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その名はルネ・アズーロ。
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名前を考えている間に支度ができたようで、あっという間に男らしくなっていた。
それでも他の男性に比べると線が細い…こればかりは仕方がないことだけれど。
「胸の辺りがどうしても苦しいわね。」
「そればかりは仕方ないわ。緩めてしまうと女性だとバレてしまうもの。」
「そうね。今回はビアンカの言う通りよ。勝つために特訓してきたんだから今日くらいは我慢してちょうだい。」
確かにこの3週間の特訓は結構ハードだった。お父様の熱が入りすぎていて寝る頃にはクタクタになっていた気がする。でもその甲斐があって少し戦い方のコツも掴めてきた。
今回はあえて髪を隠さず後ろの低い位置で一本に結んでもらった。
服装は正装ではなく少し動きやすいスタイルだ。
「アナは女性の中だと身長も高めだし、自然体のまま参加できそうね。」
確かに男性の中だと小柄になるだろうけど168cmなので、そのままでも問題なく出れるだろう。今回は靴底を上げてもらったブーツに黒のパンツ。ホワイトシャツにクラバットタイをつけて、ベストを羽織った。ベストはパンツと同じ色の黒だ。
顔も少し男性っぽく見えるように化粧をしてもらう。目はいつもより切れ長に見えるように。少し輪郭のあたりに影を落としてもらい、女性のような顔つきから少しシャープな顔つきにして貰う。
鏡を見てみるといつもの自分とは別人の自分が写っていた。
「なんか、お兄様たちに似てるかもしれないわ!」
お兄様たちはお父様の髪色を受け継いでいるので髪の色や目の色が違う。
「確かに、アレクお兄様達に似てるわね。まぁ兄妹だから似てるのは当たり前な気もしなくもないけれど。」ヘレナは私の顔をジロジロ見ながら小さい声で「本当にこの兄妹、顔がいいのよね…」と言う声が聞こえた。
「まぁ、ニーナは夢見る自称ヒロインだし、あなたのことには気づかないと思うわ。何か聞かれても遠い血縁とでも言っておけばそれ以上突っ込んでこないわよ。それにアレク兄様達に会ったことないとおもうから大丈夫。」
私の肩に軽く手を置きながら頷いた。
「そう言えば、支度手伝ってくれている間に名前考えたのだけどルネ・アズーロはどうかしら?」
アズーロはネイビーの意味もあり、自分の髪の色に合わせてみた。アズーロに合う、名前を考えて、短くて呼びやすい名前がいいのと語呂がいいなと思って「ルネ」にしたのだけど。
「いいじゃない!私は賛成よ!ルネだったら応援もしやすいし。」ビアンカに続いて、お母様やヘレナも賛成してくれた。
準備している間にあっという間に登校の時間になり、ここからは皆バラバラに学院に行くことになった。ニーナにバレないようにするためでもある。ヘレナやビアンカは先に出たので1番最後にお父様とお母様に挨拶をしてから出ることにした。
「お父様、お母様行ってまいります。」
「あぁ、行ってらっしゃい。私たちも今日は応援に行くからね。アレクとアランが来れないことを悔しがったいたよ。なんでも父上と試合をして勝った方が応援に行くことになったらしいんだが、父上が本気で戦ってきたらしくてね。だから今回は父上と私、メイシーの3人でみに行くからね。頑張ったおいで。」
お兄様達がきてくれないのは少し残念だったけれど、代わりにお祖父様がきてくれると聞いて俄然やる気が出てきた。
お父様に頭を撫でられて「はい!お父様の娘として恥じないよう精一杯頑張って参ります。」
そう言って家を出た。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
ハリソン視点。
メイシーと2人でティアナを見送る。
我が娘ながら男らしい背中に頼もしさを覚える反面、もう少し女の子らしく育てるべきだったかと後悔した。
「本当にティアナに婚約者ができるのか心配になってきたよ。」可愛い娘を嫁にやるのも気持ち的には複雑だが…
「大丈夫ですよ。ティアナの色々なところを知っていただいたほうが、ティアナをきちんと愛してくれる人に出会えると思います。それにきっとティアナを好きになってくれる人は近くにいるかもしれませんわ。私たちは見守りましょう!」
「そうだね。」
馬車が見えなくなり私たちも屋敷の中に入って運動祭に行く支度を始める。父上が来る前に支度を済ませないと、忙しくなるからだ。きっと父上が来ると言うことは母上も一緒に来るだろう。
「今日の夜は賑やかになりそうだな…」
少しため息をつきながら部屋を出る。今日の運動祭で大きな声で応援できないのはつらいが…父上達が変わりに応援してくれるだろう。そのためにも名前を間違いないように言い聞かせなければ…声が大きいし、やたらと響くので間違えられたら最悪だ。
父上達がついたと報告があったので急いでエントランスに向かった。
それでも他の男性に比べると線が細い…こればかりは仕方がないことだけれど。
「胸の辺りがどうしても苦しいわね。」
「そればかりは仕方ないわ。緩めてしまうと女性だとバレてしまうもの。」
「そうね。今回はビアンカの言う通りよ。勝つために特訓してきたんだから今日くらいは我慢してちょうだい。」
確かにこの3週間の特訓は結構ハードだった。お父様の熱が入りすぎていて寝る頃にはクタクタになっていた気がする。でもその甲斐があって少し戦い方のコツも掴めてきた。
今回はあえて髪を隠さず後ろの低い位置で一本に結んでもらった。
服装は正装ではなく少し動きやすいスタイルだ。
「アナは女性の中だと身長も高めだし、自然体のまま参加できそうね。」
確かに男性の中だと小柄になるだろうけど168cmなので、そのままでも問題なく出れるだろう。今回は靴底を上げてもらったブーツに黒のパンツ。ホワイトシャツにクラバットタイをつけて、ベストを羽織った。ベストはパンツと同じ色の黒だ。
顔も少し男性っぽく見えるように化粧をしてもらう。目はいつもより切れ長に見えるように。少し輪郭のあたりに影を落としてもらい、女性のような顔つきから少しシャープな顔つきにして貰う。
鏡を見てみるといつもの自分とは別人の自分が写っていた。
「なんか、お兄様たちに似てるかもしれないわ!」
お兄様たちはお父様の髪色を受け継いでいるので髪の色や目の色が違う。
「確かに、アレクお兄様達に似てるわね。まぁ兄妹だから似てるのは当たり前な気もしなくもないけれど。」ヘレナは私の顔をジロジロ見ながら小さい声で「本当にこの兄妹、顔がいいのよね…」と言う声が聞こえた。
「まぁ、ニーナは夢見る自称ヒロインだし、あなたのことには気づかないと思うわ。何か聞かれても遠い血縁とでも言っておけばそれ以上突っ込んでこないわよ。それにアレク兄様達に会ったことないとおもうから大丈夫。」
私の肩に軽く手を置きながら頷いた。
「そう言えば、支度手伝ってくれている間に名前考えたのだけどルネ・アズーロはどうかしら?」
アズーロはネイビーの意味もあり、自分の髪の色に合わせてみた。アズーロに合う、名前を考えて、短くて呼びやすい名前がいいのと語呂がいいなと思って「ルネ」にしたのだけど。
「いいじゃない!私は賛成よ!ルネだったら応援もしやすいし。」ビアンカに続いて、お母様やヘレナも賛成してくれた。
準備している間にあっという間に登校の時間になり、ここからは皆バラバラに学院に行くことになった。ニーナにバレないようにするためでもある。ヘレナやビアンカは先に出たので1番最後にお父様とお母様に挨拶をしてから出ることにした。
「お父様、お母様行ってまいります。」
「あぁ、行ってらっしゃい。私たちも今日は応援に行くからね。アレクとアランが来れないことを悔しがったいたよ。なんでも父上と試合をして勝った方が応援に行くことになったらしいんだが、父上が本気で戦ってきたらしくてね。だから今回は父上と私、メイシーの3人でみに行くからね。頑張ったおいで。」
お兄様達がきてくれないのは少し残念だったけれど、代わりにお祖父様がきてくれると聞いて俄然やる気が出てきた。
お父様に頭を撫でられて「はい!お父様の娘として恥じないよう精一杯頑張って参ります。」
そう言って家を出た。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
ハリソン視点。
メイシーと2人でティアナを見送る。
我が娘ながら男らしい背中に頼もしさを覚える反面、もう少し女の子らしく育てるべきだったかと後悔した。
「本当にティアナに婚約者ができるのか心配になってきたよ。」可愛い娘を嫁にやるのも気持ち的には複雑だが…
「大丈夫ですよ。ティアナの色々なところを知っていただいたほうが、ティアナをきちんと愛してくれる人に出会えると思います。それにきっとティアナを好きになってくれる人は近くにいるかもしれませんわ。私たちは見守りましょう!」
「そうだね。」
馬車が見えなくなり私たちも屋敷の中に入って運動祭に行く支度を始める。父上が来る前に支度を済ませないと、忙しくなるからだ。きっと父上が来ると言うことは母上も一緒に来るだろう。
「今日の夜は賑やかになりそうだな…」
少しため息をつきながら部屋を出る。今日の運動祭で大きな声で応援できないのはつらいが…父上達が変わりに応援してくれるだろう。そのためにも名前を間違いないように言い聞かせなければ…声が大きいし、やたらと響くので間違えられたら最悪だ。
父上達がついたと報告があったので急いでエントランスに向かった。
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