AIの書いた婚約破棄

けろよん

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第2章

第20話

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 数日後、いつものように仕事を終えて帰宅したところで郵便受けを開けると一通の手紙が入っていたことに気付いたので手に取ると差出人の欄には『ルクレチア家』と書かれているのを見て嫌な予感を覚えた私は恐る恐る封を切って中身を取り出して読んでみたところ、予想通りの内容だったため大きな溜息を吐いた後で手紙をぐしゃぐしゃに丸めるとゴミ箱に放り込んでからベッドに倒れ込むようにして横になった。

(今更私に何の用があるというの……?)

 考えても分からないが出席さえすればみんな満足してくれるのだろう。横になっているうちに私はそのまま眠ってしまった。



 翌朝目を覚ますと気分は最悪だったが、いつまでも引きずっていても仕方がないと思った私は気持ちを切り替えることにした。
 そして、朝食を済ませた後で家を出る支度を整えると玄関に向かったところでふと立ち止まった後で振り返って部屋の中を見渡してみることにした。
 そこは見慣れた自分の部屋なのだが、ここ数日間で色々な出来事が起こったせいですっかり荒れ果ててしまったように感じられた。しかし、それも今日で終わると思うと感慨深いものがあったがすぐに頭を切り替えることにした。

(もうここには戻って来られないかもしれないし、最後に綺麗に掃除しておこうかな)

 そう思った私は雑巾を手に取ると床や家具などを隅々まで丁寧に拭き始めたのだが、作業に没頭しているうちに時間が経つのを忘れてしまい気がつくと昼前になっていたので驚いた私は慌てて手を止めることにした。

(いけない、つい夢中になって忘れてたけどそろそろ行かないと遅刻しちゃう……!)

 時計を見ると既に出発しなければいけない時間を過ぎていたので慌てて家を飛び出した私は全速力で走ったおかげでなんとか間に合ったものの息を切らして手紙に書かれていた会議室に入ると他の参加者は既に全員揃っていたので遅れてしまったことを謝罪すると空いている席に着いた。
 全員が揃ったところで会議が始まったので報告事項に耳を傾けていると、不意に名前を呼ばれたので顔を上げると目の前に座っていた人物と目が合った。その人物はこの国の宰相を務める男性だったのだが、何故か私のことをじっと見つめていたので不思議に思っていると彼は咳払いをした後に言った。

「ゴホンッ、それでは次にシャーロット・ルクレチア嬢についてだが――」

 その言葉を聞いた瞬間、心臓が止まりそうになった。まさかこんな場所で自分の名前を聞くことになるとは夢にも思っていなかったからである。

(どうしてここで私の名前が出てくるの……? 私が何か悪いことをした……?)

 動揺している私をよそに話は進んでいく中で、遂にその時が来てしまった。

「彼女を王城へと召喚することを決定した」

 その瞬間、頭が真っ白になってしまった。何故自分が呼び出されたのか理解できなかったからだ。
 呆然としたまま固まっている私を無視して会議は終了したようで、我に返った時には部屋の中に誰もいなくなっていたので慌てて立ち上がると逃げるようにして部屋を出た後で控室に戻ると鍵をかけてからドアにもたれかかるようにして座り込んだ後で頭を抱えた。

(どういうことなの……? なんで私が呼び出されるの……?)

 疑問ばかりが浮かんでくる中、ふとある考えが頭をよぎったことで背筋が凍るような思いになった。

(もしかして、昨日の手紙が原因なの……?)

 そう考えると辻褄が合うような気がしてならなかった。恐らくあれは忠告か何かだったのだろうと思うことにした私は一刻も早くこの場を離れなければと思い立つと荷物をまとめて部屋を飛び出すとそのまま屋敷を出て街へと向かったのだが、その間ずっと頭の中は混乱しておりどうやって街を回って家に帰ったのかも覚えていないくらいだった。
 帰宅してから部屋に引きこもった私はベッドの上で膝を抱えたままうずくまっていると不意に涙が溢れてきたので嗚咽を漏らしていると部屋のドアをノックする音が聞こえてきたのでビクッと身体を震わせたが、返事をする気力すら無かったため黙っているとドアの向こうから声が聞こえてきた。

「シャーロットいる? 入ってもいい?」

 声の主は店長だったことが分かった私は迷った末に小さく頷くとドアが開いた後で入ってきた彼女が心配そうな表情で駆け寄ってきたかと思うと私の顔を覗き込みながら尋ねてきた。

「やっぱりあなたが噂のシャーロット様だったのね?」
「ごめんなさい。黙っていて」
「いいのよ。お互いに境遇は言わない約束だったものね。どうしたの? 何かあった?」

 そう聞かれて一瞬躊躇したものの正直に答えることにした。

「実は、さっき手紙が届いて会議に出ていたんだけど……私、明日王城に呼ばれているみたいなの」

 それを聞いた途端、彼女の顔が強張ったのが分かった。

「えっ!? そ、それってつまり……」

 それ以上言わせまいとするかのように私は首を横に振った後で言った。

「分かってる、言いたいことは分かるわ。でも、まだそうと決まったわけじゃないから……」

 そう言って無理矢理笑顔を浮かべようとしたものの上手く笑えずに引きつってしまっただけだったが、それを見た彼女は私をギュッと抱きしめてくると耳元で囁いた。

「大丈夫よ、きっとあなたにとって悪い話ではないでしょうから安心なさってください」

 その言葉に救われたような気がした私は彼女に縋り付くようにして泣き続けたのだった――。
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