葉が嫉妬してるって言ってるのよぉ。私はヒロインなのよ。きっと王子様が助けてくれるわ!」そう言ってチラチラとポーター君のことを見るニーナ。そしてポーター君はあえてニーナと目を合わせないようにしているのか聞こえないフリをしていた…
「…と、と取り敢えずあなたのモブはいないわ!王子様も忙しそうだから出直してきた方がいいとおもうわ。」
ロベールさんも話が通じないと思ったのか、諦めてモブがいないことを伝えていた。
ニーナ諦めたのか教室から去っていく。
「ねぇ、いつも思ってたけどモブってなに?」ビアンカもモブがなんなのかわからなかったらしい。
「私も初めは気づかなかったんだけど最近やっとなんとなくわかってきたの。当たっているかわからないけど影が薄いとか、ヒロイン?本の主人公にはなれない端役のようなことを言っているんだと思う。私は主人公にならなくていいと思っているから放置してるんだけど、、やたらとモブの近くにいたがるのよね。」
きっとモブの近くにいることで自分が光り輝くとでも思っているんじゃないだろうか。まぁ、どうでもいいんだけれど…
「なるほどね。周りに影の薄い人がいることで自分が光り輝くと思っている時点でそのヒロインにはなれないわね。やっぱり主人公は自分の手で輝かないと…」
ビアンカの一言はご尤もだ。自分で輝かないとなんの意味もないと思う。それにニーナが気づくのは果たしていつなのか。気づかないのか…謎のままだ。
「まぁ、取り敢えず今日の主役はルネが掻っ攫っちゃいなさい。クラス皆で応援しているわ!」ウインクして言うビアンカ。周りを見渡すとクラスの皆がこちらを向いて笑顔で頷いている。私は皆に見送られながら会場へ向かった。
会場につくとまずは個人別競技から行われるようだった。
私は馬術と剣術に参加するため時間を確認していく。
学年が3学年まであり、1学年4クラス20名のクラスに分かれている。ちなみに学年ごとで少しずつ種目が変わるらしい。順位もクラス別と個別で出るようになっている。馬術、剣術共に出るのはクラス5人ずつ計20人で競うこととなる。
馬術は障害物を倒したら倒した分だけゴールした秒数にプラスになり、その合計が少ない人が勝ちとなっている。2人ずつ競っていき、トーナメントで勝ち進んでいく感じだ。
剣術はそのまま、相手が気絶もしくは降参したら勝ちとなる。
午前中は予選が行われるので、まずは馬術の会場へ向かった。
歩いていると女の子達がしきりにこちらを向いてくる。もしかしたら女性とバレてしまったのではないか…と思ったけどそう言う雰囲気ではないようだったので安心した。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
デューク視点。
3年の出番にはまだまだ時間があったこともあり、俺はレナードと一緒に会場を見て回っていた。
「デューク。なんか、馬術会場が騒がしくないか。」
確かに、少し騒がしい感じがする。そしてやたらと女子の声援が多いような…
「今は一年の馬術の時間か。ちょっと行ってみるか?」2人で近づいていくといつもおさげの子と一緒にいる女の子と、ものすごく顔の整った男の子が仲良さそうに話していた。
恐らく男の子の方が今競技を終えたばかりなのだろう。馬から降りる瞬間の声援がすごい。そして女子達の方に振り返りニコリと笑ってお辞儀をした。
俺はどこかで見たことある顔だなと思いながらレナードに話しかけようとするとレナードは少しムッとした顔をしながら顔の整った男の子を睨みつけていた。
「おい。レナード!あの男の子の方どこかで見たことないか?」
「いや、俺は見たことないね。」なんでこんなに怒っているのかわからないけど「なんであんな奴があの子の近くにいるんだよ」とぶつぶつ言っている声が聞こえる。
あぁ、もしかしてあの女の子のことが前から少し気になっていて男の子が隣にいることにヤキモチ妬いているのか…
「落ち着け。ただのクラスメイトかもしれないだろう。話したこともないんだからまずは話しかけるところから始めないと。」
レナードに伝えるとレナードもハッとしたのか顔を赤くしながら「俺は落ち着いている。そろそろ出番だし会場に戻ろう」
踵を返して元の道を戻り出したので俺も後を追った。それにしてもあの髪色、目の色どこかで見たことあるんだよな。少し思い出せないことがモヤモヤした。
「ノヴァさんか。おはよう!誰かと思ったよ。」ポーター君が声をかけてきたことでフリーズしていた人たちが皆動き出す。皆「おはよう」と挨拶をしてくれたので私も「おはようございます!」と返した。合わせて今日の私の名前は「ルネ・アズーロ」だと言うことを伝えると、皆すぐ理解してくれたようだ。そして今日も朝イチ自称ヒロインはクラスにやってくる。
大きな音を立てて扉を開け、
「私のモブはいませんかー???」
と言っている。そろそろその言葉に飽きないのだろうか。
クラスの誰かが
「いーませーんよー。」と返す。そして今日は強者が1人いた!
「ルルーさんだっけ。そもそもモブさんって誰のことなの?」1人の女子生徒がついにニーナに声をかけた。おそらくずっと誰のこと言ってるのか気になっていたんだろうな…
女子生徒の声を聞いてクラスの全員の声が一瞬静まった。
「やだぁ。おんなのしっとぉ?怖いわぁ。」
「「「え?」」」
みんな空いた口が塞がらない。かく言う私もだ。そして心の中で皆が思ったことだろう「いえ、誰も嫉妬なんてしていません。」と…
「いえ、誰もあなたに嫉妬なんてしてません。むしろ興味もありません。ただうちのクラスにモブさんなんて名前の人いないので誰のことなのかなと思っただけです。」
クラスの子の方が強かった…確か名前はカーラ・ロベールさんだったはず。私は仲良くなれそうだなと思いながら2人のやりとりを見守る。
「えぇ、その言葉が嫉妬してるって言ってるのよぉ。私はヒロインなのよ。きっと王子様が助けてくれるわ!」そう言ってチラチラとポーター君のことを見るニーナ。そしてポーター君はあえてニーナと目を合わせないようにしているのか聞こえないフリをしていた…
「…と、と取り敢えずあなたのモブはいないわ!王子様も忙しそうだから出直してきた方がいいとおもうわ。」
ロベールさんも話が通じないと思ったのか、諦めてモブがいないことを伝えていた。
ニーナ諦めたのか教室から去っていく。
「ねぇ、いつも思ってたけどモブってなに?」ビアンカもモブがなんなのかわからなかったらしい。
「私も初めは気づかなかったんだけど最近やっとなんとなくわかってきたの。当たっているかわからないけど影が薄いとか、ヒロイン?本の主人公にはなれない端役のようなことを言っているんだと思う。私は主人公にならなくていいと思っているから放置してるんだけど、、やたらとモブの近くにいたがるのよね。」
きっとモブの近くにいることで自分が光り輝くとでも思っているんじゃないだろうか。まぁ、どうでもいいんだけれど…
「なるほどね。周りに影の薄い人がいることで自分が光り輝くと思っている時点でそのヒロインにはなれないわね。やっぱり主人公は自分の手で輝かないと…」
ビアンカの一言はご尤もだ。自分で輝かないとなんの意味もないと思う。それにニーナが気づくのは果たしていつなのか。気づかないのか…謎のままだ。
「まぁ、取り敢えず今日の主役はルネが掻っ攫っちゃいなさい。クラス皆で応援しているわ!」ウインクして言うビアンカ。周りを見渡すとクラスの皆がこちらを向いて笑顔で頷いている。私は皆に見送られながら会場へ向かった。
会場につくとまずは個人別競技から行われるようだった。
私は馬術と剣術に参加するため時間を確認していく。
学年が3学年まであり、1学年4クラス20名のクラスに分かれている。ちなみに学年ごとで少しずつ種目が変わるらしい。順位もクラス別と個別で出るようになっている。馬術、剣術共に出るのはクラス5人ずつ計20人で競うこととなる。
馬術は障害物を倒したら倒した分だけゴールした秒数にプラスになり、その合計が少ない人が勝ちとなっている。2人ずつ競っていき、トーナメントで勝ち進んでいく感じだ。
剣術はそのまま、相手が気絶もしくは降参したら勝ちとなる。
午前中は予選が行われるので、まずは馬術の会場へ向かった。
歩いていると女の子達がしきりにこちらを向いてくる。もしかしたら女性とバレてしまったのではないか…と思ったけどそう言う雰囲気ではないようだったので安心した。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
デューク視点。
3年の出番にはまだまだ時間があったこともあり、俺はレナードと一緒に会場を見て回っていた。
「デューク。なんか、馬術会場が騒がしくないか。」
確かに、少し騒がしい感じがする。そしてやたらと女子の声援が多いような…
「今は一年の馬術の時間か。ちょっと行ってみるか?」2人で近づいていくといつもおさげの子と一緒にいる女の子と、ものすごく顔の整った男の子が仲良さそうに話していた。
恐らく男の子の方が今競技を終えたばかりなのだろう。馬から降りる瞬間の声援がすごい。そして女子達の方に振り返りニコリと笑ってお辞儀をした。
俺はどこかで見たことある顔だなと思いながらレナードに話しかけようとするとレナードは少しムッとした顔をしながら顔の整った男の子を睨みつけていた。
「おい。レナード!あの男の子の方どこかで見たことないか?」
「いや、俺は見たことないね。」なんでこんなに怒っているのかわからないけど「なんであんな奴があの子の近くにいるんだよ」とぶつぶつ言っている声が聞こえる。
あぁ、もしかしてあの女の子のことが前から少し気になっていて男の子が隣にいることにヤキモチ妬いているのか…
「落ち着け。ただのクラスメイトかもしれないだろう。話したこともないんだからまずは話しかけるところから始めないと。」
レナードに伝えるとレナードもハッとしたのか顔を赤くしながら「俺は落ち着いている。そろそろ出番だし会場に戻ろう」
踵を返して元の道を戻り出したので俺も後を追った。それにしてもあの髪色、目の色どこかで見たことあるんだよな。少し思い出せないことがモヤモヤした。
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