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21.煇
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あれから火災のこともだがオリンピックが北海道で出来るのかと連日テレビは賑わっている。ホテルの周りにもたくさんの報道陣が詰めかけて現場に行こうものなら大行列の報道陣付いてくる。
国の方としては俺に全責任を押し付けて国はなにも悪くないという方向に持っていこうとしているのが見え見えだった。
とりあえず会場を見る限り屋根部分の修復作業で大丈夫そうなのだが消火活動で会場は水浸しで電気系統が全く使えない状態なのでどちらかというとそちらが大問題だった。しかもグッズ販売の建物も会場の横にあったのだがそこも火の元に近く焼けてしまっていた。
しかも頼んでいた志賀さんの所の作業員に負傷者が多くいるので圧倒的に人が足りない。今佐野が色々な所に話を持ち込んでいるがなかなかやってくれる所がない。まぁ、火災の原因の元と仕事はしたくないというのが本音だろう。
拓を迎えに行くためにはこんな所にいつまでもいるわけにはいかない。
一週間になっても拓は見つかっていない。毎日電話をしているが何も新しい情報はない。あの後一緒に拓と仕事をしていた矢野先輩に連絡を取った。何か拓のことについて知らないかと。
「様子がおかしかったな。とにかく僕なんかを気にしてくれるとか僕なんかが番で申し訳ないとか言っていたから話し合いをしろと言って別れたんだが。それにチョーカーもしていたな。」
「…そうですか。どこかに行くとか言ってませんでしたか?」
「いやそれっきりで。あっ、そう言えばその後電話がきてお願いしたいことがあるから会えないかと言われたんだ。拓の方から連絡すると言われたんだがそれから連絡は来ていない。」
「すみません。ありがとうございます。」
「俺も気になってたんだ。俺ももっと話を聞いてあげればよかったな。すまない。」
「いえ、俺が全面的に悪いので。すみませんありがとうございます。」
拓は何をお願いしたかったのだろう。
僕なんかが番で申し訳ないなんて言わせて。違うよ拓。俺なんかが番で申し訳ないんだよ。
その日朝から資材の発注や電気関係者に連絡を取り仕事の依頼をお願いするも断られてなかなか仕事が進まないことにイラついていた。
「どいつもこいつも火災があるまでは俺の所を使ってくれと言っていたのに。」
「まぁ、仕方ないよね。でもこのまま北海道で開催出来ないと困るのは国の方なのにね。」
「国としてはお前が頭を下げてお願いするのを待っているんだよ。そうすれば火災は設計ミスでお前のせいになりそれを助けた国は逆に称賛を受けるだろうな。」
「ばかばかしい。」
まぁ、解決策が見つからなければそうなるだろう。それでは拓を迎えにいけないし真幸さんに俺は切られるだろう。拓は一生手に入らない。
「もっとリストを上げてくれないか?直接会いに行ける所にはアポを取ってくれ。」
「「「了解。」」」
そんな時携帯が鳴る。真幸さんからだ。
「何かあったんですか!!」
「ああ、拓から連絡があった。今から駅に迎えに行く。」
「あーぁ、拓が拓が…ありがとうございます。」
「とりあえず会ってからまた連絡をする。」
「わかりました。何時でもいいので連絡お願いします!!」
拓が見つかった…拓が。
「見つかったのか。」
「あぁ。」
「お前迎えに行くか。」
「いやまだ行けない。俺はまだ駄目だ。迎えに行く資格がない。」
「まぁ、そうだな」
「仕事早く終わらせて拓くんを迎えにいけるようにしよう。仕事仕事。」
それから拓と合流したと連絡があった。
拓はシェルターに入ってたらしい。そのまま死ぬまで1人でいることを決意させたかと思うと胸が張り裂けそうだった。
「こちらもまだ落ち着かなくて拓にこれ以上つらい思いをしてほしくないんです。家の方にも報道陣がいると思います。実家の方で拓をお願い出来ないでしょうか。」
「まぁ、そうだな。拓はこっちでみるから煇くんは仕事を優先してくれ。春人が離さないと思うし。なるべく早く頼むよ。春人が拓にべったりなんだ。」
「はい。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
あれから何とか一緒に仕事をしてくれる業者が見つかり明日から取りかかれそうだ。
もし最悪の結果になったとしても俺は受け入れるしかない。
国の方としては俺に全責任を押し付けて国はなにも悪くないという方向に持っていこうとしているのが見え見えだった。
とりあえず会場を見る限り屋根部分の修復作業で大丈夫そうなのだが消火活動で会場は水浸しで電気系統が全く使えない状態なのでどちらかというとそちらが大問題だった。しかもグッズ販売の建物も会場の横にあったのだがそこも火の元に近く焼けてしまっていた。
しかも頼んでいた志賀さんの所の作業員に負傷者が多くいるので圧倒的に人が足りない。今佐野が色々な所に話を持ち込んでいるがなかなかやってくれる所がない。まぁ、火災の原因の元と仕事はしたくないというのが本音だろう。
拓を迎えに行くためにはこんな所にいつまでもいるわけにはいかない。
一週間になっても拓は見つかっていない。毎日電話をしているが何も新しい情報はない。あの後一緒に拓と仕事をしていた矢野先輩に連絡を取った。何か拓のことについて知らないかと。
「様子がおかしかったな。とにかく僕なんかを気にしてくれるとか僕なんかが番で申し訳ないとか言っていたから話し合いをしろと言って別れたんだが。それにチョーカーもしていたな。」
「…そうですか。どこかに行くとか言ってませんでしたか?」
「いやそれっきりで。あっ、そう言えばその後電話がきてお願いしたいことがあるから会えないかと言われたんだ。拓の方から連絡すると言われたんだがそれから連絡は来ていない。」
「すみません。ありがとうございます。」
「俺も気になってたんだ。俺ももっと話を聞いてあげればよかったな。すまない。」
「いえ、俺が全面的に悪いので。すみませんありがとうございます。」
拓は何をお願いしたかったのだろう。
僕なんかが番で申し訳ないなんて言わせて。違うよ拓。俺なんかが番で申し訳ないんだよ。
その日朝から資材の発注や電気関係者に連絡を取り仕事の依頼をお願いするも断られてなかなか仕事が進まないことにイラついていた。
「どいつもこいつも火災があるまでは俺の所を使ってくれと言っていたのに。」
「まぁ、仕方ないよね。でもこのまま北海道で開催出来ないと困るのは国の方なのにね。」
「国としてはお前が頭を下げてお願いするのを待っているんだよ。そうすれば火災は設計ミスでお前のせいになりそれを助けた国は逆に称賛を受けるだろうな。」
「ばかばかしい。」
まぁ、解決策が見つからなければそうなるだろう。それでは拓を迎えにいけないし真幸さんに俺は切られるだろう。拓は一生手に入らない。
「もっとリストを上げてくれないか?直接会いに行ける所にはアポを取ってくれ。」
「「「了解。」」」
そんな時携帯が鳴る。真幸さんからだ。
「何かあったんですか!!」
「ああ、拓から連絡があった。今から駅に迎えに行く。」
「あーぁ、拓が拓が…ありがとうございます。」
「とりあえず会ってからまた連絡をする。」
「わかりました。何時でもいいので連絡お願いします!!」
拓が見つかった…拓が。
「見つかったのか。」
「あぁ。」
「お前迎えに行くか。」
「いやまだ行けない。俺はまだ駄目だ。迎えに行く資格がない。」
「まぁ、そうだな」
「仕事早く終わらせて拓くんを迎えにいけるようにしよう。仕事仕事。」
それから拓と合流したと連絡があった。
拓はシェルターに入ってたらしい。そのまま死ぬまで1人でいることを決意させたかと思うと胸が張り裂けそうだった。
「こちらもまだ落ち着かなくて拓にこれ以上つらい思いをしてほしくないんです。家の方にも報道陣がいると思います。実家の方で拓をお願い出来ないでしょうか。」
「まぁ、そうだな。拓はこっちでみるから煇くんは仕事を優先してくれ。春人が離さないと思うし。なるべく早く頼むよ。春人が拓にべったりなんだ。」
「はい。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
あれから何とか一緒に仕事をしてくれる業者が見つかり明日から取りかかれそうだ。
もし最悪の結果になったとしても俺は受け入れるしかない。
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