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10.煇
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3日4日と経つとヒートも落ち着いてきた。ヒート中アルファの精を受けると楽になると聞いていたけど残念な気分だった。
ただ近くにいないと不安になるのかずっと付いて回るのだ。可愛くて仕方ない。
1週間経つと完全にヒートは終わった。明日から学校に行く。
「明日から学校だけど大丈夫?」
「うん。大丈夫。煇ありがとう。ヒート付き合ってくれて。こんな幸せな気持ちになれるなんて…恥ずかしいかったけどオメガで良かったと思った。」
嬉しかった。拓が初めてオメガで良かったと言ってくれた。ヤバい泣きそう。
「愛してる拓。」
抱き締める。潤んでる目を見られなくなかった。
「僕も。」
もう我慢が出来なかった。抱き締めたまま涙を流した。分かっているのか拓は何も言わず抱き締められたままでいてくれた。
それから何度もヒートを一緒に過ごした。ヒートじゃない時も抱き合った。知らなかったのだがヒート中のことを拓は覚えていなかったらしい。
ヒート以外のセックスは覚えているみたいだ。何故だか分からないがあの時間は俺だけのものだと思うと覚えていなくても全然よかった。ヒート以外のセックスの恥じらいもそれもそれで良い。乳首治療は常に続けているが…うん…最高だ。
そして、大学を卒業する時に拓にプロポーズした。OKの返事をもらった時には本当に嬉しかった。そして結婚して発情期の時にやっと番になれた。これ以上の幸せがあるのかと思えた。
それから大学を卒業して大学時代の親友三人と会社を立ち上げた。一級建築士の資格をとったお陰で仕事は国から市からと次々に舞い込んできた。まず最初の仕事として自分の家を建てることにした。
拓は要望を聞いても家事中心の要望しかなくて張り合いがなかったがいつまでも二人で過ごせる家に出来るよう考えに考えた。
拓は仕事をどうするか悩んでいたので在宅で出来るようにお願いした。悩んでいたが在宅で出来るよう頑張っていた。自分でネットで求人を出したり友人に声をかけたりとしていた。拓はパソコンに強い。俺より詳しいのだ。高校の頃から流行りだしたウイルスのせいで母親の実家の食堂も大打撃を受けた。その時にどうにかしたいとホームページや配達などの受付など独学でパソコンを勉強し作ったらしい。
そのお陰で食堂は人に会わなくても自宅で美味しいご飯を食べられると評判になり逆に忙しくなってしまったらしい。お父さんの店のホームページや予約受付などのシステムも拓が作っている。俺の会社の立ち上げも手伝ってもらった。大したことをしてないよと簡単に言うがすごいことなのに自己評価が低すぎる。
結婚してからお互いに忙しくなったが充実した日々を過ごしていた。初めての発情期に伝えた愛してるって言葉は毎日言っても言い足りない。もうこんなに愛してる人には2度と出会えないと思っている。
3年経って国からオリンピックの会場の依頼がきた。今まで以上にない大きな仕事だ。毎日国との話し合いでイライラしている。予算もだが俺の意見を無視しての会場の設計など擦り合わせが上手くいかない。任された以上妥協したくないしこの成功がこれからの俺の仕事を左右するに違いない。
「仕事しろよ~」
「そうだ。そうだ。」
「今日帰さないから。」
大学時代からの親友兼同僚の佐野満、山中隆、中谷幸治がグチグチと文句を言ってくる。
「はぁ~最近拓の起きてる時間に帰れないんだぞ。やる気も起きないわ。」
「結婚してない俺達に嫌みだな。」
三人ともベータだがまだ結婚していない。
「もうさぁ~諦めて国の言う通りにしちゃえばいいじゃん。そうすればこの煩わしい時間もなくなるし早く帰れるよ。」
「い、や、だ。」
「「「じゃあ仕事しろ。」」」
ごもっとも。出しても出しても却下される設計図。予算が足りない、ここはこうしてくれと次々に却下され毎日話し合い擦り合わせ時間がないので平気で明日には案を出せと言われる。
「とりあえず休憩~。拓に電話するわ。」
OK~と言われて事務所の隣の自分の部屋に入る。コーヒーを入れて電話する。あいつらも交代で休ませているがほぼほぼ缶詰め状態だ。
拓も大学時代の先輩の依頼で忙しくしていた時期もあり倒れたりしたが最近は仕事を減らしている。その先輩には直接あって威嚇オーラで釘を指しておいた。相手もアルファで結婚もしており俺の気持ちも分かるのかすまなかったと謝っていた。それ以来先輩の依頼は俺の許可無しでは受けないように言ってある。
「拓~今日遅くなりそう。もし帰れなかったらいけないから先に寝てて。」
「わかった。」
「晩御飯何?」
「今日は茄子の煮浸しにしょうが焼き。」
「やっぱり今すぐ帰る。」
後ろの方でふざけんなとか駄目~とか聞こえてくる。ドアを閉め忘れた。
「温めるだけにしとくから仕事頑張って。」
「…頑張る。拓、愛してる。」
「僕も。」
さて拓の寝顔だけでも見たいので泊まりだけは避ける為に頑張るか。
拓愛してる。
ただ近くにいないと不安になるのかずっと付いて回るのだ。可愛くて仕方ない。
1週間経つと完全にヒートは終わった。明日から学校に行く。
「明日から学校だけど大丈夫?」
「うん。大丈夫。煇ありがとう。ヒート付き合ってくれて。こんな幸せな気持ちになれるなんて…恥ずかしいかったけどオメガで良かったと思った。」
嬉しかった。拓が初めてオメガで良かったと言ってくれた。ヤバい泣きそう。
「愛してる拓。」
抱き締める。潤んでる目を見られなくなかった。
「僕も。」
もう我慢が出来なかった。抱き締めたまま涙を流した。分かっているのか拓は何も言わず抱き締められたままでいてくれた。
それから何度もヒートを一緒に過ごした。ヒートじゃない時も抱き合った。知らなかったのだがヒート中のことを拓は覚えていなかったらしい。
ヒート以外のセックスは覚えているみたいだ。何故だか分からないがあの時間は俺だけのものだと思うと覚えていなくても全然よかった。ヒート以外のセックスの恥じらいもそれもそれで良い。乳首治療は常に続けているが…うん…最高だ。
そして、大学を卒業する時に拓にプロポーズした。OKの返事をもらった時には本当に嬉しかった。そして結婚して発情期の時にやっと番になれた。これ以上の幸せがあるのかと思えた。
それから大学を卒業して大学時代の親友三人と会社を立ち上げた。一級建築士の資格をとったお陰で仕事は国から市からと次々に舞い込んできた。まず最初の仕事として自分の家を建てることにした。
拓は要望を聞いても家事中心の要望しかなくて張り合いがなかったがいつまでも二人で過ごせる家に出来るよう考えに考えた。
拓は仕事をどうするか悩んでいたので在宅で出来るようにお願いした。悩んでいたが在宅で出来るよう頑張っていた。自分でネットで求人を出したり友人に声をかけたりとしていた。拓はパソコンに強い。俺より詳しいのだ。高校の頃から流行りだしたウイルスのせいで母親の実家の食堂も大打撃を受けた。その時にどうにかしたいとホームページや配達などの受付など独学でパソコンを勉強し作ったらしい。
そのお陰で食堂は人に会わなくても自宅で美味しいご飯を食べられると評判になり逆に忙しくなってしまったらしい。お父さんの店のホームページや予約受付などのシステムも拓が作っている。俺の会社の立ち上げも手伝ってもらった。大したことをしてないよと簡単に言うがすごいことなのに自己評価が低すぎる。
結婚してからお互いに忙しくなったが充実した日々を過ごしていた。初めての発情期に伝えた愛してるって言葉は毎日言っても言い足りない。もうこんなに愛してる人には2度と出会えないと思っている。
3年経って国からオリンピックの会場の依頼がきた。今まで以上にない大きな仕事だ。毎日国との話し合いでイライラしている。予算もだが俺の意見を無視しての会場の設計など擦り合わせが上手くいかない。任された以上妥協したくないしこの成功がこれからの俺の仕事を左右するに違いない。
「仕事しろよ~」
「そうだ。そうだ。」
「今日帰さないから。」
大学時代からの親友兼同僚の佐野満、山中隆、中谷幸治がグチグチと文句を言ってくる。
「はぁ~最近拓の起きてる時間に帰れないんだぞ。やる気も起きないわ。」
「結婚してない俺達に嫌みだな。」
三人ともベータだがまだ結婚していない。
「もうさぁ~諦めて国の言う通りにしちゃえばいいじゃん。そうすればこの煩わしい時間もなくなるし早く帰れるよ。」
「い、や、だ。」
「「「じゃあ仕事しろ。」」」
ごもっとも。出しても出しても却下される設計図。予算が足りない、ここはこうしてくれと次々に却下され毎日話し合い擦り合わせ時間がないので平気で明日には案を出せと言われる。
「とりあえず休憩~。拓に電話するわ。」
OK~と言われて事務所の隣の自分の部屋に入る。コーヒーを入れて電話する。あいつらも交代で休ませているがほぼほぼ缶詰め状態だ。
拓も大学時代の先輩の依頼で忙しくしていた時期もあり倒れたりしたが最近は仕事を減らしている。その先輩には直接あって威嚇オーラで釘を指しておいた。相手もアルファで結婚もしており俺の気持ちも分かるのかすまなかったと謝っていた。それ以来先輩の依頼は俺の許可無しでは受けないように言ってある。
「拓~今日遅くなりそう。もし帰れなかったらいけないから先に寝てて。」
「わかった。」
「晩御飯何?」
「今日は茄子の煮浸しにしょうが焼き。」
「やっぱり今すぐ帰る。」
後ろの方でふざけんなとか駄目~とか聞こえてくる。ドアを閉め忘れた。
「温めるだけにしとくから仕事頑張って。」
「…頑張る。拓、愛してる。」
「僕も。」
さて拓の寝顔だけでも見たいので泊まりだけは避ける為に頑張るか。
拓愛してる。
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