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第三章 聖魔の戦い
家に死神がやってきた
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ずっと思っていた初恋の彼女と再会できた。
そんな大きな出来事を終えても、いつもの日常は続いていく。
明日のために自分のするべきことをしておかないといけない。
正樹は静かになった自分の部屋で勉強をすることにした。
「明日の勉強しなきゃな」
呟きながら振り返って床を見た。
そこは灯花に押し倒された場所だ。まだ彼女の匂いが残っているかのように思えて、正樹は変に意識してしまった。
さっきまでここに灯花がいて、彼女と話をして押し倒されたのだ。それが随分と昔のことのように思えた。
「灯花さん、可愛かったなあ」
久しぶりに再会できた彼女の姿を思い出す。
始めて会った日より大人になっていた。
あの日からずっと思っていたと告白された。
自分だってあの日からの思いは同じだったはずなのに……
「はあ……なんで断ってしまったんだろう……」
断ったのを今になって後悔して悶々としてしまった。
「灯花さんに会いたいなあ」
さっき別れたばかりなのにもう思ってしまう。
断ってしまった自分を殴りたくなってしまう。
でも、思い直す。
「仕方なかったんだ。高校生なんだからさ。さて、勉強勉強」
どうにもならない思いを振り払いながら、正樹は頭を切り替えて勉強に集中することにした。
机に向かって勉強を始めた正樹は気づいていなかった。すぐ傍まで死神が来ていたことに。
「あそこか」
メルトは灯花を付けさせていた目玉型の小悪魔ロボットを仕舞った。
夜の空、星空の中でメルトは舌をぺろりと舐めて、正樹の部屋の窓を見た。
明るい光はそこに人がいることを示している。
「トウカ、あんたの獲物をいただくわよ!」
そして、メルトは鎌を振りかぶって飛び込んでいった。
正樹が勉強をしていると、いきなり窓ガラスが派手にぶち割れた。
「うわ! なんだあ!」
誰かが投石してきたのかと思ったが、黒い風を纏って少女が現れていた。
黒いゴシック風の服を着た彼女は輝く金色の瞳をして正樹を見てきた。
正樹の知らない少女だった。
「地獄の国からこんばんわあ。死神少女のメルトちゃんですよ。あなたの命をいただきに来たわ」
「死神……?」
今日はハロウィンだっただろうか。
思っている間に少女は鎌を振り上げる。騒ぎを聞きつけて、優とミンティシアがやってきた。
「お兄ちゃん!」
「これは……!」
「よせ! 来るんじゃない!」
何だか知らないが、危険な鎌なのは確かだ。玩具ではない。
煌めく刃を正樹は受けようとしたが、その前に優が侵入者に蹴り掛かっていた。
鎌を動かすのを止め、優の蹴りを死神少女のメルトは片手で受け止めていた。
ミンティシアをも吹っ飛ばした蹴りを止めるなんてかなりの実力者だ。
正樹は相手の実力を読んでいた。
メルトは面白そうに優を見た。
「あたしに挑戦しようって言うの? いいわねえ、お嬢ちゃん!」
「これ以上お兄ちゃんに……女は近づけさせない!」
バトルだ!
応援しようとして、ミンティシアは正樹に声を掛けていた。
「加勢しなくていいんでしょうか」
「いや、もう終わった」
「ふえ?」
不思議な声を出してミンティシアは視線を戦いに戻した。
優の拳がメルトの顔面に入っていた。
殴られたメルトは後退したが、倒れはしなかった。
「いて! やりやがったな!」
「今のあたしは手加減なんて出来ないよ。家を壊さないうちにとっとと帰れ!」
優の拳はやる気のあるオーラで燃えていた。
メルトは殴られた顔を手で拭った。
「チッ、遊べればいいと思ったんだけどね。止めだ。さすがは天界の選んだ人間か」
メルトは鎌を仕舞って踵を返した。
元より彼女は遊ぼうと思ってきただけだ。遊びで終わりそうに無いならここにいる義理は何も無かった。
最後に正樹の方を振り返って言った。
「お前を殺すのはあたしじゃない。覚えておくんだね」
そして、窓の外の暗闇へと飛び去って行った。
後に残ったのはただ窓の壊れた部屋だった。
優は今度会ったら弁償させてやると思い、正樹は灯花の匂いが消えたのを虚しく思ったのだった。
そんな大きな出来事を終えても、いつもの日常は続いていく。
明日のために自分のするべきことをしておかないといけない。
正樹は静かになった自分の部屋で勉強をすることにした。
「明日の勉強しなきゃな」
呟きながら振り返って床を見た。
そこは灯花に押し倒された場所だ。まだ彼女の匂いが残っているかのように思えて、正樹は変に意識してしまった。
さっきまでここに灯花がいて、彼女と話をして押し倒されたのだ。それが随分と昔のことのように思えた。
「灯花さん、可愛かったなあ」
久しぶりに再会できた彼女の姿を思い出す。
始めて会った日より大人になっていた。
あの日からずっと思っていたと告白された。
自分だってあの日からの思いは同じだったはずなのに……
「はあ……なんで断ってしまったんだろう……」
断ったのを今になって後悔して悶々としてしまった。
「灯花さんに会いたいなあ」
さっき別れたばかりなのにもう思ってしまう。
断ってしまった自分を殴りたくなってしまう。
でも、思い直す。
「仕方なかったんだ。高校生なんだからさ。さて、勉強勉強」
どうにもならない思いを振り払いながら、正樹は頭を切り替えて勉強に集中することにした。
机に向かって勉強を始めた正樹は気づいていなかった。すぐ傍まで死神が来ていたことに。
「あそこか」
メルトは灯花を付けさせていた目玉型の小悪魔ロボットを仕舞った。
夜の空、星空の中でメルトは舌をぺろりと舐めて、正樹の部屋の窓を見た。
明るい光はそこに人がいることを示している。
「トウカ、あんたの獲物をいただくわよ!」
そして、メルトは鎌を振りかぶって飛び込んでいった。
正樹が勉強をしていると、いきなり窓ガラスが派手にぶち割れた。
「うわ! なんだあ!」
誰かが投石してきたのかと思ったが、黒い風を纏って少女が現れていた。
黒いゴシック風の服を着た彼女は輝く金色の瞳をして正樹を見てきた。
正樹の知らない少女だった。
「地獄の国からこんばんわあ。死神少女のメルトちゃんですよ。あなたの命をいただきに来たわ」
「死神……?」
今日はハロウィンだっただろうか。
思っている間に少女は鎌を振り上げる。騒ぎを聞きつけて、優とミンティシアがやってきた。
「お兄ちゃん!」
「これは……!」
「よせ! 来るんじゃない!」
何だか知らないが、危険な鎌なのは確かだ。玩具ではない。
煌めく刃を正樹は受けようとしたが、その前に優が侵入者に蹴り掛かっていた。
鎌を動かすのを止め、優の蹴りを死神少女のメルトは片手で受け止めていた。
ミンティシアをも吹っ飛ばした蹴りを止めるなんてかなりの実力者だ。
正樹は相手の実力を読んでいた。
メルトは面白そうに優を見た。
「あたしに挑戦しようって言うの? いいわねえ、お嬢ちゃん!」
「これ以上お兄ちゃんに……女は近づけさせない!」
バトルだ!
応援しようとして、ミンティシアは正樹に声を掛けていた。
「加勢しなくていいんでしょうか」
「いや、もう終わった」
「ふえ?」
不思議な声を出してミンティシアは視線を戦いに戻した。
優の拳がメルトの顔面に入っていた。
殴られたメルトは後退したが、倒れはしなかった。
「いて! やりやがったな!」
「今のあたしは手加減なんて出来ないよ。家を壊さないうちにとっとと帰れ!」
優の拳はやる気のあるオーラで燃えていた。
メルトは殴られた顔を手で拭った。
「チッ、遊べればいいと思ったんだけどね。止めだ。さすがは天界の選んだ人間か」
メルトは鎌を仕舞って踵を返した。
元より彼女は遊ぼうと思ってきただけだ。遊びで終わりそうに無いならここにいる義理は何も無かった。
最後に正樹の方を振り返って言った。
「お前を殺すのはあたしじゃない。覚えておくんだね」
そして、窓の外の暗闇へと飛び去って行った。
後に残ったのはただ窓の壊れた部屋だった。
優は今度会ったら弁償させてやると思い、正樹は灯花の匂いが消えたのを虚しく思ったのだった。
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