AIの書いた婚約破棄

けろよん

文字の大きさ
上 下
27 / 28
第2章

第27話

しおりを挟む
 それから数日後のある日の午後、私はアリシアと庭の散歩をしていた。偶然出会った彼女に私から声をかけたのだ。

「ねえ、アリシア。今日はどんな日かな?」
「はい、シャーロット様。そうですね……殿下は休日だからお部屋におられるんじゃないでしょうか?」
「そうよね! それじゃあさ……」

 彼女と顔を見合わせると私たちはイタズラっぽく笑った。それから走り出したのだった。

(早く殿下のところに行こう!)
「シャーロット様、楽しそうですね」
「アリシアこそ」

 廊下を駆け抜けながら話しているとあっという間に目的地へ到着した。そこで私たちは息を切らせながら声をかけた。

「殿下、失礼いたします!」

 中に入ると、そこには椅子に座っている彼がいた。どうやら読書中だったらしい。彼はこちらに気づくと声をかけてきた。

「やあ、アリシアにシャーロットじゃないか。僕に何か用でもあったのかい?」

 私は大きく深呼吸をすると本題を切り出した。

「殿下、今日はどんな日でしょうか?」

 彼は少し考えると答えてくれた。

「うーん、そうだね……僕たちが出会った記念日かな」
(えっ?)

 予想していなかった答えに戸惑いながらも、私は殿下の答えを反芻した。

(出会った記念日か……確かにそうかもしれないわね)

「そうですね、その通りです! 私たちの出会いを記念して祝うべきです」

 私が同意するように頷くと、隣にいたアリシアも頷いた。彼女も同意してくれるようだ。

「そうかい? なら、早速準備をしないとね。そうだ、いっそ両親も呼んで盛大にお祝いしないかい?」
「え……?」

 思わぬ提案に固まってしまったが、それでもなんとか返事をすることができた。

「えっ!? あ、いえ、そこまでは遠慮しておきますわ……」

 慌てて断ると、アリシアを連れてその場から逃げ出したのだった。



 その後、私たちは二人でのんびりお茶を飲んでいた。

「ねえ、アリシア? さっきの話だけど……」
「はい、なんでしょうか?」
「さっきはごめんなさいね。せっかくの話を断ったりして。なんだか恥ずかしくなっちゃって……」
「大丈夫ですよ! それよりも私まで誘ってくださって嬉しかったです」
「そ、そうかしら……」

 照れ臭くなって顔を背けたが、ふと気になったことがあったので聞いてみた。

「ねえ、あなたは殿下のことをどう思ってるのかしら?」

 アリシアは少し考えてから口を開いた。

「私にとって一番大切な方ですね」

 彼女の瞳はとても澄んでいて嘘偽りのない言葉だと分かると嬉しくなった。それと同時に羨ましくもなる。私もこんな風になりたいものだと思いながらカップに口をつけたのだった。



 その日の午後、王宮にある庭園ではお茶会が開かれていた。
 両親までは呼ばないにしても身内だけではやろうと殿下が慎ましやかなパーティーを準備されたのだ。
 参加メンバーは私とアリシアを含めて五人である。まずは主催者の王太子殿下とその婚約者の公爵令嬢の私だ。次に私の親友となったアリシアとメイド長のエマがいる。今日は彼女達もドレスを着ていた。
 最後に私の姉のエルナというメンバーだ。私達は同じテーブルについて紅茶を飲みながら談笑していた。

(ああ、幸せだわ……)

 こうして大切な人達に囲まれて過ごす時間はとても充実していた。何より大好きな人達に囲まれているのだから尚更だ。

(本当に幸せ……)

 それからしばらくして話題が尽きたのか誰も何も喋らなくなった時、不意に姉が話しかけてきた。

「おめでとう。それにしても婚約破棄と聞いた時はどうしたのかと思ったけど無事によりを戻せて良かったわね」

 それを聞いて私は苦笑した。

(ああ、そういえばあの時は大変だったなあ……)

 あれももう今から一年ほど前のことになる。ある日突然、殿下から言われたのだ。

『婚約を破棄する』

 と……最初は何を言っているのか理解できなかったが、徐々に頭が理解していくにつれて涙が止まらなかった。
 悲しくて悔しくて……その日は一日中泣き続けたのだ。
 しかし、それから数日経つと今度は怒りが込み上げてきた。あんなに好きだったのにどうして簡単に捨てられるのか理解できないからだ。
 あんなに尽くしていたのにどうして捨てられたのか納得できないからだ。それ以来、私は彼に対して不信感を抱くようになった。
 家を飛び出し冒険者になってこんな国は滅びればいいと思った事さえあった。
 しかし、それももう終わった過去の話だ。今はこうして一緒に過ごしているだけで満足できるのだからそれでいいと思っている。それに今の私にはもっと大事なものがあるから……
 そう思っていると、隣に座るアリシアが言った。

「殿下ったら大袈裟ですよ!」
(あら?)

 不思議に思って首を傾げると続けて言った。

「婚約を破棄するなんて軽々しく言っていいことじゃないんですからね!」
「悪かったよ……」
「でもまあ、結果的にはこれで良かったですけどね」
「……どういうことだい?」

 すると彼女は頬を赤く染めながら言った。

「だって……今の方がずっとお二人とも幸せそうですから」

 それを聞いた瞬間、私の心は喜びに満ち溢れた。そして同時に確信する。やはり私は殿下と結ばれる運命なのだと……

(アリシア……あなたも祝福してくれるのね!!)

 嬉しくて涙が出そうになるがぐっと堪える。ここで泣いたりしたらせっかくのムードが崩れてしまうと思ったからだ。
 そんなことを考えているうちに話は進んでいく。いつの間にか話題は変わっていたようだ。皆で楽しくおしゃべりしていると時間はあっという間に過ぎていったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」

ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」 美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。 夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。 さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。 政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。 「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」 果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

処理中です...